ボルボV40 R-DESIGNカーボンエディション(ポールスター・パフォーマンス・パッケージ装着車)(FF/8AT)
走りの楽しいボルボ 2015.12.11 試乗記 ボルボの創業88周年を記念して、国内88台限定で設定された「V40 R-DESIGNカーボンエディション」。“ディーゼル推し”が鮮明なボルボのラインナップにおいて異彩を放つ、スポーツハッチに試乗した。色と素材でよりスポーティーに
「V40 R-DESIGNカーボンエディション」は、2リッターガソリンエンジン搭載の「V40 T5 R-DESIGN」がベースの限定車だ。R-DESIGNといえば、スポーティーな内外装と少し硬めのサスペンションが特徴なのだが、このカーボンエディションは専用のカーボンパーツなどを装着することにより精悍(せいかん)さを際立たせたのが見どころである。
ボディーカラーは「アイスホワイト」のみの設定。おかげで、ルーフに施されたカーボンファイバーやドアミラーカバー、ブラックの19インチアルミホイール、リヤディフューザー、サイドウィンドウのブラックトリムなどがよく映える。一方、インテリアは基本的にR-DESIGNを受け継いでいるが、レッドのシートベルトがアクセントになり、スタイリッシュなキャビンが、がぜんスポーティーに見えてくる。これだけの内容で、R-DESIGNに対し車両価格が20万円アップというのはまさにバーゲンプライスだ。
そんな見た目にたがわず、走りもスポーティーだ。試乗車にはメーカー自らが手がけるコンピューターチューニングの「ポールスター・パフォーマンス・パッケージ」(オプション価格18万8000円)がインストールされ、最高出力が245psから253psに、最大トルクが350Nm(35.7kgm)から400Nm(40.8kgm)に向上。その効果は数字から想像する以上で、もともと力強く吹け上がりのいいエンジンは、とくに3500~5000rpmあたりで勢いづき、さらにアクセルのレスポンスが高まったおかげで、メリハリのあるドライビングが楽しめる。
コンパクトなV40だからハンドリングも軽快で、ディーゼルに比べて鼻先が軽いぶん、ワインディングロードを攻めるのもまた楽しい。R-DESIGNだけに乗り心地はやや硬めになるが、それでも、街乗りから高速道路まで、必要十分な快適さが確保されるのがボルボ流だ。
というわけで、優等生のイメージが強いボルボだけに、デザインも走りもいつものボルボとは異なるイメージに仕上げられたカーボンエディションは異彩を放っている。世界343台のうち、日本への割り当ては88台というから、このチャンスを見逃す手はないだろう。
(文=生方 聡/写真=高橋信宏)
【スペック】
全長×全幅×全高=4370×1800×1440mm/ホイールベース=2645mm/車重=1510kg/駆動方式=FF/エンジン=2リッター直4 DOHC 16バルブ ターボ(253ps/5500rpm、40.8kgm/2000-3500rpm)/トランスミッション=8AT/燃費=15.9km/リッター(JC08モード)/価格=478万8000円
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生方 聡
モータージャーナリスト。1964年生まれ。大学卒業後、外資系IT企業に就職したが、クルマに携わる仕事に就く夢が諦めきれず、1992年から『CAR GRAPHIC』記者として、あたらしいキャリアをスタート。現在はフリーのライターとして試乗記やレースリポートなどを寄稿。愛車は「フォルクスワーゲンID.4」。
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