ダイハツ テリオスキッドCX (4AT)【ブリーフテスト】
ダイハツ テリオスキッドCX (4AT) 2001.11.22 試乗記 ……152.8万円 総合評価……★★★★ドリームカー
エンジン縦置きのFR型4WDでビルトイン(つまり独立別体ではない)梯子フレームの車体構造。オフロード走破性重視の大径車輪、および下まわりのクリアランス設計。つまりこのクルマ、ハードウェア構成はジムニーやパジェロミニに近い。ヨンクの機構も、ロック可能のセンターデフをもつフルタイム式と本格派。かつ独自性高し。それでいて客室、特に後席のスペースその他快適性は上記2車を足元にも寄せつけないレベルにある。いかにもSUV然としたタフな手応えがうれしい一方で、乗用車としての洗練度も高い。
ということでテリオスキッド、なかなかに得難いキャラの持ち主だ。ニッチのニッチといえばそうだが、その細いセン狙いが実をともなっている、ように思える。説得力がある。軽トラのヨンクやジムニーが本当に必要とされる環境が日本にはあるわけで、そういうところへもっていったらちょっとしたドリームカーではないか。大げさかもしれないけど。
おしいことに、そうした魅力が市場ではあんまり理解されていない。正体不明のマイナー車に終わっているフシがある。そういえば、最初に“キッド”じゃないテリオスが出たときCMには神田うのが起用されていた。女性ボーカルの「♪ズンターズンター」系の安いロックがBGMで。このクルマのコンセプトをまったく理解していない代理店野郎にカルくダマされたとしか思えない。クワガタ虫を生で食べたらあんな感じではないかという、忘れられない後味の悪さ。いまは亡きロッキーの相原勇(当時)といい、そのへんダイハツはホントにヘタ打ったものだ。
【概要】 どんなクルマ?
(シリーズ概要)
1998年10月に登場した新規格軽自動車のSUV。4WDモデルに続いて、2000年1月に2駆版(FR)が追加設定された。ボディサイズは全高×全幅×全高=3395×1475×1675〜1740mmと、軽自動車の新規格いっぱいの大きさ。ボディはダイハツの衝突安全システム「TAF」を採用することによって、国内、欧州衝突安全基準をパスしたという。
搭載されるエンジンは水冷直3DOHCターボで、インタークーラー付きが64ps/10.9kgm、なしは60ps/8.6kgmのパワー/トルクを得る。トランスミッションは5MTと4ATの2種類。
グレードは、ベーシックな「CL」、ドレスアップされた「エアロダウン」と、その廉価版となる「CLカスタム」、4WD車のみ設定の「CX」などがある。
(グレード概要)
「テリオスキッド CX」は、4WD設定のみの設定で、メッキのフロントグリルやルーフレールなどの装備を充実させたグレード。インタークーラーターボを積んだ「エアロじゃない」版である。現在のモデルは2000年11月6日にマイナーチェンジを受け、フロントバンパーとアンダーガード、メッキグリルとリアコンビネーションランプの意匠が変更されたほか、4灯式ハロゲンヘッドランプなどが採用された。トランスミッションは4ATと5MTが用意される。
【車内&荷室空間】 乗ってみると?
(インパネ+装備)……★★★★
全体のカタチや高さ、およびピラーの位置と角度がきわめてよい。運転席に座って前方を眺めた際に実に気持ちがいい。無様で役立たずなフェンダーミラーがなかったら最高だ。いわゆるデザインも、奇をてらっていなくて好感が持てる。
(前席)……★★★★
床から高いところに背筋をシャキッと延ばして座れる。全体を上下させる調整機構はついていないしまたハンドルも固定だが、それで良好な運転ポジションを得られる。また、シートじたいのフィット感も日本車にしてはけっこうマジメに細部をツメた手応えあり。特に背もたれがよかった。
(後席)……★★★★
軽自動車の、というただし書きつきならこれくらいの点数はあげてもいいでしょう。前席同様、ちゃんとしたもんである。あと、空間がガバガバでないのもいい。背もたれがリクライン機構つきなので「ゲッ」と思ったが、探したところ起きすぎでも倒れすぎでもなくかつシートベルトも肩にちゃんとかかる角度があった。
(荷室)……★★★
テリオスからオバフェンとっただけの車体かと思いきや、実は荷室の床も切り詰められている。ということで、4人乗車時の容積はさすがに大きくない。が、エンジン縦置きの軽自動車でちゃんとした後席環境を確保したうえでこれなのだから責めるにはあたらない。むしろ「よくぞここまで」と一瞬思ったら、実はちゃんとタネ明かしがあった。テリオスキッドの全長3.4mに、背負ったスペアタイヤの厚みのぶんは含まれていない。
後席折り畳み機構は座面背もたれとも50:50分割のダブルフォールディング。したがって、必要なら3人+大荷物も十分可。
【ドライブフィール】 運転すると?
(エンジン+トランスミッション)……★★★
1トンの車重を苦にもせず元気よく走る。お好きなかたには5MTの用意もある(パワートレイン縦置きのメリットは小さくないはず)。いい気になってハイウェイの追い越し車線をキープすると(ホントはイケナイことですよ)燃費は3リッター大型セダン並みになるが、それはターボの軽ならどれでも大同小異。許しがたいというなら軽じゃないテリオスを。ちなみに排気量1.3で車重1070kg(CX)。ナンなら1.3のターボもあります。
(乗り心地+ハンドリング)……★★★★
背の高い「軽」ということで思わず心配になる“グラッと”系のコワい動きなし。アシはわりと正直に締め上げられているが、受け止める側=車体がガッチリしているせいか痛いショックも特になし。ヘンに回頭性ウンヌンを意識せずスタビリティ重視のシャシーセッティング。そもそも、2420mmのホイールベースは軽としては限界に近い長さ。前後のオーバーハング質量の小ささは乗っていても明確にわかる。故ホンダ・ビートに似ているといえなくもない。そしてフルタイム4WDならではの安心感。実際に試したわけではないけれど、こういうクルマは雪道で遊ぶと(公道はいけませんよ)かなり楽しいと思う。経験からして。
(写真=河野敦樹)
【テストデータ】
報告者:森慶太
テスト日:2001年10月16日から18日
テスト車の形態:広報車
テスト車の年式:2001年型
テスト車の走行距離:5026km
タイヤ:(前)175/80R15 90S/(後)同じ(いずれもブリヂストンDUELER H/T687)
オプション装備:ABS(EBD付)(4.8万円)、ダイレクトトラクションLSD(リミテッドスリップデフ)(4万円)
テスト形態:ロードインプレッション
走行状態:市街地(3):高速道路(6):山岳路(1)
テスト距離:235.1km
使用燃料:32.5km
参考燃費:7.2km/リッター

森 慶太
-
トヨタbZ4XツーリングZ(4WD)【試乗記】 2026.8.29 「トヨタbZ4X」にワゴンのようなロングボディーを持つ「ツーリング」が登場。ただ長くなっただけではなく、今回試した4WDモデルではパワーもアップ。乗り味にも微妙な影響を及ぼしているから見逃せない。経路充電を試しつつ、370km余りをドライブした。
-
BMW 120オリジナル(FF/7AT)【試乗記】 2026.8.25 BMWの主要モデルに新グレードの「オリジナル」が設定された。位置づけとしては新たなエントリーグレードということになるが、BMWらしさを損なうことなく装備を厳選し、価格を抑えたのがポイントだという。「1シリーズ」の「120オリジナル」の仕上がりをリポートする。
-
トライアンフ・スラクストン400(6MT)【レビュー】 2026.8.25 カフェレーサーの本場である、イギリスのトライアンフがリリースした「スラクストン400」。車名のとおり、カジュアルに楽しめる400ccクラスのマシンではあるのだが、その実物からは、エントリーモデルとは思えない本物の香りが漂っていた。
-
スズキeスカイ プロトタイプ(FWD)【試乗記】 2026.8.24 スズキが満を持して世に問う、軽規格の新型電気自動車「eスカイ」。軽乗用車の本質である、生活の足としてのちょうどよい性能を追求したという一台は、どのようなクルマに仕上がっているのか? 2026年秋の正式発表を前に、プロトタイプモデルに試乗した。
-
DS N°8エトワールAWD(4WD) 2026.8.22 DSオートモビルから登場した、新時代の旗艦モデル「N°8」。完全新設計のシャシーにアクティブサスペンションを組み合わせた電気自動車(BEV)は、往年の“ハイドロ”を思わせる乗り味と人車一体の走りを備えた、稀有(けう)なサルーンに仕上がっていた。
-
NEW
スポーツカーに未来はあるか?
2026.9.1あの多田哲哉のクルマQ&A年々、開発環境が厳しくなるといわれるスポーツカーは、この先も存在しうるのか? トヨタのエンジニアとしてさまざまなスポーツカーを開発してきた多田哲哉さんに“未来のスポーツカー像”を聞いた。 -
NEW
トヨタGRヤリスRZ“ハイパフォーマンス”+エアロパフォーマンスパッケージ【試乗記】
2026.9.1試乗記2020年のデビュー以来、間断なく進化を続けてきたコンパクトスポーツの「トヨタGRヤリス」。一般ユーザーの間ではもちろん、コンペティションの世界でもチューニングのかいわいでも光を放つ一台は、2026年モデルでどう進化したのか? その走りを報告する。 -
NEW
“自然を連想する車名”の名車特集
2026.9.1日刊!名車列伝暑さが和らぐ一方で、台風シーズンとも呼ばれる9月。その風をはじめ、星座、景観など自然を連想させる名前が与えられた、世界の名車を日替わりで紹介します。 -
興味があるのはたったの3割!? 自動車業界を揺るがすSDVやAIって本当に必要なの?
2026.8.31デイリーコラム自動車も、スマホのように機能がアップデートできるようになる! ……ということで注目されるソフトウエアディファインドビークル(SDV)だが、日本のユーザーの多くが「いらない」と思っていることが判明! 急速に進むデジタル技術の、必要性について考えた。 -
第343回:おやじ、涅槃で待つ
2026.8.31カーマニア人間国宝への道清水草一の話題の連載。ちまたでの評判がよく、売れ行き好調の新型「日産キックス」に試乗した。その出来はカーマニアをも満足させる評判どおりのもので、新車購入のきっかけにもなった。え? 購入したのはキックスではない? -
アウディQ3スポーツバックTFSIクワトロ150kWアドバンスト(4WD)【試乗記】
2026.8.31試乗記フルモデルチェンジした「アウディQ3スポーツバック」に試乗。プラットフォームやパワートレインこそ従来型の改良版ではあるものの、内外装のデザインやインフォテインメント、効率性のすべてにおいて大幅な進化を遂げたという。その仕上がりやいかに。































