ポルシェ2001年モデル 911カレラ4カブリオレ/911カレラ4クーペ/911ターボ【試乗記】
ポルシェ2001年モデル「南九州試乗会」報告(その2) 2000.12.07 試乗記 2000年11月15日から、2日間にわたって開かれた「ポルシェの2001年モデル試乗会」。宮崎、鹿児島、熊本と、ポルシェ各モデルを乗り継いで走ったジャーナリスト金子浩久が、最新911シリーズを報告する。 いわゆる「2001年モデル」の911NAモデルに大きな変更はない。ドライバーズシートのメモリー機能が増え、LEDを使った室内灯が導入され、電話用アンテナがフロントスクリーンに埋め込まれた程度。一方、ターボモデルは、バルブタイミングのみならず、バルブリフト量も変更する「バリオカムプラス」が搭載された。
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911はカブリオレに限る!911カレラ4カブリオレ(5AT)……1330.0万円
自動開閉式のソフトトップを備えた911のカブリオレ。2輪駆動の「カレラ」にも、4輪駆動の「カレラ4」にもカブリオレはラインナップされており、駆動方式、トランスミッションを問わず、価格はクーペモデルの160.0万円高。
トップ以外は、クーペとまったく同じと謳われる通り、ボディのクオリティは非常に高い。剛性感不足や捻れのようなものは一切感じない。
カレラ4カブリオレに乗る。トップを開けて、流れのよい海岸沿いの道を走っていて、新たな発見をした。フルモデルチェンジした911が、水冷エンジンを搭載するようになって、それ以前の空冷時代のレスポンスの鋭さが弱まった、と評価していたが、それが生きていることがカブリオレで確認できたのである。
アイドリングから3000rpmぐらいまでは、くぐもった排気音とはっきりしないレスポンスを示すだけだが、これが4000rpmを超えると一変する。排気音はソプラノに転じ、足の指を靴の中でズラすぐらいの動きだけにもエンジンは反応する。これはもう、自動車が奏でる音楽である。エンジンが、「もっと、もっと!」と、アクセルを踏むことを煽りたててくる。クルマ好きならば(好きでなくても)、絶対にシビレてしまう。
その官能を、鉄の屋根で閉じられたクーペでは100%享受することができない。伝わってはくるが、鉄越し、ガラス越しである。コンサート会場のロビーでウィーンフィルを聴くようなものだ。生で、直接、3.4リッターフラット6の奏でる豊穣な音楽を感じるには、カブリオレ・ボディしかないだろう。だから、2輪駆動だろうが4輪駆動だろうが、「911はカブリオレに限る」と思う。
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MTに乗ってわかる、ティプトロSのありがたさ911カレラ4クーペ(6MT)……1170.0万円
911を買える幸運を手にしたならば、苦しくも楽しい悩みを乗り越えなければならない。僕の場合、クーペかカブリオレかという二者択一では、カブリオレを選ぶ。
では、次の悩みのタネであるトランスミッションは、どちらにするか。コンベンショナルな6段MTか、「マニュアルシフトもできるAT」であるティプトロニックSか?
試乗車のカレラ4クーペは6段MTだった。試乗を終え、その前に乗ったカレラ4カブリオレと比較して、ティプトロニックSに決めた。といっても、買えるわけじゃないんだけど。
理由は、格段に使いやすくなったこと。また、以前よりもシフトが素早く、滑らかになった点にも感心した。Dモード、つまりオートマチックモードで走っていても、ハンドルスポークの左右の根元にあるロッカースイッチで変速できるようになった。他のメーカーのセミATでは、マニュアルシフトする際には、シフトレバーをオートマチックモードからマニュアルモードに入れ直さなければならないものが多い。それでは、悠長すぎる。ティプトロニックSは、Dモードで走っていてマニュアルシフトを行い、さらにシフトを加えなければ、8秒後にDモードに戻る。
2000年3月に、スペインで開催された911ターボの試乗会に参加したときも、911ターボに初めてティプトロニックSが採用されたことに注目した。南九州の、緩急の激しい道路で使ってみて、一般道でも150km/h以上で飛ばせるセビリア近郊より、そのありがたみを痛感した。
したがって、911は「カブリオレ+ティプトロニックS」の組み合わせに限るというのが、今回の試乗会で得た個人的な結論だ。
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男っぽい911ターボ(6MT)……1680.0万円
911ターボには、最後に乗った。2年間のインターバルを経て旧型からフルモデルチェンジを遂げた911ターボは、3.6リッターのフラット6にツインターボチャージャーを装着して、420psのハイパワーを得た。その強力なエンジンパワーは圧倒的。不用意にアクセルペダルを踏むと、回転数が4000rpmを超えるあたりで、自分の首がヘッドレストに叩きつけられる。それでいて、低回転域でのフレキシビリティとトルクの厚さは驚異的で、6段でも40km/hから加速していく。
高出力と柔軟性を両立させた秘密は、この5代目911ターボに新たに装備されたた「バリオカムプラス」という新しいシステムにある。これは、「4バルブヘッド」「アキシアル・カムシャフト・アジャスター」「可変バルブタイミング・タペット」から構成される、バルブタイミングのみならず、バルブのリフト量も変更する仕組みだ。アウトプット増大とフレキシビリティ確保のみならず、燃費向上と排ガスレベル低減にも貢献する。
旧型と同様、ニュー911ターボの駆動方式は、4WD。いうまでもなく、ありあまるパワーを有効に路面に伝えるためである。
ターボモデルは、5代目になって初めて、オートマチックトランスミッションが採用された。「ティプトロニックS」と呼ばれるシーケンシャルシフトが可能な、スポーツモード付きATである。2001年モデルからは、「Dモード」に入っていても、つまりマニュアルモードに切り替えることなく、ステアリングホイールのロッカースイッチでマニュアルシフトすることが可能だ。
2000年3月にスペインで行なわれた911ターボの国際試乗会では、日本とは次元が違うほど飛ばしに飛ばして、ターボの「速さ」を堪能した。一方、走る速度が限られる日本では、ボクスターはじめポルシェのラインナップに次々と乗ることで、911ターボの独自性を認識した。
現行ターボになって、エンジンも足まわりもマイルドでフレキシブルになったと思ったが、違っていた。ターボは、硬派でビビッドにクルマの様子をドライバーに伝えてくるのである。
そら恐ろしいほどの加速を示すエンジンは、加速中にそのビートを躊躇なく伝えるし、路面の様子もダイレクトにわかる。とても男っぽいクルマなのである。考えてみれば、当然のことである。911ターボは、420psものパワーで、305km/hの最高速を実現するスーパーカーなのだから。
(文=金子浩久/写真=ポルシェ ジャパン/2000年11月15から16日)

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