ホンダ・シビックハイブリッド(CVT)【ブリーフテスト】
ホンダ・シビックハイブリッド(CVT) 2002.01.18 試乗記 ……246.3万円 総合評価……★★★★エネルギーの収支決算
エンジンが止まれば止まるほど「大したもんだ」と褒められるのだから、さすがは21世紀である。2001年12月14日、1.3リッター直4エンジンと電気モーターを組み合わせた「新ホンダIMAシステム」を搭載した4ドアセダン、「シビックハイブリッド」の販売が開始された。発進加速時にモーターがアシスト、減速時にエネルギーを回収し、さらにアイドルストップ機構をはたらかせることで燃費向上をねらったクルマだ。
「21世紀に間に合いましたぁ!」と気ばるでもなく、エアロダイナミクス実験車のようなフォルムをまとうこともなく、ノホホンと普通のクルマづらをしているところが、いかにも“技術の消化が進んだ”感があって、うーん、新世紀。
内外ともいささか地味な3ボックスカーに乗り込んで、キーをひねってガスペダルを踏み込むと、「ヒーン!」というサウンドとともに目の醒めるような加速を見せ……なんてことはなく、シビックハイブリッド、ドライブしてもまるで普通だ。速度計の右隣で「IMAメーター」が、エネルギーの収支計よろしく、バッテリーチャージすると左、モーターアシストで右に目盛りを伸ばすのが、最もハイブリッドカーらしいところか。
新IMAシステムこと「1.3リッター直4+電気モーター」をCVTと組み合わせたドライブトレインは、走り出しが力強く、静かでトルキー。加減速ともごく自然、というか、純内燃機関モデルっぽい。"生煮え"なところが見られたインサイトと比較すると、大幅なリファインだ。一方、気になるのは足がツッぱるような乗り心地で、特に燃費に貢献する汎用タイヤの路面へのあたりが硬い。先行するライバル、トヨタ・プリウスのカタログ燃費を上まわるためだとしたら、ずいぶん前世紀的なハナシではある。
【概要】どんなクルマ?
(シリーズ概要)
シビックフェリオは、2000年9月に登場した7代目シビックの3ボックスバージョン。2001年12月14日に、新「IMAシステム」を搭載したハイブリッド版が加わった。純内燃機関モデルは、1.5リッターVTEC「リーンバーン」ユニット(105ps)をメインに据え、1.5VTEC(115ps)、1.5SOHC(105ps)、1.7VTEC(130ps)と、4種類のエンジンをラインナップ。ハイブリッド車は、1.3リッターと電気モーターが組み合わされる。トランスミッションは、5MT、4AT、CVT。FFのほか、4WDもある。
(グレード概要)
シビックハイブリッドは、空力特性を上げるため、ノーマル「フェリオ」より10mm車高を落とし、エアロバンパー、トランクスポイラー、エンジンアンダーカバー、リアフロアサイドカバーを付ける。また、フロント、ボディサイドのターンシグナルライトにクリアレンズ、そしてステンレスサイドウィンドウモールを装着、アルミホイールも専用品だ。ただのフェリオより、グッとカッコいい? エンジン、モーターの効率を上げ、「PCU(パワーコントロールユニット)+バッテリー」ほか電装ユニットの容積を約50%低減することで、動力・居住空間とも、4ドアセダンとしての実用性を確保した。カタログ燃費(10・15モード)=29.5km/リッターと、トヨタ・プリウスを0.5km/リッター上まわったのがジマン。
【車内&荷室空間】乗ってみると?
(インパネ+装備)……★★★
自発光メーター採用。スピードメーター、タコメーターに加え、ハイブリッドシステムの作動状況を知らせる「IMAメーター」が装備された。これは、「ガソリン」「水温」「バッテリー残量」と「チャージ/アシスト」で構成されるもの。発進、加速時にモーターがアシストすると、右方向に青い目盛りが伸び、一方、ブレーキ時などにエネルギーが回収されると、チャージの度合いによって緑の目盛りが左方に表示される。ペダル操作ほかに敏感に反応するので、エコドライブにヤル気が出る(?) センターコンソールの「黒木目調パネル」は、ビンボーくさいのでヤメタ方がいい。
(前席)……★★★
ドライバーズシートにのみダイヤル式の座面角度コントロールが備わる。座り心地は硬め。座面は平板だが、バックレストの控え目なサイドサポートが、ほどほどに上体を支えてくれる。シビックハイブリッドのボディカラーは8色が用意されるが、内装はモケットとトリコットを組み合わせたベージュのファブリックシート&トリムのみとなる。
(後席)……★★
フラットなフロア構造の恩恵で、足もとは広々。ヘッドクリアランスもじゅうぶん。スペース面では快適な環境だ。シートのサイズは標準的。ただ乗降性に考慮したのか、座面両端が斜めに大きく欠ける形状をとる。片足がはみ出す感じで、ちょっともったいない。腰がないクッションも減点対象。さらに残念なのはヘッドレストが背もたれ一体型で、高さも足りないこと。乗車定員は5名だが、センターは2点式シートベルトでヘッドレストもないので、オススメできない。なお、シビックハイブリッドは北米輸出モデルのため、ISOFIX対応チャイルドシート用アンカーはもちろん、チャイルドシート頂部から伸びるテザーストラップをとめるアンカーも備わる。
(荷室)……★★★
床面最大幅133cm、奥行き78cm、高さ50cmのラゲッジルーム。後席後ろに搭載した「インテリジェントパワーユニット」(ニッケル水素バッテリー+パワーコントロールユニット)の小型化により、342リッター(VDA方式)の容量を確保した。9インチのゴルフバッグ4つを積めるという。ライバルたるプリウスは、狭いながらもトランクスルーを可能としたが、コチラはまだそこまでこなれていない。
【ドライブフィール】運転すると?
(エンジン+トランスミッション)……★★★★
内燃機関は、フィットで使われる1.3リッター直4「i-DSI」ユニットがベースだが、8割が専用部品だという。シビックハイブリッドのそれはリーンバーン化された。また、VTECを採用、減速時に4気筒のうち3気筒のバルブを休止させることで、従来、エンジンブレーキとして失われていたエネルギーを回収することが可能になった。つまり、いままでバルブを通して吸排気していたために生じた抵抗を、密閉されたシリンダー内でピストンを「下げ」「上げ」する−−ひっぱり、ひぱられる−−ことでほぼ相殺するわけだ。エンジンブレーキは、発電機として働くモーターの抵抗が代替する……って、なんて頭イイんでしょ!? 実際、ガスペダルから足を離しての回生時も、エンジンブレーキと勘違いするばかりの(?)減速感。
「ホンダマルチマチックS」ことCVTはむやみに回転を上げない設定がとられ、出力、回生トルクとも30%アップのモーターと合わせて、フラットなトルク特性を得た。結果としてあまり回さないので、車内は静かだ。シフターを「D」から「S」に入れると、回転が1000rpmほど跳ね上がって活発に走れるが、ハイブリッドカーゆえ、なんかもったいないんだよね。
(乗り心地+ハンドリング)……★★
スプリング、ダンパーはシビックハイブリッド専用チューン。スタビライザーはフロントが強化され、またリアには追加された。そのほか、ブッシュのコンプライアンスやダンパーマウント、フロントサスのキャスタートレイル量など各部に手が加えられた。が、そのわりに乗り味はパッとしない。市街地では路面への当たりが硬く、高速巡航ではときにボディが上下にゆれるバウンシングあり。フェリオのトップグレードとして、今後の熟成が待たれる。あと、装着タイヤの見直しも。
(写真=清水健太)
【テストデータ】
報告者:webCG青木禎之
テスト日:2002年1月17日
テスト車の形態:広報車
テスト車の年式:2002年型
テスト車の走行距離:1280km
タイヤ:(前)185/70R14 88S/(後)同じ(いずれもDunlop SP10)
オプション装備:ディスチャージヘッドランプ/サンルーフ/ホンダナビゲーションシステム/前席サイドエアバッグシステム
テスト形態:ロードインプレッション
走行状態:市街地(4):高速道路(6)
テスト距離:468.4km
使用燃料:32.3リッター
参考燃費:14.5km/リッター

青木 禎之
15年ほど勤めた出版社でリストラに遭い、2010年から強制的にフリーランスに。自ら企画し編集もこなすフォトグラファーとして、女性誌『GOLD』、モノ雑誌『Best Gear』、カメラ誌『デジキャパ!』などに寄稿していましたが、いずれも休刊。諸行無常の響きあり。主に「女性とクルマ」をテーマにした写真を手がけています。『webCG』ではライターとして、山野哲也さんの記事の取りまとめをさせていただいております。感謝。
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