第11回「ボルボV40 T4」vs「フォルクスワーゲン・ゴルフTSIコンフォートライン」(前編)
2013.08.16 水野和敏的視点 ![]() |
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たかが、されどのエンジンマウント
今回は、250~300万円級の欧州ハッチバック対決です。一台は、このクラスのベンチマークとして、2度目の登場となる「フォルクスワーゲン・ゴルフ」。グレードは1.2リッターターボを積むTSIコンフォートライン、対するは、ボルボが満を持して投入した、プレミアムスポーツコンパクトをうたう「V40」。最もベーシックな「T4」で、エンジンは1.6リッターターボ。価格は、どちらも同じ269万円です。
まずは、ボルボV40から見ていきましょう。ステアリングを切るタイミングとエンジンの揺れ具合によってトルクステアが出ますね。ゴルフにもその傾向はありますが、V40はより顕著。頻繁にトルクステアが顔を出します。その原因は、ちょっと独特なエンジンマウントにあると思います。V40のエンジンマウントは、通常のクルマと異なり、前後方向に硬く、上下に柔らかい仕様を採っています。おそらく、一定速度で走ったときの、振動低減と乗り心地の良さを重視したのでしょう。上下に柔らかいゴムの方が、普通に走っている分には、振動の吸収性が高いし、エンジンノイズも伝えにくい。ドライブフィールのがさつな感じを消しやすい。いわゆる「オトシンがいい」というやつです。
ところが、この方式だと、エンジンが揺れやすいんですね。そのうえV40のトルクはゴルフより4割近く太い。アクセルのオン、オフがあると、エンジンの傾斜角が変わってしまう。すると、ドライブシャフトの折れ角が変化するので、トルクステアが発生する。同時に、エンジンマウントのブラケット部分が共振して、雑な音をたてる。実質的に初めてCセグメントの本格派ハッチをつくった自動車メーカーが陥った罠(わな)、と言ったら言い過ぎでしょうか。
一方、エンジンそのものはいいですね。トルクがあって、乗りやすい。特に高速道路での車線合流なんか、すごく楽でしょう。あの力強さは魅力です。
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