プジョー206CC(4AT)【試乗記】
スイッチひとつで“変身” 2002.03.12 試乗記 プジョー206CC(4AT) ……275.0万円 プジョーのコンパクトモデル「206」シリーズの最上級モデル「206CC」。電動格納式ハードトップを備え、スイッチひとつでクーペ、またはカブリオレに変形する。日本に導入された1.6リッター4ATモデルに、webCG記者が試乗した。外から眺めていたい
子供の頃“変形ロボット”に憧れたという方は多いだろう。ワタシもその1人だった。アメリカ海軍の戦闘機「F-14トムキャット」の可変翼などにも、わけもなくココロひかれたものだった……。
そんな“変形マニア”(?)にとって、電動格納式ハードトップを備えた「206CC」は、なんとも心くすぐられるクルマだった。スイッチ1つで“変形”できるのだから。ちなみに「CC」とはクーペ・カブリオレの意。クーペのスポーティさとフルオープンの開放感を、1台のクルマで両立させたところから付けられたという。
屋根を閉じた状態なら、見た目はクーペそのもの。ボディサイズは、全長×全幅×全高=3810×1675×1380mm、3ドアハッチバックの「206XS」より全長で25mm短く、全高は60mm低い。コンパクトでスポーティな印象だ。リアデッキの高さが、格納式ハードトップを持つことを暗示する。
カブリオレにするのは簡単。まずルーフとフロントスクリーン上端を固定するレバーを手で外す。センターコンソールのスイッチを押せば、トランクリッドが後端を支点にガバっと開き、屋根とリアウィンドウの継ぎ目で折り畳まれてハードトップがトランクルームに収まり、約20秒で“変形”が完了する。できれば外から眺めていたい……。
実用性十分
インテリアは本革シートが奢られる。プラチナ・グレー(シルバー)の試乗車には、赤と黒ツートンカラーのレザーシートが装着されており、これがとってもシャレている。ドライバーの見た目はさておき、これならオープン時に車内を見られても恥ずかしくない。
206XSより全高を60mm低くしたことで、シートポジションは25mm下げられた。しかしクーペ状態で乗り込むと天井に頭がつきそう。身長176cmのリポーターの場合、頭上は手のひら2枚分しか余らない。剛性と横転時の安全性確保のため強化された太いAピラーの圧迫と相まって、閉塞感は高い。
しかし「CC」の名前通り、屋根を閉めればクーペと同等の静かさと快適さ。屋根を開ければオープンならではの開放感。その落差が206CCの大きな魅力である。屋根を降ろしてサイドウィンドウを下げても風の巻き込みは少なく、高速道路で流れにのって楽しくドライブできる。多少のことには目をつむろうという気になった。
2+2だからリアシートが備わるが、「一応ありますよ」という程度。狭い。試しに座ってみたが、足を横に延ばさないと体が収まらなかった。背の低い女性や小学生でも長時間は座っていられないだろう。あくまで緊急時、“合法的”に4人乗車できるのがメリットといえる。
トランク容量は、カブリオレモードで175リッター、クーペ時なら410リッター。3ドアハッチバック「206XS」のトランク容量が245リッターだから、かなりリッパな数字だ。
キビキビ走れる
日本に導入されるモデルは、1.6リッター直4に4段ATの組み合わせのみ。本国にはこれの5段MT仕様と、「2リッター+5段MT」モデルがある。
1.6リッターエンジンのコンパクトカーとなると、個人的にオートマチックで乗るよりも、マニュアルを駆使してキビキビ走りたい。ところが、206CCの「AL4」と呼ばれるATは、なかなかできがヨカッタ。AL4は、アクセル開度やブレーキ使用頻度、道路状況などにあわせて、9つあるプログラムの中から最適なシフトパターンを選択する電子制御トランスミッション。ドライバーの嗜好を学習するので、いつの間にかシフトパターンが運転感覚に即していることに気が付く。ゆっくり走っていてもすぐギアをトップにもっていくようなことはなく、熟慮してシフトアップ。逆にシフトダウンは躊躇せず減速にあわせて行ってくれる。スロットルワークとシフトのタイミングがうまく合って、自分の予想とクルマの動きにズレがない。
サスペンションは他の206と同様、フロントがマクファーソンストラット、リアはトレーリングアームとコンベンショナルなもの。アンチロールバーなど構成パーツの多くを、206シリーズのホットモデル「S16」から引き継いだというが、乗り心地は滑らか。路面の凹凸をよく動くサスペンションがいなし、ゴツゴツするような突き上げ感はない。オープン化にともなってボディが補強されたせいか、路面の悪いところを走っても、きしみ音が出るようなこともなかった。ボディ強化にともなって206XSより車重が120kg増えたことが、乗り心地に寄与したのかもしれない。
ということで206CC、乗ってみたらただの“変形マシン”じゃない。スイッチ1つでスポーティなクーペと、ファッショナブルなカブリオレに“変身”するクルマだった。しかもお値段275.0万円は、ソフトトップ・ハードトップのカブリオレを問わずのお買い得価格。2001年日本に導入された700台がアっという間に売り切れたというハナシに、納得してしまった。
(文=webCGオオサワ/写真=河野敦樹/2002年3月)

大澤 俊博
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