ボルボXC90 T8 TWIN ENGINE AWD インスクリプション(4WD/8AT)
控えめブランドの自信 2016.05.31 試乗記 ボルボのフラッグシップSUV「XC90」の最上級グレード「T8 TWIN ENGINE AWD インスクリプション」に試乗。北欧製のプラグインハイブリッドシステムがかなえる走りと、ボルボ最新のインターフェイスの出来栄えをリポートする。2世代飛び越えた先進性
最後に旧型ボルボXC90に乗ったのは、2012年の秋。ボルボのフルラインナップを裏磐梯に集めて行われた試乗会だった。新世代のモデルと比べると、XC90の古さが際立った。スタートボタンを押そうとしても見つからず、キーをシリンダーに入れてひねらなければならなかった。フリーフローティングセンタースタックもなく、センターコンソールはもっさりとしている。すっかりオシャレ派になったボルボの中で、以前のイメージである武骨さを保ち続けていた。
新型XC90は、他のモデルを一気に飛び越えてしまった。エンジンを始動させるのはスタートボタンですらなく、センターコンソールにある「ENGINE」と記されたつまみをひねる方式である。フローティングスタックの代わりにダッシュボードの真ん中で存在感を主張するのは、縦型のタッチパネル式9インチモニター。様子が一変した。これが最新ボルボだぞと強く訴えかけてくる。
フラッグシップのモデルチェンジが、これからのボルボの進路を示すことになる。すでに多くの記事や試乗記で触れられているので、XC90のポイントをまとめておこう。モジュラープラットフォームの「スケーラブル・プロダクト・アーキテクチャー(SPA)」を採用する初のモデルであり、2リッター直4エンジンの「Drive-E(ドライブ・イー)」を搭載する。どのモデルに搭載するエンジンも直4に統一することで、プラットフォームの合理化も可能になった。
フォード時代の遺産から決別する完全自社設計であり、電動化や自動運転も視野に入れている。デザイン面ではアイアンマークが刷新され、ヘッドランプにはトール神のハンマーに由来するT字型ランニングライトが埋め込まれる。