第155回:お嫁さんにするならどっちだ!?
2019.12.17 カーマニア人間国宝への道「カローラ」が欲しい!
2019年の自動車業界を振り返ると、「ものすごくいいクルマがいっぱい登場した」という印象がある。中でも新型「カローラ」はその筆頭格だった。
カローラといえば、日本では“凡庸”の代名詞。「カローラみたいな男」と言われたら、多くの男はムカッとするだろう。「フェラーリみたいな男」と言われても、バカにされてんのかな~と悩んでしまいそうだが、とにかくカローラはそういうクルマだった。
ところが新型カローラは、とてつもなくいいクルマになっていた! カッコいいし使いやすいし、なにより乗り味が猛烈にいい。TNGAを導入したモデルは、「プリウス」はじめ軒並みものすごくよくなっちゃったけど、中でもカローラのよさは、前が前だっただけにメガトン級のインパクトだった。
これなら「カローラみたいな男」と呼ばれても納得だ。イメージ的には優秀なる地方公務員って感じでしょうか? ちなみに私の長男は地方公務員です。ガンバレ地方公務員(親心)!
新型カローラが念頭にあれば、「カローラみたいな女」と呼ばれても悔いはないだろう。それはいわゆるお嫁さんにしたいタイプ。イケてる良妻賢母ってことなので!
こういったデキのいい小型セダンをそういうイメージでとらえるのは、中高年以上に限定されるかもしれないが、とにもかくにも新型カローラは私の心にかなり刺さった。黒いボディーにガンメタのホイールを履いたカローラ(セダン)が欲しい! カーマニアの老後の足に最適そう! と思ってしまった。
かわいい弟分「グレイス」
しかし、新型カローラには強力なライバルが存在する。
「ホンダ・グレイス」である。
実は私、グレイスについて、登場時から「端正で結構カッコいいなぁ」と思っておったのです。プロポーションもディテールも、先代「BMW 3シリーズ」にどこか似ているし。マネッコじゃなくたまたま似ちゃったって感じで。カッコいいセダン像を追求したらゴールは同じだった、ってことスかね?
2年半前に先代3シリーズオーナーになってからは、グレイスへの思いはますます強まり、もはや他人とは思えなくなった。もう身内みたいなもん! グレイスは私のかわいい弟です!
ところが私はそのグレイスに、一度も乗ったことがナイ! なにせ猛烈に地味なクルマでしょ? ぶっちゃけ「フィット」のセダン版つーことで、わざわざ試乗するまでのことはあんめぇ、とスルーしてしまっていたのです。
そのグレイスに、先日ついに試乗できました! なぜってグレイス、そう遠くない将来消滅しちゃいそうな雲行きじゃないですか。このままではかわいい弟分の素顔を知らないまま終わってしまう。それはイケナイ! 今のうちに乗らなきゃ! と、ホンダさまに広報車をお借りしたのです。
初めて乗ったグレイスは、ビックリするほどいいクルマでしたぁ~~~~~! 単なるフィットのセダン版のはずなのに、明らかにフィットよりも乗り味が上質! フィットもマイチェン後はいろいろとっても改良されていいクルマになったけど、それより一枚上手だぜ!
カーマニアの選択
新型カローラと比較すると、シャシー性能はTNGAのカローラのほうがかなりイイけど、ハイブリッドのパワートレインは明らかにグレイスのほうがカーマニア向け! なにしろ7段DCTだから! 段付きトランスミッションだもん! カーマニアとしてはやっぱり段が欲しい! 無段変速はイヤ!
グレイスのハイブリッドは段付きなだけじゃなく、エンジン&モーターのフィーリングもイイ! カローラ ハイブリッドのソレもすごくよくなったけど、エンジンの回転フィールに関しては、やっぱりエンジン屋のホンダが上手だ! スポーツモードにすると軽やかな排気音が車内に響いて、ちょうどいいスポーツユニットを操ってる感じ! 流し撮り職人こと池之平昌信なんざ、「まるで『NSX』ですよ」とまで言った! 確かにNSXを10分の1くらいに縮小したフィーリングはあるかもしれない。
新型カローラとグレイスを、カーマニアのてんびんにかければ、実にいい勝負だ。最後はパワートレイン重視の個人的嗜好(しこう)により、グレイスに軍配を上げたい! そんなこと真剣に考えてるのって俺だけかな?
グレイスの元ネタだった「シティ」(ホンダのアジア向け小型セダン)は、先日タイで新型が発表された。新型もグレイス同様、端正な小型セダンでぜひお嫁さんにしたいタイプでちゅ!
でも、仮にこれが日本市場に導入されたとしても、7段DCTの存続はなかろう。フィットともども、「e:HEV」に変更されるんでしょうから。
私がいちカーマニアとして、ホンダの7段DCT付きハイブリッドが大好きだったのです。確かに導入当初、リコールを連発して業績の足を引っ張りましたが、グレイスに乗ってみればすでに熟成の極み! これがなくなるのは本当に惜しい!
いや、大丈夫だ。世の中には中古車というものがある! 5年後くらいに黒いグレイス ハイブリッド(ホンダセンシング付き)を探してお嫁さんにしたい! 変態でしょうか。
(文=清水草一/写真=池之平昌信/編集=大沢 遼)

清水 草一
お笑いフェラーリ文学である『そのフェラーリください!』(三推社/講談社)、『フェラーリを買ふということ』(ネコ・パブリッシング)などにとどまらず、日本でただ一人の高速道路ジャーナリストとして『首都高はなぜ渋滞するのか!?』(三推社/講談社)、『高速道路の謎』(扶桑社新書)といった著書も持つ。慶大卒後、編集者を経てフリーライター。最大の趣味は自動車の購入で、現在まで通算47台、うち11台がフェラーリ。本人いわく「『タモリ倶楽部』に首都高研究家として呼ばれたのが人生の金字塔」とのこと。
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