トヨタ・プリウスPHV(FF/CVT)
環境3兄弟の真打ち 2016.08.27 試乗記 国内での発売が待たれる新型「プリウスPHV」に、サーキットで試乗。トヨタがハイブリッド車につぐ「次世代環境車の柱」と位置づける、プラグインハイブリッド車の乗り心地や使い勝手を報告する。見た目からプリウスと差別化
「プリウスの3代目から4代目は変化だったが、今回は進化」
「プリウスはこれで完結」
試乗前の説明会で、チーフエンジニアの豊島浩二さんは力強く宣言した。トヨタにとって、新しいプリウスPHVはリベンジなのだ。初代モデルは思惑どおりの販売成績をあげられなかった。不首尾に終わった理由は痛いほどわかっている。弱点をすべてつぶし、万全の体制を整えての登場である。
残念なのは、発売時期が延期されたことだ。2016年秋に出るといわれていたが、「より品質のよい製品を確実に届けるため」という理由で冬まで待たねばならなくなった。出ばなをくじかれる形になったものの、事前試乗会は予定通り開催された。発売前なのでサーキットでの試乗となったが、プロトタイプではなく実際に売られる仕様のモデルである。
初代モデルの最大の弱みは、普通のプリウスとほとんど見分けがつかないことだった。せっかくPHVに乗っているのに、誰も気づいてくれないのは悲しい。新型ははっきりと差別化を打ち出した。フロントマスクには左右4つずつLEDランプが並び、まったく違う顔つきになった。燃料電池車の「ミライ」と似ていると思ったら、使われているLEDは同じものなのだという。同時期に開発したので、ミライにはプリウスとの共用パーツがたくさんある。
トヨタではプリウス、プリウスPHV、ミライを「環境3兄弟」と呼んでいて、デザイン面でも共通性を高めている。フロントの形状もかなり類似しているが、ミライは両サイドから空気を取り入れることを強調し、プリウスはグリルの印象を薄めている。プリウスPHVはさらにEVらしさを意識した造形だ。全体の印象としては、プリウスPHVのデザインはミライ寄りに見える。