第20回:永遠の論争、助手席チャイルドシートは危なくない!?
ボルボ・セーフティーセンターで確認す!
2015.03.29
小沢コージの勢いまかせ!! リターンズ
小沢的には2列目の方が時に危ない?
「少なくともボルボ車ならOKです。クラッシュテストをたくさんしていますし、リアルデータの蓄積がありますから」と言うのは、スウェーデンはボルボ・セーフティーセンターの担当者。
あのですね。不肖あらため不躾(ぶしつけ)オザワ、自動車ライターとしてのみならず、子育て世代として前々から気になり続けているテーマがあって、それはチャイルドシートの取り付け位置だ。日本では問答無用に2列目シートを推奨し、どのメーカーも口をそろえて「2列目が一番安全です」という。
ところが、欧州では昔から助手席エアバッグを停止するカットオフスイッチがあって、“作動を止めれば”そこに後ろ向けのチャイルドシートを置くことが当たり前にでき、ISOFIX取り付け金具を備えているものもある。今回見学したボルボ車には、助手席ピラー下に専用ストラップの取り付け金具が備えられていた。
日米欧の車両性能や安全基準の差が減りつつある現在、ここまで考え方の違いが明確に表れている部分は珍しく、しかもコイツは子育て世代にとってはかなり深刻だったりする。
実際、不躾オザワも、「2列目に座らせたら子供が大泣きするので、しょっちゅう後ろ振り向いちゃって」とか「泣くのでおちおち運転してられない」というお母さんの悩みを聞くわけですよ。そっちの方がよっぽど危ないでしょうと。運転に対する注意がそがれるからね。中には「半狂乱になって運転しました」と涙ながらに語る人までいる。
助手席チャイルドシートの合理性
しかし、無頼な男性の中には「放置すりゃいいだけじゃん。泣いても子供は死なないよ」とか「ドライバーとは別に後ろであやす人がいればいいだけでしょ」と言う人もいてお説ごもっともだが、現実的にはお母さんは本能的に子供の泣き声に反応するし、一人で赤ちゃんを運ばなくちゃいけないケースは山ほどある。突然風邪でも引いたらタクシーでも使えっていうんだろうか? それはそれで泣いてる子供とチャイルドシートを抱えてタクシーなんてちょっと考えられないし、現実にそんなことできるのか?
その点、助手席赤ちゃんドライブは合理的なわけですよ。泣いても手が届く隣にいるし、あやしたり食べ物をあげるのも簡単。小沢としては助手席チャイルドシートを日本で“解禁”にするだけで、赤ちゃんドライブは相当キラクになると思う。というか一時あったフロント3人乗りの「ホンダ・エディックス」は、それが可能なところだけでも素晴らしいと思っていたし、実際に小沢も所有していた。
しかし、日本のクルマ社会は完全に2列目推奨で、というか「助手席推奨なんてアンタそれでも専門家?」と言い出す人もいるし、今回も一部でそう言われるかもしれない。実際、ここは本当に気をつけてほしいが、なにも考えずにほとんどの”日本車”で同じことをしたらメチャクチャ危険だ。事故時にエアバッグが作動するからである。特に後ろ向きは危ない。
助手席エアバッグの作動を止められれば……
繰り返すが、大前提は“助手席エアバッグのカットオフスイッチ付き”のクルマであることと、その”作動設定”で、日本のように自己責任思想のない国では、アホがマネすると危険だ……ってこともあって助手席を推奨しないんでしょう。
でも、ここは小沢の考えだが、ちゃんとエアバッグが止められるクルマとドライバーならば、助手席装着は本当に素晴らしいと思っており、今回、欧州の中でも特に安全思想で知られたボルボに再確認してみたわけ。
このテーマはメーカーの間で認識の差が大きいので、ボルボも慎重になっていて、「1列目と2列目はどちらが安全か」については明言せず、前述したように「ボルボ車ならば」との前振り付きで、とにかく安全性は前後席で同等であると答えていた。
そして、それより「4歳ぐらい(の体形)までは、後ろ向きに座らせることの方が重要」と言っていた。前後シートの問題より、首が多少据わってきたからといって、赤ちゃんを前向きチャイルドシートやジュニアシートに座らせる方がよっぽど危ないのだ。それは幼児の頭が重く、クラッシュ時に相対的に首を痛める危険性が高いからで、今回オザワも大人でも赤ちゃん気分が味わえるオモリ付きヘルメット(10kg!)をかぶってみたけどマジ、すぐに首がいっちゃいそうでしたわ(苦笑)。
常々日本は交通法規からして妙にガンコで、現実を見てない側面があると思っている小沢。個人的にはボルボ他欧州車&助手席チャイルドシート、やはりオススメしたいですな。
(文と写真=小沢コージ)

小沢 コージ
神奈川県横浜市出身。某私立大学を卒業し、某自動車メーカーに就職。半年後に辞め、自動車専門誌『NAVI』の編集部員を経て、現在フリーの自動車ジャーナリストとして活躍中。ロンドン五輪で好成績をあげた「トビウオジャパン」27人が語る『つながる心 ひとりじゃない、チームだから戦えた』(集英社)に携わる。 YouTubeチャンネル『小沢コージのKozziTV』
-
第57回:スズキはなぜインドに賭ける? 変わらず牛が闊歩するインドの最新工場を小沢コージが直撃 2026.4.18 小沢コージがインドへ。日本の自動車ファンにとってインドといえばスズキのイメージだが、実はスズキは現在、インドへの大型投資の真っ最中だ。なぜスズキはインドでこれほどまでに愛されるのか。最新工場を見学して考えた。
-
第56回:走行16万kmでも電池の劣化なし! -20℃でもエアコンが効く! 新型「日産リーフ」のスゴイところを聞く 2026.3.23 航続距離が伸びたり走りの質がよくなったりで話題の3代目「日産リーフ」だが、本当に見るべき点はそこにあらず。小沢コージが開発エンジニアを直撃し、ジミだけど大きな進化や、言われなかったら気づかないような改良点などを聞いてきました。
-
第55回:続・直撃「BYDラッコ」! 背が15cmも高いのに航続距離が「サクラ」&「N-ONE e:」超えってマジか? 2026.2.3 2026年の発売に向けて着々と開発が進められている「BYDラッコ」。日本の軽自動車関係者を震え上がらせている中国発の軽スーパーハイト電気自動車だが、ついに大まかな航続可能距離が判明した。「これは事件だ!」ということで小沢コージが開発関係者を再直撃!
-
第54回:18年目の大改良! 奇跡の不老不死ミニバン「デリカD:5」のナゾ 2026.1.11 三菱のオールラウンドミニバン「デリカD:5」が2025年末にまたも大幅改良を敢行。しかもモデルライフが10年をとっくに過ぎた2024年に過去最高の台数が販売されたというのだから、いったい現場で何が起きているのか。小沢コージが開発者を直撃!
-
第53回:失敗できない新型「CX-5」 勝手な心配を全部聞き尽くす!(後編) 2025.12.20 小沢コージによる新型「マツダCX-5」の開発主査へのインタビュー(後編)。賛否両論のタッチ操作主体のインストゥルメントパネルや気になる価格、「CX-60」との微妙な関係について鋭く切り込みました。
-
NEW
BSAゴールドスター650(5MT)【レビュー】
2026.6.2試乗記かつて一世を風靡(ふうび)した英国の名門、BSAが復活! 新生第1号モデルである「ゴールドスター650」は、クラシックで優雅なお散歩バイク……と思いきや、ツインカムの大排気量シングルで、ライディングも前のめりに楽しめるマシンに仕上がっていた。 -
レストモッドがイメージ 特別なオニツカタイガーの魅力に迫る
2026.6.1オニツカタイガーの新作ドライビングシューズを知る<AD>オニツカタイガーが、“レストモッド”と呼ばれるクルマのレストア&カスタム手法に着想を得たドライビングシューズを発表。4タイプ製作された、「MEXICO 66 DRIVING」のスペシャルバージョンの魅力に迫る。 -
新生アルピナは成功するか? その将来とBMWとの関係について考える
2026.6.1デイリーコラム具体的なデザインスタディーも公開され、いよいよ市場展開が見えてきた新生アルピナ。将来的な成功の“確度”やいかに? BMWによる新たなアルピナ像について、両ブランドに詳しい西川 淳が詳しく解説する。 -
ホンダCR-V e:HEV RSブラックエディション(4WD)【試乗記】
2026.6.1試乗記「ホンダCR-V」がフルモデルチェンジ。新型は適切なボディーサイズと高品質な内外装を持ち、乗れば最新のホンダ車らしい気持ちよさが味わえる。ただし、その月販目標は400台。ちょっと弱気ではあるものの、周辺事情にも考えを巡らせると極めて妥当な数字にも思えてくる。 -
日産リーフB7 G(前編)
2026.5.31思考するドライバー 山野哲也の“目”レーシングドライバー山野哲也が新型「日産リーフ」に試乗。初代のデビューから15年余りを経て生まれた3代目はスタイリングも中身も刷新。苦境にある日産を立て直す重責を担っている。箱根のワインディングロードでの印象を聞いた。 -
トヨタRAV4 GRスポーツ(4WD/CVT)【試乗記】
2026.5.30試乗記新型「トヨタRAV4」のプラグインハイブリッド車ではEV走行換算距離が約150kmにまで到達。もちろん電池容量の拡大によるところも大きいが、何よりも最新のハイブリッドシステムによる効率向上が効いている。「GRスポーツ」をドライブした印象をリポートする。