BMW M3セダン(FR/7AT)/M4クーペ(FR/7AT)
時代を読んだ高性能 2014.07.02 試乗記 パワフルな直6ターボエンジンを積む新型「BMW M3セダン」に、サーキットで試乗。2ドアモデルとして独立した兄弟車「M4クーペ」とあわせて、その実力を報告する。変わり続けるスポーツモデル
1972年に設立され、当初は純粋にレーシングカーの製造のみを行っていたBMWモータースポーツ社。その後、専用車両を参加者に提供して行うドライバートレーニングや、オーナーの個人的要望に応えるカスタマイズを担当するなどの事業拡大を経て、1993年にシンプルな「BMW M社」へと社名変更が行われてから、すでに20年以上の歳月が経過した。
これまでにこのブランドから送り出された“M”の記号を冠したあまたのロードモデルが、世界のエンスージアストを狂喜乱舞させた歴史については、いまさら振り返るまでもないだろう。中でも、“戦うクルマ”として生を受け、後に世界屈指の“走りの快感が味わえるドライバーズカー”へと昇華された「M3」は、間違いなく、同社を代表するモデルとして名を残す存在だ。
興味深いのは、そんな歴代M3の内容が、誕生時点での時代性を巧みにキャッチアップしていた点である。
初代モデルのレーシングフィールドでの活躍で得られたノウハウをたたき台に、より高次のドライビングプレジャーの実現を目指して、初めて直列6気筒エンジンが与えられた2代目。そんな2代目モデルの美点に磨きをかけ、M3の名声をより確固たるものとした3代目。
さらには、世界から称賛された直6エンジンに別れを告げ、超高回転型のV8エンジンを搭載して「エンジンの存在感をさらに際立たせる」と同時に、ラグジュアリースポーツカーとしての立場を大幅に強化させた4代目……と、同じM3でありながらも、各モデルにはそれぞれ固有のキャラクターが備わっていた。
そう、時代の移り変わりを敏感に察し、世界を代表するスポーツモデルとして常に最先端を切り開く役割を担ってきたのがM3だったのだ。そんなM3がまたもフルモデルチェンジの時を迎えた。従来のクーペバージョンは、「M4」へと名前を変えての再デビューだ。