メルセデスベンツC200コンプレッサー(5AT)【ブリーフテスト】
メルセデスベンツC200コンプレッサー(5AT) 2000.11.01 試乗記 ……450.0万円 総合評価……★★★★新たなスタート
さて皆様お待ちかね、でもない人も多いかもしれないが、少なくとも業界的にはお待ちかねの新型車、メルセデスベンツCクラスが、2000年9月26日に日本に上陸した。BMWやアウディのみならず世界中の自動車メーカーがベンチマーク視しているクルマであり、「3シリーズよりもスポーティーなのか」「A4よりも質感は高いのか」「新型マークIIのほうがいいらしい」など、仮想敵がたくさんいるクルマでもあるから、自動車雑誌はCクラスで当分喰っていけたりする。ごちそうさま。
「最善か無か」をモットーに、コストを度外視した過剰品質のクルマをつくり続けていたメルセデスも時代の波風には勝てず、いままで考えたこともやったこともなかった「コスト削減」という難問に取り組む。ところがそうして出てきた「E」や「A」や「M」はすっかりメルセデスらしくなくなって世界各地で不満続出。こうした失敗と経験を踏まえ、コストを考慮しながらもメルセデスらしさを充分盛り込んだ、とメルセデスが胸を張るのが新型Cクラスなのである。
【概要】 どんなクルマ?
(シリーズ概要)
2000年9月27日から日本での販売が開始されたニューCクラス。190の後継車として初代Cクラスがデビューしたのは1993年だから7年ぶりのフルモデルチェンジということになる。「ボディ」はもちろん、「ステアリング形式」(ボールナットからラック&ピニオンへ)も「フロントサスペンション形式」(ダブルウイッシュボーンからストラットへ)も変更し、見ても乗っても触っても先代Cクラスの面影はほとんど残っていない。なお、先代Cクラスベースのワゴンは引き続き販売される。新型Cクラスのワゴンは来年末ぐらいに登場する予定だそうだ。
(グレード概要)
日本に正規輸入されるCクラスは、「C180」「C200コンプレッサー」、そして「C240」の計3種類。2リッターの直列4気筒をつんでいるのにC180と呼ばれる廉価版は390.0万円。日本で販売されるCクラスの半数近くを占めると言われているC180は右ハンドルのみの設定で、ウワサの南アフリカ産。デリバリーは他の2車種よりちょっと遅れて12月から開始される。すでに出まわりつつあるC200コンプレッサーとC240の右ハンドルはまだドイツ産。やがてすべての右ハンドルは南アフリカ産となるので、「どーしてもどーしてもドイツ産じゃなきゃイヤ!」という方はお早めに。
【車内&荷室空間】 乗ってみると?
(インパネ+装備)……★★★
メーターの意匠と各種データが真ん中に次々と映し出されるシステムはSクラスとほぼ同一。必要以上の装備に不満はない。が、しかし。カップホルダーとシフトレバーは右ハンドル仕様でも左ハンドルのまま。ワイパーはちゃんと右ハンドル仕様に変更されているのに。簡単なことのほうがおろそかになっているとはこれいかに。
(前席)……★★★★
運転席はステアリングも含めすべて電動調節式。いろいろ試しているうちにベストポジションがわからなくなってしまうこともあるが、そんな時はシートメモリーを使えばよし。ファブリックのシート地は今回からウールの糸を使用しているので手触りや質感が向上している。 (後席)……★★
普通のクルマなら★★★だがこれがメルセデスだと★★。シートバックは大きく後ろへ傾き、ヒップポジションを極端に下げ、ドアの内張りとフロントシート裏をえぐることでスペースを稼ぎ出している。スペースはあるが人間工学はどこへ。
(荷室)……★★★★
スペースは充分。日本仕様はリアシートが分割可倒式。クッションを上げてシートバックを倒す際、ヘッドレストを引き抜く必要なし。
【ドライブフィール】 運転すると?
(エンジン+トランスミッション)……★★★★
2リッターのコンプレッサーモデルはSLKがデビューした時に税制の関係からイタリアやギリシャなどに輸出されていたユニット。しかしコンプレッサーはもちろん、4気筒自体にも大幅に手が加えられたので、SLKのそれに比べればすこぶるいい。過給機のメカニカルノイズはほとんどなくなり、トルクの立ち上がりもスムーズ。車重が先代より約100kg増えているので、これぐらいのパワーがあれば頼もしい。5段ATとの相性も悪くない。でも外で聞くエンジン音はディーゼルみたい。
(乗り心地+ハンドリング)……★★★★
先代に比べればスポーティーになったけれどあくまでもメルセデスの宇宙の中での話であって、BMWほどではないしあえてそうはしていない。したがっていままでのメルセデスを知っている人は喜び、BMWファンは「まだまだ」とホッとする。高速巡航時の直進安定性は秀逸。スピードを出せば出すほど路面にぴったりくるカンジは昔の500Eあたりを彷彿とさせる。外ではうるさいエンジン音も室内ではほとんど気にならない。乗り心地は良。
【テストデータ】
報告者: CG編集部 渡辺慎太郎
テスト日: 2000年10月13日
テスト車の形態: 広報車
テスト車の年式:2000年型
テスト車の走行距離: 1300km
タイヤ: (前)195/65R15(後)同じ(いずれもブリヂストン・トランザER30)
オプション装備:--
テスト形態: ロードインプレッション
走行状態: 高速道路(5):市街地(2):山岳路(3)
走行距離: 500km
使用燃料: --
参考燃費: --

渡辺 慎太郎
-
BMW 525LiエクスクルーシブMスポーツ(FR/8AT)【試乗記】 2025.10.20 「BMW 525LiエクスクルーシブMスポーツ」と聞いて「ほほう」と思われた方はかなりのカーマニアに違いない。その正体は「5シリーズ セダン」のロングホイールベースモデル。ニッチなこと極まりない商品なのだ。期待と不安の両方を胸にドライブした。
-
スズキ・エブリイJリミテッド(MR/CVT)【試乗記】 2025.10.18 「スズキ・エブリイ」にアウトドアテイストをグッと高めた特別仕様車「Jリミテッド」が登場。ボディーカラーとデカールで“フツーの軽バン”ではないことは伝わると思うが、果たしてその内部はどうなっているのだろうか。400km余りをドライブした印象をお届けする。
-
ホンダN-ONE e:L(FWD)【試乗記】 2025.10.17 「N-VAN e:」に続き登場したホンダのフル電動軽自動車「N-ONE e:」。ガソリン車の「N-ONE」をベースにしつつも電気自動車ならではのクリーンなイメージを強調した内外装や、ライバルをしのぐ295kmの一充電走行距離が特徴だ。その走りやいかに。
-
スバル・ソルテラET-HS プロトタイプ(4WD)/ソルテラET-SS プロトタイプ(FWD)【試乗記】 2025.10.15 スバルとトヨタの協業によって生まれた電気自動車「ソルテラ」と「bZ4X」が、デビューから3年を機に大幅改良。スバル版であるソルテラに試乗し、パワーにドライバビリティー、快適性……と、全方位的に進化したという走りを確かめた。
-
トヨタ・スープラRZ(FR/6MT)【試乗記】 2025.10.14 2019年の熱狂がつい先日のことのようだが、5代目「トヨタ・スープラ」が間もなく生産終了を迎える。寂しさはあるものの、最後の最後まできっちり改良の手を入れ、“完成形”に仕上げて送り出すのが今のトヨタらしいところだ。「RZ」の6段MTモデルを試す。
-
NEW
開幕まで1週間! ジャパンモビリティショー2025の歩き方
2025.10.22デイリーコラム「ジャパンモビリティショー2025」の開幕が間近に迫っている。広大な会場にたくさんの展示物が並んでいるため、「見逃しがあったら……」と、今から夜も眠れない日々をお過ごしの方もおられるに違いない。ずばりショーの見どころをお伝えしよう。 -
NEW
レクサスLM500h“エグゼクティブ”(4WD/6AT)【試乗記】
2025.10.22試乗記レクサスの高級ミニバン「LM」が2代目への代替わりから2年を待たずしてマイナーチェンジを敢行。メニューの数自体は控えめながら、その乗り味には着実な進化の跡が感じられる。4人乗り仕様“エグゼクティブ”の仕上がりを報告する。 -
NEW
第88回:「ホンダ・プレリュード」を再考する(前編) ―スペシャリティークーペのホントの価値ってなんだ?―
2025.10.22カーデザイン曼荼羅いよいよ販売が開始されたホンダのスペシャリティークーペ「プレリュード」。コンセプトモデルの頃から反転したようにも思える世間の評価の理由とは? クルマ好きはスペシャリティークーペになにを求めているのか? カーデザインの専門家と考えた。 -
トヨタ・カローラ クロスGRスポーツ(4WD/CVT)【試乗記】
2025.10.21試乗記「トヨタ・カローラ クロス」のマイナーチェンジに合わせて追加設定された、初のスポーティーグレード「GRスポーツ」に試乗。排気量をアップしたハイブリッドパワートレインや強化されたボディー、そして専用セッティングのリアサスが織りなす走りの印象を報告する。 -
SUVやミニバンに備わるリアワイパーがセダンに少ないのはなぜ?
2025.10.21あの多田哲哉のクルマQ&ASUVやミニバンではリアウィンドウにワイパーが装着されているのが一般的なのに、セダンでの装着例は非常に少ない。その理由は? トヨタでさまざまな車両を開発してきた多田哲哉さんに聞いた。 -
2025-2026 Winter webCGタイヤセレクション
2025.10.202025-2026 Winter webCGタイヤセレクション<AD>2025-2026 Winterシーズンに注目のタイヤをwebCGが独自にリポート。一年を通して履き替えいらずのオールシーズンタイヤか、それともスノー/アイス性能に磨きをかけ、より進化したスタッドレスタイヤか。最新ラインナップを詳しく紹介する。