第5回:「ボルボV40」のあるライフスタイル
ボルボV40とノルディックウォーキングのいい関係 2015.01.19 ボルボV40の“いま”を知る ボルボV40 T4 SE(FF/6AT)北欧の走りに共感したのなら、次は「北欧の歩き」に挑戦してみてはいかが? ポールを使って歩くノルディックウォーキングは勝ち負けのない、自分のペースで楽しむスポーツ。人を中心にして進化するクルマ、ボルボとの相性はとてもいいはずだ。
ポールを使って歩こう
ノルディックウォーキングという言葉は知っていたけれど、ここ最近は実際にこのスポーツを楽しんでいる人を見かける機会が増えた。公園や遊歩道などで、ポールを使って歩く人をよく見かけるのだ。
生活習慣病に苦しむ同級生が増えつつある40歳代後半としては、このスポーツに興味が湧く。調べてみると、普通のウォーキングの30~40%も消費カロリーが増すという。しかも下半身だけでなく上半身にも“効く”というから、健康に気をつけたい世代には願ったりかなったりだ。
クルマでの移動が多く、運動不足の解消を図りたい『webCG』編集部のスタッフも加わり、ノルディックウォーキングに出掛ける企画を立てた。といってもオジサン同士だと絵が汚い(!)ので、タレントの石原あつ美さんに同行していただくことにした。
目的地の富士五湖周辺までの足には、「ボルボV40」を選んだ。この選択の理由のひとつは、フィンランド発祥のノルディックウォーキングと“北欧つながり”だから。2015年モデルから変更されたシャシーや安全装備を試してみたいという目的もある。あとひとつ、最近のボルボのデザインは女性受けもいいだろうという狙いもあった。
もくろみは見事に当たり、集合場所に現れた石原さんは「いまのボルボってとってもおしゃれなんですね」と感心することしきり。外観も気に入ったけれど特に北欧家具のようなインテリアが好みだという。
「ボルボV40 T4 SE」のラゲッジスペースにノルディックウォーキング用のポールやシューズ、ウエアを積み込んで、都内を出発する。走りだしてすぐに、「おっ」と頭の中にビックリマークがともった。
「ダイナミック」から「ツーリング」へ
ビックリマークがともったのは、いままでに乗ったボルボとは足まわりの感触がまるで異なるからだ。これまでに乗ったボルボV40(つまり2014年までのモデル)は、ビシッと引き締まっていた。特に市街地程度の速度域だと引き締まりすぎだと思うこともしばしばだった。
ただしワインディングロードや深夜の首都高速では、俊敏かつ正確なハンドリングを楽しむことができた。エレガントなエクステリアデザインと体育会系の足まわりの組み合わせはミスマッチだったとも言えるし、そこが面白いとも言えた。
一方2015年モデルは、ルックスと乗り心地が調和している。タウンスピードで悪い路面を走っても、鋭いショックが伝わることがなくなったのだ。ソールの薄いスニーカーから、踵(かかと)への衝撃を緩和してくれる良質なウォーキングシューズに履き替えたかのような違いがある。
特に今回は、助手席に石原さんが乗っているから、乗り心地の改善がうれしい。
ボルボによれば、2014年モデルが走り重視の「ダイナミック・シャシー」を採用していたのに対し、2015年モデルはコンフォート重視の「ツーリング・シャシー」に切り替えたのだという。
乗り心地はしなやかになったけれど、高速道路に入って速度を上げてもフワフワするようなことはない。相模湖付近の高速コーナーの連続も安定したロールを伴いながらスムーズにクリアする。
こういう場面で特に気に入ったのはステアリングフィール。タイヤがどれくらい切れているか、路面がどんな状態かを緻密に伝えてくれるから、法定速度での巡航でも退屈しない。われわれ取材班一行は、あっという間に河口湖インターに到着した。
その源流はクロカンスキーのトレーニング
ノルディックウォーキングを実践するにあたって、取材前日にレクチャーを受けた。教えてくださったのは、日本ノルディックウォーキング協会の理事で公認マスタートレーナーでもある伊藤義昭さんだ。伊藤さんは、キャラバンという会社でノルディックウォーキング用品を扱っているから、このスポーツの伝道師のような方である。
伊藤さんによれば、ノルディックウォーキングはスキーのクロスカントリーの選手が夏場のトレーニングとして行っていたものが原形だという。ポールを使うことで全身運動となることは1930年代から知られていたが、ポールの長さや歩き方などを工夫し、新しいスポーツ「ノルディックウォーキング」として発表されたのは1997年。歴史は新しいけれど、運動効果が簡単に得られる有酸素運動ということで、フィンランドでは瞬く間にポピュラーなスポーツとなり、その後ドイツをはじめヨーロッパ全域に広がったとのことだ。
伊藤さんに教わった通り、石原さんのポールの長さをストラップがおへその位置になるように調整する。最初は腕を振らずに歩くことから始め、次第に手の振りを大きくする。
学生時代にバレー部やバスケット部で活躍し、いまでもジムで週に何回かは走るという石原さんは、さすがに飲み込みが早い。30分もすると、格好のいいフォームで湖の周辺を歩き回るようになった。
石原さんに感想を尋ねると、「楽ちんに歩くためのポールかと思ったら、逆なんですね」という答えが返ってきた。
「確かに運動の負荷が高くなっていて、特に二の腕や肩のあたりに“効いている”感じがします」
ジムで筋トレやパワーヨガのコースもとっているという石原さんは、体の変化に敏感だ。確かに5分、10分も続けていると、体全体がぽかぽかしてくる。
V40は疲れた体にやさしい
結論として、ノルディックウォーキングは大人のエクササイズとして大いに“アリ”だと思った。ジムやプールに通うほど面倒ではないし、ランニングより故障の可能性が低い。
それから、街中で歩くのもいいけれど、やはり景色や空気のいいところで歩いたほうが気持ちいい。リフレッシュした気になる。「クルマで遠出+ノルディックウォーキング」というセットは、なかなか魅力的だ。
十分に満足して、夕暮れの西湖を後にする。疲れた体に、「ツーリング・シャシー」の快適な乗り心地がしみる。
もうひとつ、2015年モデルよりさらに充実した安全装備、運転支援機能も疲れた体にうれしい。2014年モデルまでのボルボは、オートブレーキやACC(アダプティブ・クルーズ・コントロール)などを「セーフティ・パッケージ」と呼んでいた。この「セーフティ・パッケージ」が標準装備となるモデルもあればオプション装備になるモデルもあったけれど、2015年モデルからは違う。
10種類以上の安全装備と運転支援機能をまとめて「IntelliSafe10(インテリセーフ・テン)」と呼び、ボルボの全モデル、全グレードに標準装備するのだ。リアビューモニターが加わるなど、安全装備自体もアップグレードされている。
「ちょっと運転してみたくなった」という石原さんにも、これなら安心してステアリングホイールを委ねることができる。
都内に向かいながら中央高速でACCをセットすると、ボルボV40は前方を行く車両の速度にあわせて滑らかに加減速する。快適だ。
助手席の石原さんが、iPhoneをオプションのharman/kardonのプレミアムサウンド・オーディオシステムにつなげた。そしてテイラー・スウィフトの新譜をかけて、聴く音のよさに目を丸くした。出発から帰路まで、充実した一日である。
(文=サトータケシ/写真=Dan AOKI/取材協力=キャラバン)
テスト車のデータ
ボルボV40 T4 SE
ボディーサイズ:全長×全幅×全高=4370×1800×1440mm
ホイールベース:2645mm
車重:1440kg
駆動方式:FF
エンジン:1.6リッター直4 DOHC 16バルブ ターボ
トランスミッション:6段AT
最高出力:180ps(132kW)/5700rpm
最大トルク:24.5kgm(240Nm)/1600-5000rpm
タイヤ:(前)205/50R17 93W/(後)205/50R17 93W(ピレリ・チントゥラートP7)
燃費:16.2km/リッター(JC08モード)
価格:365万円
![]() |

サトータケシ
ライター/エディター。2022年12月時点での愛車は2010年型の「シトロエンC6」。最近、ちょいちょいお金がかかるようになったのが悩みのタネ。いまほしいクルマは「スズキ・ジムニー」と「ルノー・トゥインゴS」。でも2台持ちする甲斐性はなし。残念……。
-
第8回:プロに聞く「V40」のデザイン 2015.2.4 ボルボV40 T4 SE(FF/6AT) ボルボの人気モデル「V40」は、そのスポーティーなスタイリングもセリングポイントとされている。では、そんな北欧生まれのハッチバックを、デザインのプロはどう評価するのだろうか? 日本を代表するプロダクトデザイナー深澤直人氏に聞いた。
-
第7回:V40で味わう京の峠・京の食 2015.1.30 ボルボV40 T5 R-DESIGN(FF/8AT) ちょっとワケあって、洛北(らくほく)の山庵へ。その近くには、走りがいのあるワインディングロードが横たわっている。それならやはり操って手応えがあり、対話して楽しい相棒と行きたいではないか。よりスポーティーに磨き上げられた2015年型「ボルボV40 T5 R-DESIGN」で、いざ京の峠を越えてゆかん!
-
第4回:長距離ドライブで実力を試す 2015.1.15 ボルボV40 T4 SE(FF/6AT) ボルボのスタイリッシュなハッチバック「V40 T4 SE」。足まわりを中心にリファインされたという、最新型の実力は? “ミスター・テスター”笹目二朗が蒲郡へのロングドライブで試した。
-
第3回:好敵手と乗り比べる 2015.1.2 ボルボV40 T5 R-DESIGN(FF/8AT)/メルセデス・ベンツA250 シュポルト 4MATIC(4WD/7AT) 新たなパワートレインを得た「V40 T5 R-DESIGN」は、どんな走りをもたらすのか? 近いスペックを有するライバル「メルセデス・ベンツA250 シュポルト」との比較を通して、その素顔に迫る。
-
NEW
第321回:私の名前を覚えていますか
2025.10.20カーマニア人間国宝への道清水草一の話題の連載。24年ぶりに復活したホンダの新型「プレリュード」がリバイバルヒットを飛ばすなか、その陰でひっそりと消えていく2ドアクーペがある。今回はスペシャリティークーペについて、カーマニア的に考察した。 -
NEW
トヨタ車はすべて“この顔”に!? 新定番「ハンマーヘッドデザイン」を考える
2025.10.20デイリーコラム“ハンマーヘッド”と呼ばれる特徴的なフロントデザインのトヨタ車が増えている。どうしてこのカタチが選ばれたのか? いずれはトヨタの全車種がこの顔になってしまうのか? 衝撃を受けた識者が、新たな定番デザインについて語る! -
NEW
BMW 525LiエクスクルーシブMスポーツ(FR/8AT)【試乗記】
2025.10.20試乗記「BMW 525LiエクスクルーシブMスポーツ」と聞いて「ほほう」と思われた方はかなりのカーマニアに違いない。その正体は「5シリーズ セダン」のロングホイールベースモデル。ニッチなこと極まりない商品なのだ。期待と不安の両方を胸にドライブした。 -
MINIジョンクーパーワークス コンバーチブル(前編)
2025.10.19思考するドライバー 山野哲也の“目”レーシングドライバー山野哲也が「MINIジョンクーパーワークス コンバーチブル」に試乗。小さなボディーにハイパワーエンジンを押し込み、オープンエアドライブも可能というクルマ好きのツボを押さえたぜいたくなモデルだ。箱根の山道での印象を聞いた。 -
スズキ・エブリイJリミテッド(MR/CVT)【試乗記】
2025.10.18試乗記「スズキ・エブリイ」にアウトドアテイストをグッと高めた特別仕様車「Jリミテッド」が登場。ボディーカラーとデカールで“フツーの軽バン”ではないことは伝わると思うが、果たしてその内部はどうなっているのだろうか。400km余りをドライブした印象をお届けする。 -
ホンダN-ONE e:L(FWD)【試乗記】
2025.10.17試乗記「N-VAN e:」に続き登場したホンダのフル電動軽自動車「N-ONE e:」。ガソリン車の「N-ONE」をベースにしつつも電気自動車ならではのクリーンなイメージを強調した内外装や、ライバルをしのぐ295kmの一充電走行距離が特徴だ。その走りやいかに。