スバル・インプレッサG4 20i-S(4WD/CVT)【ブリーフテスト】
スバル・インプレッサG4 20i-S(4WD/CVT) 2012.05.07 試乗記 ……266万7000円総合評価……★★★★
「スバル・インプレッサG4」の上級グレード「2.0i-S」に試乗。その実力を項目ごとにチェックした。
“こだわり”が伝わる走り
「手頃なサイズで、走りのいいクルマ」。
ドイツ車、フランス車、イタリア車だったら、この条件にあてはまる1台を探すのはさほど難しくない。けれども、日本車のなかから選ぶとなると、意外に選択肢は限られるような気がする。
2011年11月にデビューした新型「インプレッサ」は、ヨーロッパ車を乗り継いできたファンにも受け入れてもらえる“高品質な走り”が最大の魅力だ。
“走り”といっても、必ずしもスポーティーなドライビングを意味するわけではない。インプレッサの上質な乗り心地、そして安心感の強いハンドリングは、毎日のちょっとした買い物や週末の日帰りドライブでも実感できるはず。ヨーロッパの良質なファミリーカーと共通するこの乗り味は、ボディーやサスペンションのコストをケチることなく、丹念に技術を磨き上げていくなかでできあがったものだろう。
いっぽうで、スバルならではの個性も息づいている。半世紀近い歴史を誇る水平対向エンジンは、回転バランスが良好かつ重心が低いことに加え、フロントサスペンションを支えるのに理想的な位置に、しっかりとしたメンバー(強度部材)を通すことを可能とし、結果としてハンドリングの向上にも役立っている。これと組み合わされる「シンメトリカルAWD」も、4WDのエキスパートであるスバルらしい完成度を誇っている。
あえて難点を挙げるとすれば、アメリカ市場を意識しすぎたかのようなアクの強いデザインくらいか。走りがヨーロッパナイズされているだけに、いささかちぐはぐに映る。色気に欠けるインテリアもちょっと物足りない。とはいえ、日常的に実感できる上質な走りは、そうした弱点を補ってあまりある。しかも、車両価格は最上級グレードでも200万円+αと良心的。新型インプレッサは、“ホンモノ”を知るクルマ好きにも安心して薦められる一台だ。
【概要】どんなクルマ?
(シリーズ概要)
「インプレッサ」は、1992年から続くスバルの中核モデル。2011年12月に発売された現行型は4代目にあたり、「インプレッサG4」を称する4ドアセダンと、「インプレッサスポーツ」という名の5ドアハッチバックでシリーズ構成される。
ボディーサイズは先代モデルからほぼ据え置きながら、主にインテリアの質感向上や、室内スペースの拡大が図られたのが、最新型の特徴。スバルのお家芸たる水平対向エンジンも、特に燃費に配慮した新開発ユニット「FB20」(2リッター)と「FB16」(1.6リッター)が採用されている。駆動方式は、FFに加えて、スバル得意の4WDが用意される。
また、走行中の車体を安定させるVDCが全車に与えられ、「レガシィ」や「エクシーガ」で高い評価を得ている“ぶつからない安全装備”「EyeSight(ver.2)」の装着車も設定されるなど、安全性の確保もセリングポイントとなっている。
(グレード概要)
今回のテスト車はセダンの「インプレッサG4」。中でも上級グレードとされる、2リッターモデル「2.0i-S」の4WD車で、ブラックハイラスター仕上げの17インチアルミホイールやサイドシルスポイラー、アルミパッド付きペダル、クルーズコントロールなどが標準で与えられる。
さらに上位のグレードとして、「EyeSight(ver.2)」を備える「2.0i-S EyeSight」も10万5000円高でラインナップされる。
【車内&荷室】乗ってみると?
(インパネ+装備)……★★★★
ダッシュボードの作り込みやメーターパネルの質感は、このクラスの日本車として標準的。ただし、パドルシフトに加えて合計12個のステアリングスイッチを設けるなど、操作系の多くはステアリングホイールから手を離さないままコントロールできるよう工夫されている。
ダッシュボード上のマルチファンクションディスプレイはグラフィカルで見やすく、表示される情報も充実している。燃費情報も豊富で、「プリウス」などと同じように、これを見ているだけで自然とエコドライブを心がけたくなる。走りと無関係な便利機能ではなく、クルーズコントロールなど実用的な装備を積極的に盛り込んでいることも、何を中心に新型「インプレッサ」が造られたかを物語っている。
(前席)……★★★★
フロントシートのサイズそのものは特別に大きいとはいえないものの、シートバックが肩の高さまでしっかりと伸び、しかも体と広い面積で接触する形状とされている。腰部のサポートが良好なことに加え、クッションの硬さが適度なため、長距離ドライブでも疲れにくい。横方向、そして天地方向の広さは、このクラスとして標準的ながら、キャビンがルーミーなため狭苦しいという印象はない。
Aピラーを前進させ、ドライバーの目の前に広い空間を用意したことも、プラスの印象に結びついているはずだ。しかもこのAピラーは細いので、交差点の右左折時でも視界を妨げない。着座位置が高く、伸び上がらなくとも周囲を見渡せるので、駐車時の取り回しも良好である。
(2列目シート)……★★★★★
身長171cmの筆者が前後に腰掛けた状態で、後席のひざ周りには拳ふたつ分のニースペースが用意されており、前後方向の広々感はこのクラスの標準を上回っている。サイドウィンドウがほぼ垂直に切り立っているため、側頭部に圧迫感を覚えることもない。ヘッドクリアランスは拳半分程度ながら、ルーフが後ろまで長く伸びきっているので、後頭部がリアウィンドウに触れる可能性はほとんどない。
横方向の余裕は、3人がゆったりと腰掛けられるほどではないけれど、2人には十分なスペースだ。シートバックの角度が適切に立っていることも、後席の快適性を向上させている。シートの表面近くはやや柔らかめだが、その奥にコシのあるクッションが用意されているので、サポート性ならびに掛け心地にも不満はない。
(荷室)……★★★
トランクルームの開口部は、幅がとても広いものの、クーペルックの3ボックスセダンゆえ、天地方向には決して広くはない。荷室のフロアは、奥行き約100cm、幅約140cmが確保されているが、高さは限られているので、飛び抜けて大容量とはいえない。本当に大きな荷物を積むなら、6:4の分割可倒式シートバックを倒す以外にないだろう。こうすると前席シートバックまで長さ190cmほどのラゲッジルームが生まれる。スバルは「MTBをタイヤ付きで積載できる」と主張している。
また、トランクヒンジがコンパクトにまとめられているので荷物と干渉しにくく、リッドを閉めたときにはヒンジがトリム内に収納されるため荷物が傷つきにくいなど、細かな点にも配慮されている。
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【ドライブフィール】運転すると?
(エンジン+トランスミッション)……★★★★
最新世代のスバル水平対向エンジン「FB20」は、もはや「ブロロロロロ……」というボクサー・サウンドを響かせることはない。燃焼効率の改善を狙ってスモールボア・ロングストロークとされているため、2000〜3000rpmでも実用的なトルクを生み出す。その後、4000〜5000rpmにかけて盛り上がりを見せるものの、5500rpmを超えるとやや息苦しい回り方となる。この辺の印象は、同じスバル製でもビッグボア・ショートストロークを採用する従来のボクサー・エンジンとは趣を異にする。
燃費は確かによかった。100km/hを保って高速道路をコンスタントに走ったところ、荷物満載、大人4名乗車にもかかわらず、ドライブコンピューター上で16.0km/リッターをマーク。この点でも、FB20は旧世代のスバル・ボクサーとは一線を画したエンジンだといえる。
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(乗り心地+ハンドリング)……★★★★★
試乗車はスタッドレスタイヤ「ダンロップDSX」を装着していたので、ステアリングのレスポンスやロードノイズなどは夏タイヤに比べて不利な条件にあった。以下のインプレッションは、この点を差し引いて読み進んでほしい。
ロードノイズはやや大きめながら、ハーシュネスの遮断が良好で、鋭いショックを伝えることのない乗り心地は快適かつ上質。試乗の際、荷物満載+4名乗車だったことは前述のとおりだが、それでも高速道路でピッチングが繰り返されるようなシーンは皆無だった。乗り心地のタイプとしては、強力なダンピングでフラット感を強調する“ドイツ系”というよりも、長いサスペンションストロークをたっぷり生かした“フランス系”に近い。ハンドリングも、キビキビ感よりスタビリティーを重視した味付け。ただし、決して鈍重なわけではなく、リニアリティーが高いので、狙ったラインをトレースするのは容易だった。4WDの恩恵もあり、高速直進性は良好。長距離ドライブでの疲労感はミニマムに抑えられる。
(写真=小林俊樹)
【テストデータ】
報告者:大谷達也
テスト日:2012年3月1日
テスト車の形態:広報車
テスト車の年式:2012年
テスト車の走行距離:8746km
タイヤ:(前)205/50R17(後)同じ(いずれも、ダンロップDSX)
オプション装備:HIDロービームランプ+リアビューカメラ付き音声認証HDDナビゲーションシステム+キーレスアクセス&プッシュスタート(44万1000円)
テスト形態:ロードインプレッション
走行状態:高速道路(8):市街地(2):山岳路(0)
テスト距離:729.7km
使用燃料:53.0リッター
参考燃費:13.8km/リッター ※満タン法による計測結果

大谷 達也
自動車ライター。大学卒業後、電機メーカーの研究所にエンジニアとして勤務。1990年に自動車雑誌『CAR GRAPHIC』の編集部員へと転身。同誌副編集長に就任した後、2010年に退職し、フリーランスの自動車ライターとなる。現在はラグジュアリーカーを中心に軽自動車まで幅広く取材。先端技術やモータースポーツ関連の原稿執筆も数多く手がける。2022-2023 日本カー・オブ・ザ・イヤー選考員、日本自動車ジャーナリスト協会会員、日本モータースポーツ記者会会員。
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