第380回:「トヨタRAV4」の成人式
2015.01.09 マッキナ あらモーダ!「RAV4」が20周年だった
1月といえば成人式である。昨2014年、「いつかいつか」と思いながら、書くタイミングを失ってしまった20歳のクルマがあった。「トヨタRAV4」である。
新成人の定義を調べると「年度内」だ。それに甘えさせてもらい、2015年最初の「マッキナあらモーダ!」は、RAV4のお話を少々。
RAV4の20周年をつい書きそびれてしまったのには、理由がある。ボクが住む欧州では、トヨタ・モーター・ヨーロッパがプレスリリースを配信する程度で、あまりそれを盛り上げなかったからである。
こちらでは、大きな記念年は25年、欧米人が好きな「クォーター」単位だ。したがって、20年はまだ道半ばと判断したことは想像に難くない。
ただし欧州はRAV4にとって、誕生のキーとなった場所である。
1989年の東京モーターショーで参考出品されたコンセプトカー「RAV-FOURコンセプト」は好評を博し、1991年に開発計画にゴーサインが下される。しかし量産の対象とはされなかった。「コンパクトSUV」というジャンルが、市場に存在し得るかどうか、経営陣の誰もが判断しかねたからであった。さらに不幸なことに、開発計画は一旦休止されるまでに至った。
そうしたなか販売サイドから、コンパクトSUVを期待する空気が高まっていることを示唆された。その「販売サイド」とは日本と、そしてヨーロッパだったのだ。かくしてRAV4の開発計画は、再開された。
予想は的中した。1994年、発売初年にもかかわらず5万3000台のRAV4が全世界で売れた。翌1995年にその数は3倍に達し、2013年には発売年の10倍の販売を記録した。今日までに世界で販売されたRAV4は500万台以上にのぼる。うち約130万台がヨーロッパで売られ、現在もその9割以上が現役で路上を走っているという。欧州におけるトヨタにおいて、RAV4はヒット車種のひとつとなった。

大矢 アキオ
コラムニスト/イタリア文化コメンテーター。音大でヴァイオリンを専攻、大学院で芸術学を修める。1996年からシエナ在住。日本を代表するイタリア文化コメンテーターとして語学テキストやデザイン誌等に執筆活動を展開。19年にわたるNHK『ラジオ深夜便』リポーター、FM横浜『ザ・モーターウィークリー』季節ゲストなど、ラジオでも怪気炎をあげている。『Hotするイタリア』、『イタリア発シアワセの秘密 ― 笑って! 愛して! トスカーナの平日』(ともに二玄社)、『ザ・スピリット・オブ・ランボルギーニ』(光人社)、『メトロとトランでパリめぐり】(コスミック出版)など著書・訳書多数。YouTube『大矢アキオのイタリアチャンネル』ではイタリアならではの面白ご当地産品を紹介中。
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