第279回:アツい開発者と熱心なファンがガチンコ交流!!
マツダ・ロードスター ファン感謝イベントの会場から
2015.02.19
エディターから一言
新型「ロードスター」の発売を間近に控えて開催された、マツダの開発者とファンの交流イベント「THANKS DAY in JAPAN」。会場の盛り上がりと、開発者の口から出た新たな情報をリポートする。
気になる情報が次から次へと……
「ズバリ、ロードスターの価格帯はどうなるでしょう?」
「……、えー、あのー、はい、250万円から300万円ということで、これぐらいで勘弁してください」
(おおっ、と場内からどよめき)
「電動のホロは設定されますか」
「これははっきりとお答えできます。電動はありません」
(参加者のうち何人かが、さかんにうなずく。実は筆者もうなずきました)
「ボディーカラーに青はありますか?」
「えー、すみません、いまお話しできるのは、全部で7色というところまでなんです。でも、そうですね、青系の色相はあります。ただ、明度と彩度によって全然違う色になりますけど(苦笑)」
これは、2015年2月11日にマツダR&Dセンター横浜で開催された、「THANKS DAY in JAPAN 2nd」のひとこま。昨年9月に千葉県浦安市の舞浜アンフィシアターでロードスターを1150名のファンにお披露目した「THANKS DAY in JAPAN」の第2弾ということになる。
マツダ・ロードスターの実車を見ながらチーフデザイナーなどの開発陣と話ができるとあって、参加希望者が殺到。広報部によれば約10倍という競争率の抽選に当選した幸運なロードスターファンが集った。
と、冷静なフリをして書いてみたけれど、1990年に初代モデルを購入して約13万km愛用した者として、聞いているだけで体温が上がりそうなエピソードのオンパレード。ちょっと前のめりになりながらイベントを取材した。
マツダの出席者は3名。まず商品本部の山口宗則氏が「開発の志」を語った。
山口氏によれば、新型ロードスターを漢字一文字で表すと「感」になるということだ。スペックやタイムよりも、クルマが手の内にあり、意のままに操れる軽快感、一体感を念頭に開発したという。
「NA(初代)、NB(2代目)、NC(3代目)の進化版ではなく、革新に挑みました」というくだりで、参加者の方から「ほーっ」というため息が聞こえた。いや、もしかしたら筆者自身のため息だったのかもしれない……。
拡大 |
拡大 |
拡大 |
拡大 |
拡大 |
ロードスターのヘッドランプが小さい理由とは?
チーフデザイナーを務めたデザイン本部の中山 雅氏のお話がまた熱かった。なにしろ25年にわたってNAを愛用しているだけあって、ロードスターへの思い入れがハンパないのだ。
中山氏によれば、新型ロードスターのデザインは、「エラいしんどかった」そうだ。例えば世界一低くて短いフロントのオーバーハングを実現して理想のプロポーションにするために、ヘッドランプをLEDにすることはマストだったという。
なるほど、「走り」がわかっているデザイナーだから、低くて短いオーバーハングを好デザインに仕立てられたのだ。いかにもマツダっぽいエピソードだ。
「よく、新型ロードスターは“目”が小さいという声をいただきます。でも、タイヤとランプまでの距離がほとんどゼロに近いので、こうするしかなかったというのが本当のところです」
実際、新型ロードスターは現行モデルに比べて前後ともオーバーハングが45mmずつ短くなっているとのことだ。ちなみにスペック的なことをさらっておくと、全高は10mm低くなり、ホイールベースは15mm短くなっている。
ホイールのデザインにもこだわった。軽量化のために、ホイールは4穴がマストとされた。デザイナーとしては5本スポークのホイールがかっこいいと思っていたけれど、4穴と5本スポークは相性が悪いというのが中山氏の考え。
そこでデザインしたのが、写真の8本スポーク。そんなエピソードを聞いた後だという理由もありましょうが、決まっていると思う。
参加者は、ひとりずつ運転席を体験。
「自分の腕が伸びて、タイヤをつかんでいる感じでしょう?」という中山氏の言葉に、みなさん納得しながらドライビングポジションを合わせる。
ちなみに、NAの手動式ホロは開閉の時に一度クルマから下りて操作をする必要があった。けれども新型ロードスターは、運転席に座ったままひょいと後方に手を伸ばして開け閉めできる。小柄な女性でも座ったまま開け閉めできていたので、「電動は用意しない」という姿勢にも納得できた。
拡大 |
拡大 |
拡大 |
拡大 |
拡大 |
熱いプレゼンテーションに高まる期待
商品企画部の中村幸雄氏のパッケージングと軽量化にまつわるお話が、これまたマニアックだった。
まず、乗った瞬間からクルマが手の内にあるかのような一体感を得るために、ドライビングポジションは現行モデルより15mm車体中央に寄せられた。
また、ヒップポイントは現行モデル比で20mm下げられている。
大柄な人でも自然なドライビングポジションがとれるような工夫も施されている。
リクライニング角度を現行の25度から27度へ、ステアリングホイールの径をやはり現行比で2mm縮小、ステアリングホイールのチルト量を100mm増量などなど、まさにミリ単位の攻防だ。
とはいえ決して小手先の対症療法ではなく、理想のペダル配置と理想のシフトノブ配置など、基本をしっかりさせた上で細かい数字の話になっているとのことだった。いや~、期待がますます高まりますね。
中村氏の話でおもしろかったのは、オープンにした時の風をコントロールするという部分だった。
Aピラーの位置やドアトリムの形状の最適化によって、心地よい風が感じられるようになっているというのだ。中村氏の言葉を借りれば「心地よい風を感じるウインドコントロール」とのことで、それがどの程度のものか早く体験したいというのは参加者共通の思いだったはずだ。
なお、エンジンを現行モデルより15mm後方に下げて前後50:50の重量配分を実現した、と中村氏は胸を張ったけれど、参加者の反応はイマイチ薄かった。そんなことは百も承知、もっとコアな情報をくれ、という先鋭的なファンが集まっていたのだ。
拡大 |
拡大 |
拡大 |
拡大 |
世界的人気モデルを支える熱心なファンの声
マツダのみなさんからのプレゼンテーションが終わると、参加者からの質疑応答が行われた。一部を抜粋すると、以下の通り。購入を前提とした質問が多かったけれど、その気持ち、よーくわかります。
「車重は1トンを切りますか?」
「日本に入ってくる1.5リッターエンジンを積むモデルは、1トンを目指してがんばっています」
「エンジンはアクセラと同じですか?」
「アクセラの横置きを縦置きに変更するにあたって、排気系の取り回しが変わっています。それから最高許容回転数は7500rpmに引き上げるので、クランクシャフトなども変えています」
「ナンバープレートはどこに付きますか?」
「フロントグリルの真ん中に普通に付きます。ナンバープレートを付けてデザインしたので、ご安心ください(笑)」
「ドアミラーが黒いのはなぜですか? ボディー同色にしたいのですが……」
「まず、Aピラーを黒くしました。Aピラーがボディーと同じ色だと、本当は屋根があるはずのクルマから、屋根を切ったように見えるからです。そして、Aピラー、ドアミラーを黒でコーディネートすることにしました。ただ、海外にはボディーと同じ色のドアミラーもありますので……、というところでご理解いただくというのでいかがでしょう(笑)」
「ボディーは何色をイメージしてデザインなさったのですか?」
「赤です」
といった具合に、熱心なファンが熱い気持ちで作ったスタッフと接することができる、ホットなイベントだった。ま、チラチラ見せないでどーんと乗せてよ! と思わないこともないけれど、あと数カ月、楽しく待つことにしたい。「ちょっとだけよ、あんたも好きね~♪」といったところだ(古い!)。
最後に、参加者の声を拾ってみた。
「ダイハツ・コペン」に乗っているという20代の女性は、「NCが気に入っていたけれど、クラッチに足が届きませんでした。だから、そこを試してみたいですね」とのこと。実際に運転席に座ると、「クラッチに届きました!」と満面の笑み。インテリアから外装パーツまで、熱心に撮影なさっていた。
13年ほどNAにお乗りだという30代の男性は、「オートサロンで見て、久々に欲しいと思えるクルマが現れた」と感じたという。「チーフデザイナーがスケッチブックに絵を描きながらデザインを語ってくれたのがよかった」という感想を残してくれた。
「THANKS DAY in JAPAN 2nd」は現在、大阪、静岡、愛知、横浜と行脚中。ちなみに、イベントの最後に当日の朝に広島を発ったという山本修弘主査が会場に到着。
ロードスターを屋外に出して太陽光の下で眺めた後で、エンジンを始動。排気音は、乾いた健康的なものだった。
(文=サトータケシ/写真=webCG)
拡大 |
拡大 |
拡大 |
拡大 |
拡大 |
拡大 |

サトータケシ
ライター/エディター。2022年12月時点での愛車は2010年型の「シトロエンC6」。最近、ちょいちょいお金がかかるようになったのが悩みのタネ。いまほしいクルマは「スズキ・ジムニー」と「ルノー・トゥインゴS」。でも2台持ちする甲斐性はなし。残念……。
-
第863回:3モーター式4WDの実力やいかに!? 「ランボルギーニ・テメラリオ」で雪道を目指す 2026.3.3 電動化に向けて大きく舵を切ったランボルギーニは、「ウラカン」の後継たる「テメラリオ」をプラグインハイブリッド車としてリリースした。前に2基、リアに1基のモーターを積む4WDシステムの実力を試すべく、北の大地へと向かったのだが……。
-
第862回:北極圏の氷上コースでマクラーレンの走りを堪能 「Pure McLaren Arctic Experience」に参加して 2026.2.25 マクラーレンがフィンランド北部で「Pure McLaren Arctic Experience」を開催。ほかでは得られない、北極圏のドライビングエクスペリエンスならではの特別な体験とは? 氷上の広大な特設コースで、スーパースポーツ「アルトゥーラ」の秘めた実力に触れた。
-
第861回:冬道性能やいかに ミシュランのオールシーズンタイヤ「クロスクライメート3」を北の大地で試す 2026.2.18 2025年9月に日本ミシュランタイヤが発表した最新のオールシーズンタイヤ「クロスクライメート3」と「クロスクライメート3スポーツ」の冬道性能を確かめるために、北海道に飛んだ。ドライやウエット路面に続き、ウインターシーンでの印象を報告する。
-
第860回:ブリヂストンの設計基盤技術「エンライトン」を用いて進化 SUV向けタイヤ「アレンザLX200」を試す 2026.2.13 ブリヂストンのプレミアムSUV向けコンフォートタイヤ「アレンザLX100」の後継となるのが、2026年2月に発売された「アレンザLX200」。「エンライトン」と呼ばれる新たな設計基盤技術を用いて開発された最新タイヤの特徴を報告する。
-
第859回:トーヨーのSUV向け冬タイヤを北海道で試す! アナタのベストマッチはどれ?
2026.2.10 トーヨータイヤが擁するSUV向けの冬タイヤに、北海道で試乗! スタンダードなスタッドレスタイヤから「スノーフレークマーク」付きのオールテレインタイヤまで、個性豊かな4商品の実力に触れた。アナタのクルマにマッチする商品が、きっとある?
-
NEW
BYDシーライオン6(FF)
2026.3.6JAIA輸入車試乗会2026“中国の新興ブランド”BYDにあこがれは抱かずとも、高コスパの評判が気になる人は多いだろう。では、日本に初導入されたプラグインハイブリッド車のデキは? 初めて触れたwebCGスタッフがリポートする。 -
NEW
実に3年半ぶりのカムバック 「ホンダCR-V」はなぜ日本で復活を果たしたのか?
2026.3.6デイリーコラム5代目の販売終了から3年半のブランクを経て、日本での販売が開始された6代目「ホンダCR-V」。世界的なホンダの基幹車種は、なぜこのタイミングで日本復活を果たしたのか? CR-Vを再販に至らしめたユーザーの声と、複雑なメーカーの事情をリポートする。 -
NEW
「ジープ・アベンジャー4xeハイブリッド」発表会の会場から
2026.3.5画像・写真ジープブランドのコンパクトSUV「アベンジャー」に、4WDのハイブリッドバージョン「アベンジャー4xeハイブリッド」が追加された。その発表会(2026年3月5日開催)の場に展示された同モデルの外装・内装を写真で紹介する。 -
NEW
スバル・トレイルシーカーET-HS プロトタイプ(4WD)【試乗記】
2026.3.5試乗記スバルから本格的な電気自動車の第2弾となる「トレイルシーカー」が登場。前後のモーターから繰り出すシステム最高出力はドーンと380PS。ただし、それをひけらかすような設定にはしていないのがスバルらしいところだ。スノードライブの印象をお届けする。 -
NEW
ホンダ・インサイト
2026.3.5画像・写真4代目はまさかの電気自動車(BEV)! ハイブリッドからBEVへ、4ドアセダンからSUVへと変身して、「ホンダ・インサイト」が復活を遂げた。ドアトリム/ダッシュボードヒーターにアロマディフューザーと、新たな快適装備を満載したその姿を、写真で紹介する。 -
BYDシーライオン7 AWD(4WD)
2026.3.5JAIA輸入車試乗会2026堂々たるスタイルにライバルの上をいくパワーと一充電走行距離、そしてざっくり2割はお得なプライスを武器とする電気自動車「BYDシーライオン7」。日本市場への上陸から1年がたち、少しずつ存在感が増してきた電動クーペSUVの走りやいかに。





























