第109回:ホンダ・ステップワゴンG・EX(後編)

2015.07.17 水野和敏的視点 水野 和敏

“ダウンサイズ”はハンドリングにも効く

前回に続き、「ホンダ・ステップワゴン」を見ていきます。リアゲートの半分を普通のドアのように左右に開け閉めできる「わくわくゲート」に加え、新開発の1.5リッターターボも同車の注目すべき点です。

早速、走り始めましょう。ダッシュボードの上部に設置された、このデジタルメーターはいいですね。ステアリングホイールの上から、最小限の視線移動で情報が得られます。

デザインの良さに加え、数値類が変化していく速度もよく調整されていて、走行中に見ても違和感がありません。とても見やすいデジタルメーターです。また、ボルボのように、カメラを使って道端の標識を読み取り、メーターの脇に表示する機能(標識認識機能)も親切です。ITの使い方の、ひとつの見本といえるのではないでしょうか。

そしてこの新型ステップワゴンは、乗り心地もハンドリングもいい。前後サスペンションのバランスがよく取られていて、フロントがスッと曲がって、リアがワンテンポ遅れてついてくるから安心感が高いのです。

これはサスペンションセッティングだけでなく、エンジンとトランスミッションの軽さも効いていると思います。1.5リッターのガソリン・ダウンサイジングターボエンジンの軽さは、燃費向上だけでなく、ステアリングの応答性や旋回時のバランスのよさにも貢献しているのです。

ステップワゴンのようなミニバンは、重心高が高いうえ、エンジンが大きくて重いので、ややもするとフラフラするものです。フロントヘビーなFF車の悪癖が出がちでした。しかし、ステップワゴンはフロントが軽いおかげで、旋回時のイナーシャ(慣性力)が減っています。ハンドリングがすっきりしている。ワンボックスというより、ちょっと背の高いハッチバックのような運転感覚を得ているのです。

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