第78回「プジョー208アリュール」(後編)

2014.12.05 水野和敏的視点

これはドイツ車にはない味だ!

前回に続き、今回もフレンチハッチ「プジョー208」をテストします。前回はメーターの表示が細かすぎて、その見にくさに思わず苦言を呈してしまいましたが、いざ走りだしてみるとドイツ車とは異なるクルマづくりに大いに興味が引かれ、感心することしきりでした。

ドイツ車の場合、足まわりは最初からしっかりしていて、遊びや隙がありません。ところが、208アリュールでは、サスペンションストロークが非常に滑らかで柔らかい。フニャフニャ感すらあります。しかし、それが頼りないかというとまったくそんなことはなくて、一定量ロールすると、ピシッとボディーの傾きが抑えられる。

そのうえステアリングがサッとセンターに戻るので、たとえ足まわりがソフトでも、「どこへ行っちゃうの?」といった不安がありません。クルマそのものが、ドイツ車とはまったく違う要素の組み合わせとアプローチでできている。そんな感想を抱きました。

サスペンションのセッティングをもう少し分析してみると、フロントの柔らかさと比して、リアをしっかり踏ん張らせている。ただし、突っ張ったまま動かない、というのではないんです。リアサスペンションももちろんストロークするのですが、決してフロントの動きを「追い越す」ようなことがない。常にフロントの動き量と速さに応じてストロークし、バランスをしっかりとっているのです。例えるなら、フロントサスペンションという「子供」が勝手な動きをしても、リアサスペンションという「親」がきっちり抑えている感じです。

これはドイツ車にはない味です。いい悪いは別にして、「クルマの乗り味を滑らかにするには、こうやるんですよ」というひとつの見本といえます。前回(第76回)「トヨタ・アクア」に乗ったから言うわけではないのですが、トヨタにもぜひ208アリュールの乗り心地や動きのコントロールを勉強してほしいものです。

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