第21回:クルマは顔とタイヤが命(その2)
2016.12.13 カーマニア人間国宝への道唯一のH規格タイヤに決定!
タイヤ選びは難しい。私はレーサー/テストドライバー系ではなく、感性もズボラでタイヤ試乗会に呼ばれることは皆無。タイヤに関しては完全に一ユーザーだ。「自動車雑誌のタイヤ記事は、どれも褒めるばかりでまったく優劣がわからない」と思っている。本当に本物の一読者なので。
私は太平洋側在住なので、スタッドレス選びの際、アイスバーン性能は重視せずドライ性能を最重視する。たまの雪と年に1~2回の雪国遠征をクリアできれば善し。その上で、年中履きっぱなしにできる耐摩耗性の高いスタッドレスはどれなのか!?
マリオ高野が夏季6カ月テストをやった「ダンロップ・ウインターマックス」なら無難だろう。しかしそれでは二番煎じになる。
私はWeb上で血眼になってスタッドレス情報を収集した。そして一ユーザーとして、ひとつの事実に突き当たった。
「唯一、H規格のスタッドレスがある」
H規格とは、平たんな舗装路で210km/hまで走行可能ということ。他のスタッドレスの多くはQ規格(160km/hまで)だが、唯一のH規格!
カーマニアとしてはこれを選ぶべきだろう!! 我が「デルタ」が210km/h出るかどうか知らないが。
組み替え人生にサヨナラ
ホイールはもちろん純正を使う。スペアホイールはない背水の陣だ。正規輸入さえされていないおクルマだけに、スタッドレス用の激安ホイールなどホイホイと見つかるはずもないが。
私はこの問題に長年悩まされてきた。「シトロエン・エグザンティア ブレーク」では、「ホイール高いからなぁ」と購入を先延ばしし、毎年タイヤを組み替えていたら7シーズンも過ぎてしまった。「組み替え代でホイール買えたかも。クッソー!」と思ったが後の祭りだ。
逆に「サーブ900」の時は、ヤフオクでそこそこ安いホイールが手に入ったが、1シーズンしか使わずに買い替えてしまった。「シトロエンC5」では再び組み替え人生に戻ったが、1シーズンのみだったのでラッキーだった。
とにかく、マニアックな輸入車に乗る者にとって、スタッドレス用のスペアホイールは頭の痛い問題だ。しかし一年中スタッドレスを履き続ければ、これに頭を悩ます必要もない。なんて合理的なんだろう!
ということで、純正ホイールに唯一のH規格スタッドレスを組むことに決定。その名は「ミシュランX-ICE XI3」だ。
ミシュランのスタッドレスはそれなりにお値段が張るので、なるべく安い店でと再びWebで検索し、比較的近所のFujiコーポレーションへ出撃。マッチが宣伝していたのでたぶんいい店だろう。安易でスマヌ。
スタッドレスはここまできたか!
12月のタイヤショップ大混雑の中なんとか目的のタイヤをゲットし、走り始めてのファーストインプレッションは「しっかりしすぎてる……」だった。つまり、かつてのスタッドレス的なフニャッとしたフィーリングは皆無で、硬めのサマータイヤみたい。デルタの乗り心地は硬いままでちょっとガッカリ。
ただしトレッドはサイプが多いため、もともと超絶軽すぎるデルタのパワステはますます軽くなり、中立付近でのステアリングインフォメーションはほとんど消失した。
「これは失敗したかもしれない……」
そう思ったが後の祭り。こんなお高いタイヤ(約10万円)を買ったのだから、最後まで使い切ってやる!
あれから約1年間でデルタは1万2000kmほど走破した。雪国へ出撃したのは1回だけ。アイスバーンでは多少ズリッときたが特に問題なくクリアした。
ドライ&ウエット路面では、ステアリングインフォメーションを除いてサマータイヤと性能的になんら変わりないと感じる。さすが210km/h出しても大丈夫なタイヤ! これに関しては本当にすごい! 首都高C2品川線の高速コーナーでは無敵のコーナリング速度を誇る。スタッドレスはここまで来たか!
で、1年間での摩耗は前輪1mm、後輪判定不能。前後ローテーションで4年5万kmは軽くイケそうだ。「現在のスタッドレスは、オールシーズンタイヤとして十分使える」という確信はますます固いものになった。
カーマニアは基本的に保守的だ。「夏スタッドレスで走ると危険」「1年でダメになる」と信じている人もまだ多い。しかし現実には、技術はすでに常識を越えている。私とてフェラーリにスタッドレスを履かせようとは思いませんが!
(文=清水草一/写真=清水草一、池之平昌信/編集=大沢 遼)

清水 草一
お笑いフェラーリ文学である『そのフェラーリください!』(三推社/講談社)、『フェラーリを買ふということ』(ネコ・パブリッシング)などにとどまらず、日本でただ一人の高速道路ジャーナリストとして『首都高はなぜ渋滞するのか!?』(三推社/講談社)、『高速道路の謎』(扶桑社新書)といった著書も持つ。慶大卒後、編集者を経てフリーライター。最大の趣味は自動車の購入で、現在まで通算47台、うち11台がフェラーリ。本人いわく「『タモリ倶楽部』に首都高研究家として呼ばれたのが人生の金字塔」とのこと。
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