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日産デイズ ルークス ライダー(FF/CVT)

お父さんの主張 2014.05.14 試乗記 生方 聡 日産の軽スーパーハイトワゴン「デイズ ルークス」をベースに、オーテックが内外装を仕立てたコンプリートカー「ライダー」に試乗。使い勝手を重視するママだけでなく、パパも満足できる軽乗用車のキモとは?

車内の広さは感動モノ

軽自動車の人気カテゴリーである“スーパーハイトワゴン”に試乗するといつも思う。「なんて広さだ!」。

リーダー格の「ダイハツ・タント」をはじめ、「スズキ・スペーシア」、「ホンダN-BOX」、そして、日産デイズ ルークスと「三菱eKスペース」兄弟と、どれに乗ってもその広さは感動モノだ。特に運転席からの眺めは、まるでバスの最前列にいるみたいで、その開放感がたまらない。小さいころ、あの席に座れると一日シアワセだったのが、このクルマを手に入れるとそれが毎日楽しめるんだなぁと思うと、それだけでワクワクする。

ご存じのとおりこのデイズ ルークスは、日産と三菱による合弁会社NMKVが手がけた軽自動車。これまで日産が販売していたスーパーハイトワゴンの「ルークス」はスズキからのOEM商品だったから、よりオリジナリティーが出せるという点では、日産としても気合の入れ方が違う。

例えばデイズ ルークスのウリでもあるロングスライドのリアシートは、ミニバン並み、いや、それ以上に足元が広い。ポジションを一番後ろの位置にすれば、大人が足を組んでもまだまだ余裕があるし、一番前でも膝の前に拳1個分のスペースが残っている。これなら、多少荷物が多いときも安心だ。しかも、デイズ ルークスの場合、後席が左右独立してスライド可能で、また、いざというときには個別に床下へ収納できるので、なにかと便利である。

日産が軽スーパーハイトワゴン市場に満を持して投入した「デイズ ルークス」。「三菱eKスペース」の兄弟車に当たり、三菱の水島製作所で生産される。
日産が軽スーパーハイトワゴン市場に満を持して投入した「デイズ ルークス」。「三菱eKスペース」の兄弟車に当たり、三菱の水島製作所で生産される。
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運転席からの見晴らしは開放感抜群。センタークラスターやシフトセレクターの加飾パネル、ドアトリムなどは、「ライダー」専用のデザインとなっている。
運転席からの見晴らしは開放感抜群。センタークラスターやシフトセレクターの加飾パネル、ドアトリムなどは、「ライダー」専用のデザインとなっている。
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ジャカード織物の生地を使った「ライダー」専用のツートンカラーのシート。
ジャカード織物の生地を使った「ライダー」専用のツートンカラーのシート。
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後席は左右別々にリクライニングとスライド調整が可能。格納は背もたれを倒してから床に落とし込むダイブダウン方式となっている。(写真をクリックすると、シートアレンジの様子が見られます)
後席は左右別々にリクライニングとスライド調整が可能。格納は背もたれを倒してから床に落とし込むダイブダウン方式となっている。(写真をクリックすると、シートアレンジの様子が見られます)
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日産 デイズ ルークス の中古車

このデザインならパパも満足

ロングスライドは、後席に子供を乗せたときにも重宝しそう。運転席のママがいちいち席を離れずに小さい子供の世話ができるからだ。資料には「前席シートバックの角を丸めて、ママが後方へ腕を伸ばしやすいよう配慮しました」とあるが、こんなところが日本メーカーならではの気づかい。これで、助手席に小さい子供を乗せるママが減ってくれれば、子供もシアワセだろう。

ただ、頭上の空間が広く、窓が大きいからか、天気がいいと後席が暑い……と思っていたら、後席にエアコンの空気を循環させるリアシーリングファンや後席用ロールサンシェードが用意されていた。これなら、子供がチャイルドシートで汗だくになるのも防ぐことができるだろう。ほかにも、いたれりつくせりの装備が満載である。

そんなデイズ ルークスの広さや便利さをショールームで見せつけられたら、試乗しようがしまいが、ママはこのクルマに決めてしまうんだろうな。

ところで、今回試乗したのは「ライダー」。「デイズ ルークス ハイウェイスター」をベースに、あのオーテックが存在感あるスタイルに仕立て上げた個性的なモデルだ。

専用のフロントグリルとバンパーにより迫力の増したフロントマスクは、同社の「セレナ」や「エルグランド」を連想させ、ライダーのエントリーモデルとして、その役割を十二分に果たしている印象だ。一方、インテリアも、センタークラスターまわりのデザインや、ドアトリム/シート地が専用となり、スポーティーな雰囲気に仕上がっている。

スーパーハイトワゴンというと、どうしてもママと子供のクルマという印象が強いが、これならパパも満足に違いない。

ライバルを上回る260mmというロングスライド調整機構を備えたリアシート。
ライバルを上回る260mmというロングスライド調整機構を備えたリアシート。
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後席へ風を送り、車内の空気を循環させるリアシーリングファン。
後席へ風を送り、車内の空気を循環させるリアシーリングファン。
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ルームミラーにはバックカメラの映像を映し出すディスプレイを内蔵。高額オプションのカーナビを装備せずとも、アラウンドビューモニターなどの機能を利用できる。
ルームミラーにはバックカメラの映像を映し出すディスプレイを内蔵。高額オプションのカーナビを装備せずとも、アラウンドビューモニターなどの機能を利用できる。
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専用デザインのグリルやバンパーなど、フロント周りには兄貴分である「エルグランド ライダー」や「セレナ ライダー」に通じるデザインを採用。
専用デザインのグリルやバンパーなど、フロント周りには兄貴分である「エルグランド ライダー」や「セレナ ライダー」に通じるデザインを採用。
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エクステリアでは、バックドアモールや15インチアルミホイールも「ライダー」の専用品となる。
エクステリアでは、バックドアモールや15インチアルミホイールも「ライダー」の専用品となる。
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パワーに不満はないけれど……

デイズ ルークス ライダーには、ベースとなるグレードにより、自然吸気エンジンとターボエンジン、FFと4WDが選べる。試乗車はFFの「ハイウェイスター ターボ」がベースで、パワートレイン、足まわりとも、ベースモデルと同じスペックである。

早速走らせると、最高出力64ps/6000rpm、最大トルク10.0kgm/3000rpmの直列3気筒ターボとCVTの組み合わせは十分パワフル。街中はもちろんのこと、高速道路の登り勾配でも、非力に思えることはなかった。低い回転でも十分なトルクを発生させるため、加速のたびに大きなエンジン音に悩まされることはない。むしろ高速では風切り音が目立つほどだ。

一方、その走りは“ファン・トゥ・ドライブ”とは対極にあった。走りだしてすぐに気になったのがステアリングフィール。軽いのはいいが、フィールに乏しいのだ。背が高いので、そのぶんロールを抑えるためにバネはやや硬め。おかげで低速ではややゴツゴツとした印象があるが、かといってロールやピッチングが抑えられているかというとそうでもなく、もう少し落ち着きがほしいところだ。特に後席ではそう思うことが多かった。

そういう意味では、デイズ ルークス ライダーの挙動は90年代の日本のミニバンのよう。さほど運転に興味のないママにはどうでもいいことかもしれないが、少なくとも私なら、進んでステアリングを握りたいとは思わないし、クルマ酔いしやすい体質なので乗せられるのも遠慮したいところだ。

もちろん、このクルマの魅力は軽自動車枠の小さなボディーに優れたパッケージングを与えたことだが、クルマとしての魅力をもう少し磨いてほしかったというのが、パパとしての正直な気持ちである。

(文=生方 聡/写真=荒川正幸)

「デイズ ルークス」に設定される8色のボディーカラーのうち、「ライダー」で選択できるのは「ホワイトパール」「ブラック」「クールシルバー」「モカブラウン」の4色のみとなる。


    「デイズ ルークス」に設定される8色のボディーカラーのうち、「ライダー」で選択できるのは「ホワイトパール」「ブラック」「クールシルバー」「モカブラウン」の4色のみとなる。
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ベース車は「ハイウェイスターX」「ハイウェイスターX Gパッケージ」「ハイウェイスター ターボ」の3種類から選択可能。今回のテストでは、ターボ車であるハイウェイスター ターボがベースのものを使用した。
ベース車は「ハイウェイスターX」「ハイウェイスターX Gパッケージ」「ハイウェイスター ターボ」の3種類から選択可能。今回のテストでは、ターボ車であるハイウェイスター ターボがベースのものを使用した。
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専用デザインのアルミホイールを装着する以外、足まわりの仕様はベース車と共通。
専用デザインのアルミホイールを装着する以外、足まわりの仕様はベース車と共通。
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日産デイズ ルークス ライダー(FF/CVT)【試乗記】の画像 拡大

テスト車のデータ

日産デイズ ルークス ライダー(ハイウェイスター ターボ ベース)

ボディーサイズ:全長×全幅×全高=3395×1475×1775mm
ホイールベース:2430mm
車重:950kg
駆動方式:FF
エンジン:0.66リッター直3 DOHC 12バルブ ターボ
トランスミッション:CVT
最高出力:64ps(47kW)/6000rpm
最大トルク:10.0kgm(98Nm)/3000rpm
タイヤ:(前)165/55R15 75V/(後)165/55R15 75V(ブリヂストン・エコピアEP150)
燃費:--
価格:194万6160円/テスト車=200万9880円
オプション装備:ボディーカラー<ホワイトパープル>(2万7000円)/専用LEDデイタイムランニングライト(3万6720円)
※価格はいずれも8%の消費税を含む。

テスト車の年式:2014年型
テスト車の走行距離:1414km
テスト形態:ロードインプレッション
走行状態:市街地(4)/高速道路(6)/山岳路(0)
テスト距離:495.5km
使用燃料:32.0リッター
参考燃費:15.5km/リッター(満タン法)/16.0km/リッター(車載燃費計計測値)
 

日産デイズ ルークス ライダー(ハイウェイスター ターボ ベース)
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生方 聡

生方 聡

モータージャーナリスト。1964年生まれ。大学卒業後、外資系IT企業に就職したが、クルマに携わる仕事に就く夢が諦めきれず、1992年から『CAR GRAPHIC』記者として、あたらしいキャリアをスタート。現在はフリーのライターとして試乗記やレースレポートなどを寄稿。愛車は「フォルクスワーゲンID.4」。

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