トヨタ86 GT(FR/6AT)/ヴィッツRS“G's”(FF/5MT)
すべての人にスポーツカーを! 2014.06.03 試乗記 足まわりのセッティングを中心に小変更が実施された「86(ハチロク)」。補強材の追加などによってボディー剛性を高めた「ヴィッツRS“G's”」とともに、その変化をサーキットで確かめた。改良する必要がある?
「86」一部改良の発表を、すでにオーナーとなっている人は歯がゆい思いで聞いたかもしれない。86が進化することはうれしいニュースだが、それは自分の持っているモデルが旧態化することを意味する。大幅なパワーアップなどがあると、悔しい思いをするだろう。しかし、今回はスペックに変更はない。変わったのは足まわりで、それも実に地味な改良である。ならば無視してもいいような改良なのかというと、それは違うのだ。確実に良い方向に変わっていて、それをどう受け止めるのかは人によるだろう。
まず、外見は明らかに変わった。とはいっても、それはアンテナの形状である。角度調節式のショートアンテナから、シャークフィンタイプに変更されたのだ。多少は空力的な効果があるかもしれないが、乗ってわかるほどのものではないだろう。ひと目で違いがわかるので旧型と見られたくないというなら、ディーラーで交換することができる。
ほかにも内装の加飾が変わったりボディーカラーに新色が登場したりという変更はあるが、もちろんメインはメカニズムの改良である。それを実感できるように、試乗会は富士スピードウェイのショートサーキットで行われた。全長800mほどで、タイトなコーナーが連続する。違いをはっきりと示すため、従来型の86も用意された。通常は試乗会に旧型を持ち込むことはなく、これは技術陣の自信の表れに違いない。
まずは旧型で走ってみた。ATモデルだが、実にスポーティーな走行ができる。ブレーキを踏むと中吹かしを入れて減速し、コーナーでステアリングを切ると思ったとおりに向きを変えるのが快感だ。ちょっと長めのストレートでは、水平対向4気筒エンジンの刺激的な音が響き渡り、気分が高まる。コーナリングで多少しくじっても、パニックに陥ることはない。バランスがいいから、立て直すのは容易だ。何も問題はない。いったいどこを改良するというのか。