第288回:検証! ルノー入魂のスペシャルパーツ(メガーヌR.S.編)
2015.04.10 エディターから一言ルノー・ジャポンが、日本のユーザーのために、高性能モデル「メガーヌ ルノースポール(R.S.)」のスペシャルパーツを開発。リリースと同時に、購入をサポートするキャンペーンもスタートさせた。
ルノーが自信を見せる“こだわりの逸品”とはどのようなものなのか? それで走りはどう変わるのか? 実際にチェックしてみた。
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さらなる高性能を目指して
ルノー直属のモータースポーツ部門であり、フォーミュラやラリーカーの開発、ワンメイクレースの運営などを手がけるルノースポールが生み出したメガーヌR.S.は、数ある前輪駆動スポーツモデルの中でも別格に位置づけられるだろう。
265psと36.7kgmを発生する2リッター直列4気筒ターボエンジン、機械式LSD、フロントにダブルアクスルストラットを採用したサスペンション、ブレンボ製ブレーキなど、モータースポーツ譲りのテクノロジーを5人乗りの3ドアボディーに注ぎ込んだ、リアルスポーツクーペだからだ。
その高性能ぶりは日本のユーザーにも浸透しており、最近は同じ2リッターターボエンジンを搭載した国産スポーツセダンと比較する人も多いという。ゆえにさらなるパフォーマンスを求めるユーザーも少なくない。
インポーターのルノー・ジャポンはその状況をにらみ、軽量鍛造アロイホイールとスペシャルパーツを専用開発。しかも多くのユーザーにその効果を体感してほしいという気持ちから、新車購入者に対して購入サポートも用意している。
マフラーは日本を代表するメーカー、フジツボとの共同開発。意外なことにフランス製ではない。製品の企画を担当した、ルノー・ジャポンマーケティング部のフレデリック・ブレン氏に、その点を聞いた。
テストドライバーも驚いた
「フジツボの最大の魅力は、日本製ならではの信頼性の高さです。チタン製としたことで、ノーマル比5.3kgもの軽量化を実現したこともポイントです。しかも納得できる価格で提供してくれます。外国のメーカーがこの価格、この品質で提供するのは難しいでしょう。ルノー・ジャポンでは10年以上前からフジツボさんにマフラーを作ってもらっています」
一方、ガンメタとホワイトが選べるアロイホイールは、世界的に有名なホイール設計者のひとりであるロベルト・マルケジーニ氏が開発した。現在はMotoGPなど二輪業界での活動が目立つマルケジーニ氏だが、昔はイタリアのカンパニョーロで四輪用ホイールを手がけていたことをご存じの方もいるだろう。
「ルノースポールのテストドライバー、ロラン・ウルゴンにも鈴鹿サーキットで試してもらいました。走りだす前は『スポークが細すぎないか?』と言われましたが、結果はタイム短縮につながり、お墨付きをもらえました。1本あたり約3kgもの軽量化が効果を発揮したようです。イタリアンデザインならではの美しさにも注目してください」
試乗車は、ジョンシリウスメタリックのボディーにガンメタのホイールといういでたち。足元に目をやると、ホイールのスポークの細さと有機的なカーブに目が行く。芸術的という言葉が浮かぶほど繊細な造形。剛性に不安を抱いたテストドライバーの気持ちが分かる。それほどまでに研ぎ澄まされた形だ。
一段と楽しく乗れるパーツ
カードキーをスロットに入れ、隣のスターターボタンを押すと、ノーマルとは明確に違うサウンドとともにエンジンが目覚める。騒々しくはなく、でもしっかり存在を主張してくる、絶妙なボリュームだ。
加速に合わせて、フォーンという心地よいサウンドもいっしょに盛り上がる。気持ちまで高まっていく。圧巻は4000rpm。ここを境にエンジンの力強いうなりが加わって、クライマックスが訪れたことを伝えてくる。一度でもこの感触を味わったら、元へ戻れなくなってしまう。もともと持っていたレーシーな性格が、音によってさらに強調されているのだ。
それとともに感じたのはホイールの軽さ。サスペンションはハードなのに、それが滑らかに動くので、はるかに大きく重いスーパーカーを思わせる乗り味になっている。重厚という言葉が思い浮かぶほどだ。コーナーに入るときの身のこなしもスムーズさが増した印象で、よりリラックスしてハイパフォーマンスを楽しめるようになった。
もともと持っていた高度なスポーツ性が、専用開発のアロイホイールとチタンマフラーによって、さらに味わいを増し、深みを増していた。トータルバランスに優れた高性能車を生み出したルノースポールだけでなく、そのバランスを崩さずに楽しさを高めることに成功したルノー・ジャポンの技にも感心した。
(文=森口将之/写真=田村 弥)
■ルノー・メガーヌR.S.「キット スポール キャンペーン」
◇キャンペーン概要
2015年7月31日までにメガーヌR.S.の新車(限定車、特別仕様車を除く)を購入した場合、下記スペシャルパーツの購入費合計額のうち、15万円をルノー・ジャポンがサポートする。
◇パーツ価格(いずれも1台分。取り付け費用含まず)
・軽量鍛造アロイホイール(ガンメタ):30万2400円
・軽量鍛造アロイホイール(ホワイト):32万4000円
※ホイールは専用エアバルブ付き。ガンメタのものには、専用ホイールボルトカバーも付属。
・専用チタンマフラー:24万1920円

森口 将之
モータージャーナリスト&モビリティジャーナリスト。ヒストリックカーから自動運転車まで、さらにはモーターサイクルに自転車、公共交通、そして道路と、モビリティーにまつわる全般を分け隔てなく取材し、さまざまなメディアを通して発信する。グッドデザイン賞の審査委員を長年務めている関係もあり、デザインへの造詣も深い。プライベートではフランスおよびフランス車をこよなく愛しており、現在の所有車はルノーの「アヴァンタイム」と「トゥインゴ」。
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