アウディA1スポーツバック 1.4 TFSI(FF/7AT)【試乗記】
これぞアウディマジック! 2012.06.20 試乗記 アウディA1スポーツバック 1.4 TFSI(FF/7AT)……423万5000円
アウディのエントリーモデル「A1」に5ドアモデルが追加された。スタイルはほぼそのままに、後席の居住性を向上させたという「A1スポーツバック」の走りと使い勝手を試した。
待ちに待ったモデル
ギリギリ東京をキープする街に住む私に、なぜか“アーバンエゴイスト ニューファミリー”なるコンセプトの「アウディA1スポーツバック」の原稿依頼が来た。しかも試乗会場は、豊洲のオシャレなカフェ。銀座にもほど近い豊洲の小粋なスポットは、まぶしすぎますっ。
そして、ギリギリ東京をキープする街で「シトロエンC3」に乗っている私。デザインが個性的でオシャレであることは大前提として、C3を選んだ決め手は5ドアでチャイルドシートの設置がしやすく、子供を乗せる、降ろすといった動作が容易にできる室内の広さがあることでした。
走りや価格には違いがあるにせよ、大きく見ればC3のライバルといってもいいのが、このA1スポーツバックでしょう。5ドアで5人乗りという使いやすいパッケージは、“3ドアで4人乗り”がネックで「A1」の購入を断念したという人にも、待ちに待った一台のはず。これは売れますよ。私だって欲しいですもん!
アスリートのように走る
A1同様、1.4リッターTFSIエンジンに7段Sトロニックを組み合わせ、最高出力は122ps。車重が20kg重くなってはいるものの、動きの緩慢さはほとんど感じることがなく、ハンドルを切るとミリ単位で曲がっていくような、アウディらしい高精度感はこのA1スポーツバックでも十分に感じることができます。ズボラな私にはもったいないほど!
ボディーの頑丈さと足まわりのしなやかさとのバランスは秀逸。その走りは、体幹を鍛えぬいたアスリートのように重心のブレがなく、安定感があります。運転していると、クルマとの一体感も手伝って、このぷよぷよした腹の肉が見る見るうちに筋肉に変わっていき、自分までアスリートに変身した気分になれるんです。
トップアスリートは栄養素とカロリーを細かく計算して食事をするというけれど、精密機器のようにムダな動きのないアウディの走りを実現するためにも、より緻密な計算が施されているのでしょう。
アイドリングストップ機構も付いて低燃費にも貢献しています。車種によっては坂道での急発進などでもたつくことがあり、“即キャンセル”なんてこともあるけれど、このクルマはそんなこともなく、エンジン停止、再始動ともに自然。A1の「スタートストップシステム」は普段からストレスなく使えそうです。
5人乗れて使いやすい
数値上で全幅のみ5mm広がっているのはドアノブ形状の違いによるもので、ボディーのスリーサイズは3ドアとほぼ同じ。ルーフ角度に数ミリの変更が加えてあるそうですが、真横から見てもほとんど違いがわかりません。ミリ単位で見え方が変わってくるといわれているクルマのデザインにおいて、変わってないように見せているというのが、ポイントなのだとか。
ボディーサイズを実質上、変更せず、4人乗りから5人乗りへ、どうやって室内を広げたかというと、後席はドアの内張りの形状を変えるなどして、場所により2mmから13mmの幅を持たせて拡幅したそうです。シートの横幅も広くなっているほか、座面を下げて、空間を広げているのだとか。身長163cmの私が後席に座ってみると、膝から前席のシートバックまで拳二つ分の余裕があり、チャイルドシートに子供を乗せても大丈夫そうです。
5ドアになったことで、フロントドアの大きさはコンパクトになり、使いやすさもアップ。限られたスペースでドアを開けた際の開口角度は、3ドアで35度の時、5ドアでは47度と大きくなっています。見た目をほとんど変えることなく5人乗りにしても、デザイン上、少しの破綻もきたしていないのは、さすがアウディマジック!
子育てママ目線で言えば、少々残念なのが、921mmという荷室幅。ウチのコンビ製B型ベビーカーがすっぽり横置きできないサイズだったので、オシャレファミリー御用達のマクラーレン製ベビーカーもたぶん無理でしょう。残念。
また、293万円からという価格を考えれば、ずっと室内が広い「メルセデス・ベンツ Bクラス」も買えるお値段。「あのベンツさまが299万円から手に入るなんて!」と、目の色を変える方も多いでしょう。でも、ユーザーがアウディ車に求めているのは、ベビーカーがラクラク入るほど広い荷室よりも、生活感を感じさせないハイクオリティーなデザインと高精度な走りですよね。
3ドアモデルのスタイルの良さはそのままに、ストレッチ素材でゆったり着心地がよくなったといった印象のA1スポーツバック。プラス20万円で、さらに使いやすくなってます。ギリギリ東京をキープする街でも、オシャレ過ぎること間違いなしです。
(文=スーザン史子/写真=荒川正幸)
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スーザン史子
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