ボルボV40 D4 R-DESIGN(ポールスター・パフォーマンス・パッケージ装着車)(FF/8AT)
“限定”だけが惜しい 2015.12.25 試乗記 クリーンディーゼル搭載の「ボルボV40 D4」に、スポーティーな「R-DESIGN」が200台限定で追加設定。メーカー純正のROMチューン「ポールスター・パフォーマンス・パッケージ」装着車両で、その仕上がりを確かめた。D4に待望のR-DESIGN
輸入車にとってシェア拡大の切り札となっているクリーンディーゼル。ボルボも2015年7月、主要5モデルに「D4」と呼ばれるクリーンディーゼルを追加し、競合他社やわれわれモータージャーナリストの度肝を抜いたのは記憶に新しい。その後5カ月の販売データを見ると、V40をはじめ、「S60」「V60」では半数がD4、SUV系の「XC60」や「V40クロスカントリー」にいたっては約7割がD4というから、クリーンディーゼル投入の効果は狙いどおりに推移しているといっていいだろう。
ここでV40 D4のラインナップを確認すると、エントリーグレードの「V40 D4」と、装備がグレードアップする「V40 D4 SE」のふたつだけで、ガソリンの「T5」に設定される「R-DESIGN」はこれまで選ぶことができなかった。R-DESIGNといえばスポーティーな内外装が魅力のトップグレードであり、これだけD4比率が高くなると「ディーゼルにもR-DESIGNがほしいぞ!」という声が大きくなるのは自然の成り行きだ。
そんな期待に応えて、200台の限定ではあるが日本市場に投入されたのがV40 D4 R-DESIGNである。いまさらいうまでもないが、R-DESIGNのRが意味するのはRacingではなく、Refinement。なので、見た目はスポーティーになってはいるが、過激なまでに足まわりが鍛え上げられているとか、勇ましいエキゾーストノートが自慢といったクルマではない。洗練されたスポーティーさがウリというのが、他社の「R」とは違うところだ。
カッコよさてんこ盛り
もともとスタイリッシュで上質感あふれるV40だけに、R-DESIGNが上乗せされると、もはやカッコよさに隙がない。それでいて嫌みがなく、すっきりまとまっているのがまさにボルボ流だ。
たとえば、エクステリアでは、フロントグリルのメッシュがグロスブラックに、フレームがマットシルバーに。「そこ、そこが気になっていたんだよねぇ」というポイントに手が入れられているのだ。マットシルバーのドアミラーカバーもドレスアップには欠かせない部分。一方、リアディフューザーや大径のテールパイプはスポーティーさを強調するには格好のアイテム。「Ixion II」という専用デザインのアルミホイールもキマっている。
しかし、個人的にはエクステリア以上に、洗練されたインテリアがお気に入りのポイントだ。V40 D4 R-DESIGNでは、ナッパレザーの専用シートが装着されたり、シートやステアリングホイールなどにコントラストカラーのステッチが施されたり、さらに、アルミニウムパネルやブラックのルーフライナーがおごられたりと、このクラスで1、2を争う上質な仕上がりにはいつも目を奪われる。
そのうえ、今回は特別仕様車ということで、パノラマガラスルーフやプレミアムオーディオシステム、パークアシストといった装備がついて、D4 SEの60万円高で手に入るというのは、かなりのお買い得感だ。
ディーゼルホットハッチ!?
R-DESIGNのエンジンは標準と同じというのもお決まりで、V40 D4の場合は2リッターの排気量から最高出力190ps、最大トルク400Nm(40.8kgm)を絞り出す。さらに、この試乗車には「ポールスター・パフォーマンス・パッケージ」と呼ばれるエンジンのコンピューターチューンが施されていた。ポールスター・パフォーマンス・パッケージは正規ディーラーで購入できるオプションで、これが用意されるモデルでは約1割の人が選んでいるという人気のメニューだ。これにより、最高出力が10ps、最大トルクが40Nm高められている。
さっそく走りだすと、車両重量が1550kgと、見た目よりも重たいV40 D4が、発進から力強い動きを見せるのは相変わらず。2000rpm以下で大抵の状況は切り抜けられるし、アクセルペダルを踏み込めば、ドーンと押されるような圧倒的な加速が味わえる。しかも、ポールスター・パフォーマンス・パッケージのおかげで、2000rpmを超えてからのレスポンスが明らかに高まっており、数字以上に力強さも増している印象だ。そのトルクの太さは、紛れもなくホットハッチと呼ぶに値するレベルである。
中速域が充実したぶん、相対的に高回転域の伸びが鈍く感じられるものの、回さず速いのがディーゼルのうま味と思えば、そう目くじらを立てるところではない。D4エンジンが発するノイズや振動が気になることもあったが、この加速と引き換えなら、文句はないだろう。
少し硬めがいい感じ
V40 D4 R-DESIGNの足まわりだが、標準でスポーツサスペンションが装着される。デビュー当初のV40に採用されていたちょっと硬めの“ダイナミックシャシー”に比べて、さらにスプリングが前10%、後ろ7%強化されていることに加えて、ダンパーやスタビライザーなどもスポーティーな味付けとなったのが特徴だ。
それでも、快適なレベルを外さないのがR-DESIGNの持ち味。このV40 D4 R-DESIGNでも例外ではなく、少し硬めとはいえ直接的なショックを伝えることはない。やや重たいD4では、ガソリンのR-DESIGNに比べて良い意味で動きが穏やかになり、高速走行時のフラット感もまずまず。ワインディングロードでは鼻先の重さを感じるものの、ロールはよく抑えられていて、コンパクトなボディーと比較的短いホイールベースのおかげで、思った以上に軽快な動きを見せてくれる。
ガソリンエンジンのスポーツモデルと違って、エンジンを高回転まで回す楽しさは持ち合わせていないものの、それさえ除けばあらゆる速度域でスポーティーな走りが楽しめるV40 D4 R-DESIGN。もちろん、実用性や加速性能はノーマルのD4と変わらないが、ディーゼルといえども効率一辺倒ではなく、スタイリッシュで楽しいクルマがほしいという人には、このR-DESIGNは見逃せないはずだ。
それだけに、限定車ではなく、レギュラーモデルとして今後も継続して販売されることを切に願うのである。
(文=生方 聡/写真=高橋信宏)
テスト車のデータ
ボルボV40 D4 R-DESIGN(ポールスター・パフォーマンス・パッケージ装着車)
ボディーサイズ:全長×全幅×全高=4370×1800×1440mm
ホイールベース:2645mm
車重:1550kg
駆動方式:FF
エンジン:2リッター直4 DOHC 16バルブ ディーゼル ターボ
トランスミッション:8段AT
最高出力:200ps(147kW)/4000rpm
最大トルク:44.9kgm(440Nm)/1750-2250rpm
タイヤ:(前)225/40ZR18 92W/(後)225/40ZR18 92W(ミシュラン・パイロットスポーツ3)
燃費:20.0km/リッター(JC08モード)
価格:459万円/テスト車=488万1000円
オプション装備:クリスタルホワイトパールペイント(10万3000円)/ポールスター・パフォーマンス・パッケージ(18万8000円)
テスト車の年式:2015年型
テスト開始時の走行距離:1368km
テスト形態:ロードインプレッション
走行状態:市街地(--)/高速道路(--)/山岳路(--)
テスト距離:--km
使用燃料:--リッター(軽油)
参考燃費:--km/リッター
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生方 聡
モータージャーナリスト。1964年生まれ。大学卒業後、外資系IT企業に就職したが、クルマに携わる仕事に就く夢が諦めきれず、1992年から『CAR GRAPHIC』記者として、あたらしいキャリアをスタート。現在はフリーのライターとして試乗記やレースリポートなどを寄稿。愛車は「フォルクスワーゲンID.4」。
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