第77回「プジョー208アリュール」(前編)

2014.11.28 水野和敏的視点 水野 和敏
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サイドシルが立派なワケは……

このところ、「マツダ・デミオ」「フォルクスワーゲン・ポロ」そして「トヨタ・アクア」と、注目の小型ハッチバック車を続けて取り上げてきました。今回は、フレンチハッチの「プジョー208」をテストします。

そもそもハッチバックというものを世に広めたクルマが何か、ご存じでしょうか。古くは1950年代の「シトロエン・トラクシオン アヴァン」にリアゲートを持つ商用車仕様があったようですが、もっと一般的なものに話をしぼれば、1960年代にデビューした「ルノー4」(デビュー年は1961年)や、「ルノー16」(同1965年)などがハッチバックの元祖と言われています。その後、1970年代に入ってから「フォルクスワーゲン・ゴルフ」が登場して世界的なヒット作となり、この車型をいわばベーシックカーの原型として定義付けました。

いずれにしても、ハッチバックを「発明」したのは合理的精神に満ちたフランス人だと言っていいでしょう。最新のフレンチハッチはどんな志が貫かれているのでしょうか。テストが楽しみです。

その前に、今回試乗する「208アリュール」についてざっと説明しておきましょう。2014年現在、日本での208は、1.2リッター直列3気筒エンジン(82ps、12.0kgm)を積んだ5ドアのモデル群を中心に、その上下をよりパーソナルな3ドアモデルで挟むラインナップになっています。具体的には、1.6リッター直4ターボエンジンを搭載するスポーティーな「GTi」(200ps、28.1kgm)と、スタイリッシュに装った「XY」(156ps、24.5kgm)が上位にあり、一方、1.2リッターを用いた「アリュール」が、ベーシックグレードとして用意されます。

アリュールには、シングルクラッチ式の2ペダル5段MT「ETG」と、コンベンショナルな3ペダル式の5段MTの、2種類のトランスミッションがあります。今回はETGの方をテストします。

さて、208アリュールに乗り込もうとしてまず気付いたのは、意外なまでのサイドシルの太さ。その目的はもちろんボディー剛性の確保にありますが、もうひとつ、将来的に「カブリオレ」を想定しているためでしょう。