フォルクスワーゲン・ゴルフE(4AT)【ブリーフテスト】
フォルクスワーゲン・ゴルフE(4AT) 2002.07.31 試乗記 ……219.0万円 総合評価……★★★★ベストバイ
フォルクスワーゲンの“米グルマ”たる「ゴルフ」の、わが国では底辺を支える1.6リッターモデル(本国には、1.4リッターあり)。ボディサイドの黒いモール、ホイールカバー、ぼってりした樹脂製ステアリングホイールとやや平板なファブリックシート、それにリモコン機能をもたない薄べったいキーが少々ショボいが、ひとたび走りはじめれば、兄貴分2リッター車になんら遜色ない……排気量分は絶対的に遅いけれど……ドライブフィール。しっかりした足まわりとシュアなハンドリングが、ドライバーをして廉価版を感じさせない。日常的に使うかぎり、CLiとの価格差30.0万円ほどは違うまい。
ブラッシュアップされた「ドライブ・バイ・ワイヤ」およびシフトプログラムの恩恵で、運転していて日本の交通状況下にすっかりとけ込むところも美点。当局の不当な規制を脱して大きくなったサイドミラー、以前は省略されていた電磁デフロックシステム「EDS」が標準で搭載されたこともニュースだ。ゴルフシリーズ中のベストバイ。
【概要】どんなクルマ?
(シリーズ概要)
ジウジアーロの手になる1974年デビューの初代は、「ハッチバック」という車型を大衆車のスタンダードにしたエポックメイキングなクルマ。1997年に登場した現行モデルは4代目。本国では、3/5ドア、ワゴン、そしてカブリオレがカタログに載る。本国でのエンジンラインナップは、1.4リッター直4から2.3リッターV5、2.8リッターV6、さらに5種類もの出力バリエーションをもつ1.9リッターディーゼルと豊富だが、日本に入るのは直4モデルのみ。モデルチェンジ翌年の98年から販売が開始された。
いわゆる2002年モデルのゴルフは、全グレード、サイドミラーが大きくなった。ターボモデルに5段ATが奢られたのもニュースだ。
(グレード概要)
わが国での5ドアハッチのラインナップは、下からE(1.6リッターSOHC/4AT=219.0万円)、CLi(2リッターSOHC/4AT=249.0万円)、GLi(同/4AT=270.0万円)、GTI(1.8リッターDOHCターボ・インタークーラー付き/5MT=289.0万円、同/5AT=299.0万円)、GTX(同/5AT=340.0万円)の5種類。
「E」は、ゴルフIVの日本導入より遅れること約1年。1999年11月に、わが国に投入された。「1.6リッター+4段AT」の組み合わせのみ。2リッターのCLiとの違いは、「エンジンが1.6リッターとなり」「ボディサイドのプロテクションモールがボディ同色でない」「シート形状の違い」「前席背もたれ裏のポケットが省略される」「キーがリモコン式でない」など。
【車内&荷室空間】乗ってみると?
(インパネ+装備)……★★★
味も素っ気もなく黒一色のインパネまわり。4本スポークの樹脂製ステアリングホイールは、見た目もっさりしていて慣性も大きそう。気になるヒトは気になる。ポジション調整は、チルト(上下)テレスコ(前後)が可能。空調、ライトなど、スイッチ類はオーソドクスながら機能的にまとめられる。センターコンソールに、引き出し式のカップホルダーがふたり分設置される。
(前席)……★★★
これまた愛想のない、黒のファブリックシート。コンパクトなサイズ。運転、助手席とも、座面わきのレバーを上下してシート全体の高さを調整するハイトコントロールが備わる。座り心地はとりたてて乗員をもてなすタイプではないが、むやみに体が沈まないのが美点。控えめなサイドサポートによって、ある程度のスポーツ走行を許容するホールド性は提供される。
(後席)……★★
左右ふたつのヘッドレストを備え、ふたり用として実用的なリアシート。やや短めな座面と高めの着座位置で乗員に背筋を伸ばした姿勢をとらせ、また、フロントシート背もたれ背面をえぐることで、膝前の空間を確保する。ボディサイドの上方に向かっての絞り込みがすくないので、ヘッドまわりに窮屈さは感じない。車検証上は3人がけが許されるが、センターシートはヘッドレストが備わらず、シートベルトも2点式なので、アームレスト用スペースと割り切った方がいい。
(荷室)……★★★
床面最大幅100cm、奥行き83cm、トノカバーまでの高さ50cm、天井までは92cmが確保される。ボディサイズ相応の広さだが、スクウェアなラゲッジスペースで使い勝手はよさそう。後席はダブルフォールディング可能で、リアシートのヘッドレストは、前に倒した座面に差すことができる。その場合、奥行きは140cm前後に拡大される。
【ドライブフィール】運転すると?
(エンジン+トランスミッション)……★★★★
このエンジンを「ウルサイ」と感じるか「自動車らしい」と微笑ましく感じるかで、アナタのクルマ好き「新旧度」が測れる(?) 本国には16バルブも用意されるが、わが国に入るのは、シングルカムの8バルブ。スペック的にはまるで魅力のないエンジンだが、スロットル操作に比例して出力と音が高まるわかりやすい性格がイイ。ペダルとエンジンが電気的に結ばれる「フライ・バイ・ワイヤ」だが、制御のブラッシュアップが進み、かつての隔靴掻痒感がなくなった。できのいい4段ATと合わせ、“運転してる”感高し。
(乗り心地+ハンドリング)……★★★★
上位グレードとフィールの変わらぬ、硬質でしっかりした乗り心地。ハーシュネス(突き上げ)もよく抑えられる。首都高速の路面のひどいつなぎ目を越えるときでも、ショックが鈍く、ココロとカラダに響かない。ハンドリングは素直で模範的。限界はけっして高くないが、挙動がわかりやすいので、その気になれば自信をもって“曲がり”に挑める。スロットルコントロールに対する反応も急なところがない。ドライバーを駆り立てず、穏やかに楽しい。
(写真=郡大二郎)
【テストデータ】
報告者:webCG青木禎之
テスト日:2002年7月18日から19日
テスト車の形態:広報車
テスト車の年式:2002年型(平成13年登録)
テスト車の走行距離:8485km
タイヤ:(前)195/65R15 91V/(後)同じ(いずれもMichelin Pilot Primacy)
オプション装備:−−
テスト形態:ロードインプレッション
走行状態:市街地(3):高速道路(6):山岳路(1)
テスト距離:380.7km
使用燃料:48.0リッター
参考燃費:7.9km/リッター

青木 禎之
15年ほど勤めた出版社でリストラに遭い、2010年から強制的にフリーランスに。自ら企画し編集もこなすフォトグラファーとして、女性誌『GOLD』、モノ雑誌『Best Gear』、カメラ誌『デジキャパ!』などに寄稿していましたが、いずれも休刊。諸行無常の響きあり。主に「女性とクルマ」をテーマにした写真を手がけています。『webCG』ではライターとして、山野哲也さんの記事の取りまとめをさせていただいております。感謝。
-
トヨタGRヤリスRZ“ハイパフォーマンス”+エアロパフォーマンスパッケージ【試乗記】 2026.9.1 2020年のデビュー以来、間断なく進化を続けてきたコンパクトスポーツの「トヨタGRヤリス」。一般ユーザーの間ではもちろん、コンペティションの世界でもチューニングのかいわいでも光を放つ一台は、2026年モデルでどう進化したのか? その走りを報告する。
-
アウディQ3スポーツバックTFSIクワトロ150kWアドバンスト(4WD)【試乗記】 2026.8.31 フルモデルチェンジした「アウディQ3スポーツバック」に試乗。プラットフォームやパワートレインこそ従来型の改良版ではあるものの、内外装のデザインやインフォテインメント、効率性のすべてにおいて大幅な進化を遂げたという。その仕上がりやいかに。
-
トヨタbZ4XツーリングZ(4WD)【試乗記】 2026.8.29 「トヨタbZ4X」にワゴンのようなロングボディーを持つ「ツーリング」が登場。ただ長くなっただけではなく、今回試した4WDモデルではパワーもアップ。乗り味にも微妙な影響を及ぼしているから見逃せない。経路充電を試しつつ、370km余りをドライブした。
-
BMW 120オリジナル(FF/7AT)【試乗記】 2026.8.25 BMWの主要モデルに新グレードの「オリジナル」が設定された。位置づけとしては新たなエントリーグレードということになるが、BMWらしさを損なうことなく装備を厳選し、価格を抑えたのがポイントだという。「1シリーズ」の「120オリジナル」の仕上がりをリポートする。
-
トライアンフ・スラクストン400(6MT)【レビュー】 2026.8.25 カフェレーサーの本場である、イギリスのトライアンフがリリースした「スラクストン400」。車名のとおり、カジュアルに楽しめる400ccクラスのマシンではあるのだが、その実物からは、エントリーモデルとは思えない本物の香りが漂っていた。
-
NEW
ホンダがコンセプトモデル「アキュラ・ネクセラ ビジョン」を発表 次世代デザインを読み解く
2026.9.3デイリーコラム本田技研工業の米国現地法人アメリカン・ホンダモーターが、アキュラブランドの次世代デザインを示すというコンセプトモデル「ネクセラ ビジョン」を初公開した。バタフライドアを採用するこのスポーツカーは、次世代アキュラの何を表現しているのか。 -
NEW
BMW iX3 50 xDrive Mスポーツ(後編)
2026.9.3あの多田哲哉の自動車放談ワインディングロードで新型「BMW iX3」のステアリングを握った多田哲哉さんは、その走りに感心した様子。どんなところが優れているのか、トヨタのエンジニアの視点で語ってもらおう。 -
NEW
新型「三菱パジェロ」の外装・内装を写真でチェックする
2026.9.2画像・写真5年間のブランクを経て、三菱のフラッグシップSUV「パジェロ」がついに復活! 「グランドカリスマ -泰然自若-」をコンセプトにデザインされた本格クロスカントリーモデルは、どのような姿をしているのか? 内外装の詳細を、写真で紹介する。 -
NEW
復活の決め手はこっくりさん!? 新生「三菱パジェロ」誕生の経緯とその狙い
2026.9.2デイリーコラム5年間の沈黙を経て、ついに登場した新型「三菱パジェロ」。スリーダイヤモンドが誇る荒野のフラッグシップは、いかにして復活を遂げたのか? 開発の経緯や内外装デザインの詳細、パワートレインに見るクルマの“狙い”をリポートする。 -
第127回:新型BMW X5(後編) ―迷走するBMW 結局アナタは“ノイエクラッセ”でなにがしたかったの?―
2026.9.2カーデザイン曼荼羅その姿が明らかとなるや、賛否両論を巻き起こしている新型「BMW X5」。このクルマは既存のBMW製SUVとはなにがちがうのか? そもそもBMWは“ノイエクラッセ・デザイン”になにを託していたのか? カーデザインの識者と、迷走するBMWの明日を探った。 -
BMW X1 sDrive20iオリジナル(FF/7AT)【試乗記】
2026.9.2試乗記BMWのコンパクトSUV「X1」に新グレードの「オリジナル」が登場。走りの楽しさをはじめとしたBMWらしさをキープしつつ、装備の厳選によって価格抑制を図った新たなエントリーグレードだ。都市部におけるドライバビリティーとユーザービリティーをリポートする。
































