フォルクスワーゲンup!(FF/5MT)【海外試乗記】
基本に忠実 2011.11.09 試乗記 フォルクスワーゲンup!(FF/5MT)フォルクスワーゲンの新世代エントリーモデル「up!」に、ひと足先に伊ローマで試乗する機会を得た。全長3.5m強の小さな4人乗りハッチはどんな走りを見せるのか。
極めてシンプル
コンセプトカーがお披露目されたのは2007年のこと。4年の月日を経て「up!」が、ついに市販車として姿を現した。「IROC」が「SCIROCCO」になったように、結局は(前後に「L」と「o」が付いて)「Lupo」になるかと思われた名前はインパクトのあったup!のまま。しかし一方で、革新的な、そしてフォルクスワーゲンにとっては伝統的でもあるRRレイアウトはキャンセルされ、up!はオーソドックスなFFコンパクトカーとして登場した。
それでもスタイリングの印象は、4年前のコンセプトカーとほとんど変わっていない。ボディーサイズは少しだけ拡大。3540mmの全長はルポより13mm長いだけだ。それに対してホイールベースは2420mmとルポより99mm長い。このパッケージングは見事だ。
意匠は極めてシンプルに見える。正直言って最初に見た時には、ちょっと淡白に過ぎるんじゃないかと思ったが、グリルレスのフロントマスクや力強いホイールアーチ、スマートフォンに着想を得たという透過性のブラック仕上げとされたリアゲート等々、細かなところまで凝ったデザインによって、これが案外退屈なものになっていない。ローマの街中に意外なほどハマッていたのも、フォルクスワーゲンのデザインチーフはイタリア人のワルター・デ・シルヴァであるだけに、なるほど納得である。
インテリアも同様。クオリティーを追求するだけでなく、ワイド感を強調する横基調のダッシュボードにコンパクトなメーターナセル、カラーコーディネートを楽しめるトリムパネル等々が、決して高級ではないが、居心地の良い空間を演出している。