第176回:キャデラックの安全技術を体験
2013.04.16 エディターから一言第176回:キャデラックの安全技術を体験
ゼネラルモーターズ・ジャパンが、自社の安全技術をアピールするプレス試乗会「アドバンスド・セーフティ・フィーチャー」を、神奈川県は大磯プリンスホテルで開催した。広い駐車場に用意されたクルマは、“エントリー・ラグジュアリー・スポーツセダン”こと「キャデラックATS」と、“ラグジュアリー・クロスオーバーSUV”の「キャデラックSRXクロスオーバー」である。
シートが振るえて知らせる
クローズドの特設会場で体験できたのは、「オートマチック・ブレーキ(衝突被害軽減ブレーキ、前進/後退)」「アダプティブ・クルーズ・コントロール(全車速追従機能)」「サイド・ブラインドゾーン・アラート」「レーン・ディパーチヤー・ウォーニング(LDW:車線逸脱警告機能)」の4種類。ボルボやメルセデス・ベンツの各車にも同様の機能が搭載され、盛んに説明会・試乗会が開かれているが、GMも先進技術では負けていない、否、むしろ先んじている、というのが、ゼネラルモーターズ・ジャパンの主張である。
「キャデラックATS/SRX」は、自車のまわりを、長短距離用2種類のレーダーと、前後のカメラで監視する。短距離の障害物確認用に、例えばボルボが使う赤外線レーザーではなく、超音波センサーを用いるのがハードウエア面での特徴といえる。とはいえ、その使用目的に違いはない。
ユーザーにとって重要なのは、危険を知らせる方法が、警告音だけではないこと。ドライバーズシートには、シートクッション左右にバイブレーターが内蔵され、事故発生の危険を検知した場合、振動で運転者に注意を喚起する。「セーフティ・アラート・ドライバーシート(SADS:警告振動機能)」と名付けられたユニークな運転席が、ATSには全車、SRXには、上級版の「プレミアム」に搭載される。
バイブレーター付きシートが最も活躍するのは、「レーン・ディパーチヤー・ウォーニング」だろう。カメラが白線(車線境界線)を検知して、方向指示器を出さずに白線を踏んだりすると、ドライバーはお尻に振動を感じる。クルマが踏んだのは右の白線か、はたまた左か、をシートクッション左右どちらかを振るわすことで認識させる親切機能付き。あってはならないことだが、つい居眠りをしてしまった場合などに、ありがたい。また、道が狭く、他車とすれ違ったり、路上駐車車両を避けるために、ひんぱんに白線を踏まざるを得ない場合もある。運転席だけのバイブレーション機能なら、警告音で助手席の人をわずらわしく感じさせることもない。もちろん、ビープ音を発生させることも可能だ。
「うっかり」に威力を発揮
「オートマチック・ブレーキ」は、低速での前進・後進時に、必要とあらばブレーキを作動させて、衝突を回避または衝撃を軽減させるシステム。渋滞時などに、うっかりブレーキペダルから足を離してしまい、知らないうちにクリープ現象が発生してクルマが前に進んでいた。はたまた車庫入れ時に、他のことに気を取られているすきに、クルマが勝手に後退していた……といった状況で、威力を発揮することだろう。時速8km以下で、約3mの範囲で障害物を検知して警告音を発する「フロント&リア・パーキングアシスト」と連動して機能する。
「アダプティブ・クルーズ・コントロール」は、レーダーで前走車との距離を保ちつつ、追従走行してくれるもの。加速・減速はもちろん、完全停車までカバーしてくれる。約40km/h以上でセット可能だが、一度作動させてしまえば、停止後の再スタートは、ハンドルに設けられたレバーを指先で上げるだけ。高速道路での巡航時はもちろん、渋滞時のノロノロ走行などでも活用できる。この手の機能の体験試乗会でいつも感じることだが、必要な場合には、意外なほど強力にブレーキがかけられる。公道で走行中に、実際に自動ブレーキが効くかどうかを試す勇気はないが、うっかりよそ見をしている間に前走車が急停車した! そんなシチュエーションで、ドライバーを助けてくれるに違いない。
安全装備も「スタンダード・オブ・ザ・ワールド」
「サイド・ブラインドゾーン・アラート」は、走行中に、左右の死角に他車(小型オートバイ程度まで検知する)が入った場合に警告する。サイドミラー鏡面に黄褐色の警告灯が点灯し、それにもかかわらず方向指示器を作動させると警告灯が点滅する。車線変更の際には必ずサイドミラーに目をやるものだから、このシステムは非常に有効だ。首を回して後方確認するのがツラい、年配の方などにも、あると優しい装備といえる。
死角をチェックする機能として、「リア・クロス・トラフィック・アラート(RCTA:後退時安全確認警告機能)」もある。これは、クルマが左右横に並んだ駐車場で、頭からパーキングした場合に重宝する。クルマをバックさせて車列から出す場合に、リアバンパー3カ所に設置されたアラートセンサー(レーダー)が、後方左右を監視して、近づいて来るクルマがある場合に警告してくれる。サイズの大きなSRXのオーナーには特に便利で、グレードを問わず装備される。
グローバル化を推し進めるキャデラックにあって、言うまでもないことだが、安全装備も「スタンダード・オブ・ザ・ワールド」に準拠している。
(文=青木禎之/写真=郡大二郎)

青木 禎之
15年ほど勤めた出版社でリストラに遭い、2010年から強制的にフリーランスに。自ら企画し編集もこなすフォトグラファーとして、女性誌『GOLD』、モノ雑誌『Best Gear』、カメラ誌『デジキャパ!』などに寄稿していましたが、いずれも休刊。諸行無常の響きあり。主に「女性とクルマ」をテーマにした写真を手がけています。『webCG』ではライターとして、山野哲也さんの記事の取りまとめをさせていただいております。感謝。
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