レクサスIS F(FR/8AT)【試乗記】
進化が止まらぬFRスポーツ 2011.11.01 試乗記 レクサスIS F(FR/8AT)……841万8300円
マイナーチェンジで足まわりに手が加えられた「レクサスIS F」。進化し続けるハイパフォーマンスセダンの走りを試した。
しなやかさに感動
レクサスの足が変わりつつある。具体的にはショックアブソーバーのデキが良くなっている。そんな印象を抱いているのは、僕だけではないはずだ。
きっかけは2011年1月に発売された「CT200h」だった。新たに設定された「F SPORT(スポーツ)」グレードの乗り心地やハンドリングは、それまでのトヨタやレクサス各車とは明らかに違っていた。
どちらかといえば固めだが、ショックアブソーバーの動き始めがスムーズなので、段差や継ぎ目でもゴツゴツせず、しなやかに乗り越えていく。ステアリングはクイックで、コーナーでのロールは抑えられているのに、路面に合わせて足が自在にストロークするので、操舵(そうだ)感や接地感が手に取るように伝わってくる。
乗り心地は他のグレードよりまろやかなのに、ハンドリングは群を抜いて楽しい。ヨーロッパのプレミアムブランドに匹敵する足を、レクサスがようやく手に入れた。そんな印象を抱いた。
驚いた僕は、ひと足先に登場していた「IS250/350」のFスポーツにも乗ってみた。2010年夏に発表されたときは、「ボディーとインテリアをスポーティーに装って、足を固めただけだろう」と高をくくり、試乗せずにいたのだ。でも違った。CT200hのそれとうり二つだった。ブランドとしての統一感が取れている点もまた、ヨーロッパ車的だった。
それだけではない。先月試乗した「LFA」、3750万円もするスーパーカーもまた、走りのテイストはFスポーツと一致していた。個人的には、LFAでいちばん感動したのはしなやかな足の動きだった。開発者にそのことを伝えたら、「ショックアブソーバーはお金と時間をかけて開発していますから」という言葉が返ってきた。
CT200hのFスポーツは、2010年6月に不慮の事故で天に召されたテストドライバー、成瀬弘氏が中心になって開発したという。また、LFAに成瀬氏が深くかかわっていたことも知られている。発表時期を考えると、おそらくISのFスポーツも同じではないだろうか。すべて走りの世界が一致しているのだから。
そんなことを考えているうちに、2011年8月に足まわりを中心に改良を施した「IS F」が、がぜん気になってきて、こちらから編集部に試乗をオファーしたのだった。