第86回:ホンダ・グレイスHYBRID EX(後編)
2015.02.06 水野和敏的視点運転感覚は「普通の日本車」
今回もホンダ・グレイスの試乗を続けます。前回、グレイスは発進後の加速が自然でいい、エンジンとモーター、そしてデュアルクラッチタイプのDCTを組み合わせて、上手に仕上げてあるという話をしました。
その一方で、減速はいまひとつという印象を持ちました。まず、回生ブレーキの働きが露骨で、それでいてブレーキ自体の利きに不満が残ります。制動力の立ち上がりが遅い、いわゆる“カックンブレーキ”とも違い、制動力自体に不足があるように感じられます。ちょっと足に力を込めてもブッシュにはね返されるだけで、利きがよくなるわけではありません。これは要改善です。
また、走りだしてすぐに気がついたのですが、ボディー剛性も思ったほど高くはありません。リアに広い開口部を持つハッチバックと比べて、3ボックスボディーのグレイスは剛性確保に有利なはずですが、どうもシャキッとしません。
サスペンションのセッティングも、煮詰めが足りません。動きが渋く、動きだしが遅いくせに、いざ動きだすと腰が砕けてしまいます。つまり、直進時には足の動きにフリクションがあってゴツゴツする“角感”があるのに、ステアリングを切って曲がるとグニャッとするのです。
このルーズな感覚は、ステアリングフィールにも色濃く宿っています。ハンドルを切れば滑らかに曲がるのですが、“不感症”のエリアがけっこうある。遊びが大きいのです。
グレイスの運転感覚を一言で表すならば「普通の日本車」。運転していて、ホンダなのかトヨタなのか、グレイスなのか「カローラ」なのかわからない。意地悪な言い方かもしれませんが、「ホンダ・カローラ」と呼びたくなってしまいます。
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