スバル・インプレッサ S202 STi Version(6MT)【試乗記】
ストリートだけではもったいない 2002.07.02 試乗記 スバル・インプレッサ S202 STi Version(6MT) ……360.0万円 フォグランプカバーに入ったチェリーピンクのSTiの文字とカーボン製リアウィング、そしてRAYSのアルミホイールが凄みをきかすワークスチューンド・インプレッサ、S202。webCG記者が、320psのSTi スパシャルバージョンにハコネで乗った!
拡大
|
拡大
|
予約殺到
スバル「インプレッサWRX STi」といえば、いわずとしれたハイパワー4WDマシン。WRC(世界ラリー選手権)において1995年から3年連続のチャンピオンマシンに輝いたうえ(2001年にはドライバーズタイトル獲得)、パワー・トゥ・プライス・レシオ(?)においても破格のパフォーマンスを誇る。280psインプレッサの最廉価版にして通好みの軽量バージョン「type RA spec C」は271.3万円からだから、1馬力あたり1万円を切ってる!
2002年5月7日に発表された「インプレッサ S202 STi Version」は、その「STi type RA spec C」がベース。競技分野での使用を前提に、徹底的な軽量化やエンジンの強化を施した「spec C」に、さらにスバルのモータースポーツ専門会社「STi」ことスバル・テクニカ・インターナショナルが手を加えた、名実ともに「ワークスチューン」。ピークパワーは、なんと320ps! カタログには「STIエモーションを注ぎ込んだ極上のオンロードスポーツ性能」との記述が躍る。コピーも過熱気味だ。
S202は、車両本体価格360.0万円で、400台の限定販売。残念なのは1万円/1psを上まわったこと……ではなく、同年6月3日からの販売開始を待たずに売り切れてしまったこと。発表と同時に予約が殺到、わずか2週間で400台に達したという。
拡大
|
拡大
|
拡大
|
「カコッ」という音が……
テスト車のペイントは、目に鮮やかな「アストラルイエロー」。ヘッドランプは4灯ともハロゲン化され、足もとにはブロンズアルマイト処理されたRAYSの17インチ鍛造アルミホイールがニヒルに光る。さらに、リアのトランクリッドに生える「カーボン製ウィングスポイラー」がただならない様子。ツヤ消しブラックが、「渋いッス」。
ドアを開けると、STiでお馴染みブルーのエクセーヌを使ったバケットシートが現われる、と思いきや、バケットながらシートは濃い灰色だった。専用のブラックトリム&シート素材。「S202を駆るドライバーのコンセントレーションを高める環境づくりに心を配った」(カタログ)そう。ブルーパネルに赤い指針のスポーツメーター(タコメーターが中央に置かれる)、アルミ製ペダルもS202のスペシャルだ。
インパネまわりはほとんど黒一色。スパルタンだ。STiバージョンに共通のシルバー調センターコンソールパネルも半ツヤ消しブラックに変えられ、オーディオが収まるはずの場所はぽっかり口を開けている。もっとも、エアコンとパワーウィンドウが備わることが、競技ベースからストリートモデルへの変身を物語る。
クラッチを踏んでキーをひねると、320psのチューンドユニットは、あっけなく始動した。当たり前である。専用大口径“チタン製”マフラーから発せられる音は、アイドリング時はそれほど大きくない。ボクサーターボは安定して回る。
クラッチをミートして、1速、2速とギアを上げるたびに、「カコッ、カコッ」という音が聞こえる。遮音材や内張をトコトン削ったことによるのだろう、ベースとなった spec C は、アンダーコートは落とされ、ガラスはすべて軽量ガラス、ルーフ、トランクリッドには薄板化され、もちろん、フロアトンネルのインシュレーターもない。S202も同じだ。
黄色いインプレッサの“ワークスチューン”ぶりを確認すべく、ハコネに向かった。高速道路にのってスロットルペダルを踏み込むと、320psユニットは、「タガが外れた」ようにトップエンドまで吹け上がる。ピークパワーが出る6400rpm時(リミットは8000rpm)は、ローで50km/h、セカンドで80km/h、サードでは110km/h弱。シフトアップでアクセルを戻すたび、ブローオフバルブから「プシュー!」という音が聞こえる。さらに「ジェット機の離陸音をイメージ」したというエグゾーストノートが、ただでさえ強烈な加速を演出する。マフラーは、“超”低背圧力一室短管式のチタン製。標準品より5.4kg軽いという。
いまからワークス貯金を
「専用スポーツECU」を用いたフラット4は、ターボバンに入ったときの“段つき感”が、ノーマルよりあきらかに少ない。回転計の針が4000rpmを超えたあとのトルクの落ち込みが抑えられたため、スペック上は39.2kgm/4400rpmとベースモデルと変わらないが、あたかも排気量が上がったかのような厚みがある。トップギアたる6速での100km/h巡航が2900rpm。そこからスロットルを開けると、余裕をもった加速が味わえる。
ハコネに着いて、STiのスペシャルチューンド・インプレッサに鞭を入れると、これは血の気が引くほど速い。まさに、騎手の意思を超えて疾走する黄色い悍馬。ピレリP-ZERO ROSSOがやんわりと、しかしガッシリ路面を掴む。
機械式LSDは、公道マシンとしては強烈に利いて、スロットルを踏んでいるかぎりグイグイとコーナーの内側にコンパクトなセダンを押し込んでいく。ただし、ドライバーが怖じ気づいてスロットルペダルに載せた足の力を抜くと、たちまちアンダーステアを出して抗議する、いや、乗り手の弱気をせせら笑う。チェリーレッドで「STi」とステッチが入ったシートに座ったら、腹を据えてステアリングホイールを握らなければならない。
怒濤の動力性能に合わせて、ストッピングパワーも向上している。ディスクローターは、スロット入りの専用品で、ブレーキホースもレーシィにステンメッシュホースだ。リニアに制動力が立ち上がる。
リアサスが、2本のラテラルリンク、前後の位置を決めるトレーリングリンクとも、ピロボールブッシュが採用された。峠でウデ自慢を気取るだけには、ちょっともったいない感じだ。
「ストリートにおけるオンロード性能の向上を徹底追求」(カタログ)したS202だが、ストリートに限らず、ぜひ「走行会」などに参加してサーキットに持ち込んでください。その方がきっと楽しいし、S202にふさわしい、と思う。それから、無念にも今回買いそびれた御仁は、もっとスゴイ「ワークスチューン」を期待しつつ、いまから貯金を始めても遅くはない。
(文=webCGオオサワ/写真=清水健太/2002年6月)

大澤 俊博
-
ドゥカティ・ハイパーモタードV2 SP(6MT)【海外試乗記】 2026.5.15 刺激的な走りを追求した「ドゥカティ・ハイパーモタード」の2気筒モデルがフルモデルチェンジ。まったく新しい「ハイパーモタードV2」が登場した。エンジンもフレームも刷新されたニューモデルでドゥカティが追求した走る喜びとは? 伊モデナから報告する。
-
アストンマーティンDBX S(4WD/9AT) 2026.5.13 英国の老舗、アストンマーティンのハイパフォーマンスSUV「DBX」がさらに進化。名前も新たに「DBX S」となって登場した。シャシーを煮詰め、最高出力を727PSに高めるなどの手が加えられたその走りを、クローズドコースで確かめた。
-
マセラティMCプーラ チェロ(MR/8AT)【試乗記】 2026.5.12 イタリアの名門が放つ、ミドシップのオープンスポーツ「マセラティMCプーラ チェロ」。スーパーカーの走りとグランドツアラーのゆとり、そしてぜいたくなオープンエアドライブを同時に楽しめる一台からは、マセラティがクルマに込める哲学が、確かに感じられた。
-
ロールス・ロイス・ゴースト エクステンデッド(4WD/8AT)【試乗記】 2026.5.11 「ロールス・ロイス・ゴースト」が「シリーズII」へと進化。先進性の強化とともに目指したのは、ブランド史上最もドライバー志向のサルーンだという。ロングホイールベース版の「エクステンデッド」で雲の上の世界を味わってみた。
-
スズキeビターラZ(FWD)【試乗記】 2026.5.9 スズキが満を持して投入した、コンパクトSUVタイプの新型電気自動車(BEV)「eビターラ」に試乗。スズキの将来を占う量販BEVの第1弾は、「よいものを手ごろな価格で」という彼らのポリシーにたがわぬ一台に仕上がっていた。
-
NEW
ホンダCR-V e:HEV RS(FF)【試乗記】
2026.5.16試乗記「ホンダCR-V」のエントリーモデルとして位置づけられる「e:HEV RS」のFWD車に試乗。ライバルとして北米市場で激しい販売競争を繰り広げる「トヨタRAV4」との比較を交えながら、世界規模でホンダの屋台骨を支えるグローバルベストセラーSUVの実力に迫る。 -
第870回:熱きホンダをとことん楽しむ これが「Honda All Type R World Meeting 2026」だ!
2026.5.15エディターから一言「シビック タイプR」をはじめ、“タイプR”の車名を持つホンダの高性能車ばかりが集う、激アツのイベントが開催された。気になるその内容は? 会場となったモビリティリゾートもてぎの様子を詳しくリポートする。 -
新しくなった「GRドライビングエクスペリエンス」を体験取材! GAZOO Racingのレーサーに運転を学ぶ
2026.5.15デイリーコラムトヨタのGAZOO Racingが主催するドライビングセミナー「GRドライビングエクスペリエンス」が大幅リニューアル! これまでとは何が変わり、どんなことが新しく体験できるようになったのか? webCG編集部員が、現役のレーシングドライバーから運転を学んできた。 -
ドゥカティ・ハイパーモタードV2 SP(6MT)【海外試乗記】
2026.5.15試乗記刺激的な走りを追求した「ドゥカティ・ハイパーモタード」の2気筒モデルがフルモデルチェンジ。まったく新しい「ハイパーモタードV2」が登場した。エンジンもフレームも刷新されたニューモデルでドゥカティが追求した走る喜びとは? 伊モデナから報告する。 -
第289回:最強の格闘家は破壊されるクルマに自分を重ねた 『スマッシング・マシーン』
2026.5.14読んでますカー、観てますカードウェイン・ジョンソンが映画化を熱望した伝説の格闘家マーク・ケアーの栄光と没落の人生を描く。東京ドームで行われた総合格闘技イベント、PRIDEグランプリ2000を完全再現! -
第961回:海賊エンツォ・フェラーリ 敵に取り囲まれる
2026.5.14マッキナ あらモーダ!F1における、フェラーリとイギリスのコンストラクターの戦いにフォーカス。「トリノ自動車博物館」でスタートした企画展「ドレイクの敵たち—エンツォ・フェラーリと英国のチーム」を、イタリア在住のコラムニスト、大矢アキオがリポートする。
































