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第229回:「ハズミ」と「デミオ」の関係は?
「マツダ跳(HAZUMI)」のチーフデザイナーにインタビュー

2014.03.14 エディターから一言
ジュネーブショーで公開された「マツダ跳(HAZUMI)」。(写真=石井昌道)
ジュネーブショーで公開された「マツダ跳(HAZUMI)」。(写真=石井昌道) 拡大

ジュネーブショーで注目を浴びているマツダのコンセプトカー「跳(HAZUMI)」。次期「デミオ」の予告編と見られるこのクルマの造形のポイントを、チーフデザイナーの柳澤 亮氏に聞いた。

マツダ株式会社
デザイン本部
チーフデザイナー
柳澤 亮(やなぎさわ りょう)さん

<プロフィール>
1991年にマツダ入社。デザイン本部で「プレマシー」などさまざまな量産車のインテリアデザインを手がけた後、2007年にデザイン戦略スタジオ チーフデザイナーに。ピックアップトラック「BT-50」を担当した。2013年にコンセプトカー「マツダ跳」のチーフデザイナーに就任。1969年生まれ。(写真=石井昌道)


    マツダ株式会社
    デザイン本部
    チーフデザイナー
    柳澤 亮(やなぎさわ りょう)さん
    
    <プロフィール>
    1991年にマツダ入社。デザイン本部で「プレマシー」などさまざまな量産車のインテリアデザインを手がけた後、2007年にデザイン戦略スタジオ チーフデザイナーに。ピックアップトラック「BT-50」を担当した。2013年にコンセプトカー「マツダ跳」のチーフデザイナーに就任。1969年生まれ。(写真=石井昌道)
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鋭く切れ上がったヘッドランプ。「獲物を狙う目つきを表現した」と柳澤氏。
鋭く切れ上がったヘッドランプ。「獲物を狙う目つきを表現した」と柳澤氏。
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マツダのデザインテーマ“魂動-Soul of Motion”を最初に体現したコンセプトカー「マツダ靭(SHINARI)」(2010年)。
マツダのデザインテーマ“魂動-Soul of Motion”を最初に体現したコンセプトカー「マツダ靭(SHINARI)」(2010年)。 拡大

チーターが飛びかかる瞬間を表現

――より小さなクルマで「魂動(こどう)デザイン」を表現するうえでテーマの修正はありましたか?

魂動デザインを立ち上げてから「CX-5」「アテンザ」「アクセラ」と市販車が生まれてきました。それに続く「跳(HAZUMI)」も生命がもつ美しさ、力強さ、ダイナミックな動きをクルマで表現していくというコンセプトやフィロソフィーの根底は変わることはありません。とはいえ魂動デザインも進化させていく必要がありますし、コンパクトなBカー(Bセグメントカー)での表現というのもチャレンジではありました。

――デザインに際し、より力を入れたところはどこでしょうか?

跳で魂動デザインとして進化させたのは表情づくりです。これまでは全身で生命感を表現してきましたが、今回はフロントエンドでの表現に力を入れました。最初のコンセプトカーの「靭(SHINARI)」やアテンザなどはチーターがテーマになっていましたが、跳では同じチーターでも、もっと若いチーターのイメージ。ヘッドランプは獲物を狙う目つきをしっかりと表現し、グリルからヘッドランプにつながるシグネチャーウイングはクロムのパーツを立体的で深い造形にするべくこだわりました。獲物をクッとにらんで今まさに飛びかかるぞっていうシャープな表情を表現できていると思います。

――同じ魂動デザインでも、靭と跳では表現のテーマが異なるのですね。

靭は全身での生命感や躍動感の表現が伸びやかでわかりやすいですよね。あれはチーターが全力疾走しているさまをイメージしてます。足が伸びきっているような前後の動きでハイスピードな印象を出していますけど、それをそのままBカーでやってしまったら、なんだかちょっとおかしなことになるわけです。いろいろと試行錯誤しましたが、跳では今から獲物に狙いを定めてグッとかがみ、筋肉に力をためてバッと飛びかかろうとする瞬間のイメージ。同じ魂動デザインでも表現の仕方が違うのです。

踏ん張ったリアビューに自信

――フォルムを描くうえで、こだわったところがあれば教えてください。

フォルムは、キャビンをコンパクトに見せて後方にグッと引き、ロングボンネットを強調することにこだわっています。走りの喜びを生み出すスカイアクティブのエンジンがボンネットの下に入ってますよということを訴求するように考えているのです。そのためにAピラーの付け根はなるべく後方にしています。現行「デミオ」ですとAピラーの延長線上がフロントタイヤの前方になりますが、跳ではタイヤのセンターに突き刺さっていきます。それでも乗降性をしっかり確保するためにAピラーの角度としては少し立ち気味になりますが、ほどよいバランスのところに落ち着いたんじゃないでしょうか。

――ここに注目してほしいという箇所はありますか?

コンパクトなBカーで魂動デザインを表現するのはチャレンジではあるのですが、それを逆手にとってうまく仕上がったのがリアエンドです。斜め後ろからみると後足(リアタイヤ)がグッと大地に踏ん張っている感じが強調されていますよね。他のモデルもこういった表現には取り組んでいて、靭の場合はかなりのワイド・アンド・ローなので実現されてますが、アテンザではあそこまでいけていません。ハッチバックのほうが有利でしょうが、「アクセラスポーツ」は意外とリアオーバーハングがあります。跳は後ろからみるとリアタイヤがばっちり見えるぐらいにショートオーバーハングというのが幸いしていますね。

――市販されている現行型デミオから継承させた部分はありますか?

現行デミオもリアエンドの評判は良かったんです。特に女性のお客さまからは印象的でいいねと言われていました。そこで跳にも少しだけですが、現行デミオを意識したところを残しています。ヒップがキュッとした感じですね。また、女性からはこの跳の顔つきも「これはこれでカワイイね」と言われています。現行デミオはどちらかというと優しい雰囲気で跳は野性的なのですが、若いチーターの、ちょっと小生意気な感じがカワイイという感覚になり、愛着がわくんでしょうね。

外寸は全長4070×全幅1730×全高1450mmで、ホイールベースは2585mm。現行「デミオ」と比べてひとまわり大きい。
外寸は全長4070×全幅1730×全高1450mmで、ホイールベースは2585mm。現行「デミオ」と比べてひとまわり大きい。
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第229回:「ハズミ」と「デミオ」の関係は?「マツダ跳(HAZUMI)」のチーフデザイナーにインタビューの画像 拡大
リアビューは「グッと踏ん張っている感じを強調した」と柳沢氏。
リアビューは「グッと踏ん張っている感じを強調した」と柳沢氏。
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「跳」のシート。(写真=石井昌道)
「跳」のシート。(写真=石井昌道)
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インテリアにもこだわる

――柳澤さんのデザイナーとしての経歴を教えてください。

実は私、チーフデザイナーとしては珍しいことにインテリアデザイナー出身なのです。ですからインテリアにもこだわりましたよ。当社は“Be a driver.”というコミュニケーションもしていますが、ドライバーへはそういった走る喜びを最大限に提供したい。そこでコックピットゾーンをしっかりと造りました。それに対して助手席のゾーンは、シンプルで横にスカッと広げて開放感を表現しています。この2つのゾーン分けというのはアクセラでも採り入れてますが、跳ではよりシンプルに、強調してます。

――そのほかに見どころはありますか?

カラーにもこだわりました。一目見ただけでハッとするようなカラーコーディネーション。他のモデルは落ち着いた方向性ですが、Bカーならばこれぐらいの大胆さが似合うでしょう。ショーカーだからここまでできたということはありますが、ゆくゆくは市販車にもこういったテイストを採り入れたいと思っています。

――ずばり、跳は次期デミオと見ていいのでしょうか?

跳が市販車になっていくかどうかは、現時点では明言はできないのですが、まあ、「雄(TAKERI)」とアテンザの関係に近いといえばご想像いただけるんじゃないでしょうか。期待を裏切らないよう頑張りますので楽しみにしていてください。

(文=石井昌道/写真=石井昌道、マツダ)


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運転席は走りに集中できる環境に。それに対して助手席では開放感を表現した。
運転席は走りに集中できる環境に。それに対して助手席では開放感を表現した。
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「アテンザ」を示唆したコンセプトカー「マツダ雄(TAKERI)」(2011年)。
「アテンザ」を示唆したコンセプトカー「マツダ雄(TAKERI)」(2011年)。
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