第6回「レクサスIS300h“Fスポーツ”」vs「BMW 320iセダンMスポーツ」(後編)
2013.07.12 水野和敏的視点パワーこそ十分だが……
「レクサスIS300h“Fスポーツ”」と「BMW 320i Mスポーツ」の比較試乗、前編では2台のハンドリングや乗り心地を比較しました。後編では、まずパワーユニットについて見ていきましょう。
BMWの4気筒エンジンはスムーズに回るし、パワーも出ていますが、もうちょっとパンチが欲しいですね。例えば、スロットルをすっと踏み込んだ時、エンジンレスポンスと一緒にのってくるトルク、すなわちトルクレスポンスというものが320iにはあまりありません。そのせいで、運転している時の楽しさが、モーターを回しているようで、あまり感じられない。これは残念な点です。
ところで、かつては「BMWといえば直6エンジン」などと言われたもので、いまなおそう感じてらっしゃる方もいるかもしれませんが、僕に言わせれば、直6エンジンは「博物館行きの古いテクノロジー」です。なぜなら直6は前後に長いため、エンジン内部で冷却水の温度が前側で低く、後ろ側で高くなるために不安定で、吸気効率にしてもアンバランスになりがちだからです。
排気や燃費に対する要求が極めて厳しくなっている現在、こうした直6のマイナス点はもはや見逃すことができなくなっています。それに引き換え、V6は直6とは対照的に6つのシリンダーがコンパクトにまとまっているので、各シリンダーのコンディションをそろえやすい。多くの自動車メーカーが直6からV6に移行してきたのは当然のことと言えます。
それに対して、「IS300h」のハイブリッドユニットはどうでしょうか。まず、エンジンをかけた時のアイドリング音がいかにも安っぽい。とても雑音が多く、まるで鉄板が暴れているかのような音が聞こえます。これでは、500万円オーバーのプレミアムカーとしては褒められません。
一方、パワー感は、IS300hというモデル名どおり、排気量3リッターのエンジンに匹敵するものですが、50km/h弱の速度域でスロットルペダルを素早くオン/オフさせた時、パワートレイン系がまったく無反応に陥ってしまう瞬間があったのが残念でした。おそらく、モーターでいくか、エンジンでいくかの境目で、どちらを使うか迷っているためにそうなるのでしょう。これはハイブリッド車特有の弱点です。
ただし、同様にハイブリッド車の弱点とされるブレーキフィーリングは、剛性感があって満足のいくものでした。ブレーキを踏み増していくと、機械式ブレーキと回生ブレーキの割合が変化して、まるでブレーキの剛性感が低いかのように感じられることが、ハイブリッド車ではままあります。しかし、IS300hではそういうことはまったくありませんでした。トヨタの長年にわたるハイブリッド車のノウハウが生かされているようです。
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