第23回:さあ往こう、ディーゼルの沃野を!!
2016.12.27
カーマニア人間国宝への道
カーマニアゆえのこだわり
ということで、欧州のオシャレ牛丼カー「ランチア・デルタ1.6マルチジェット」とシアワセな生活を過ごしている私だが、こんなマニアック&激レアな中古車のことを延々と書いていても、「ちっとも我々の役に立たん!」と、お怒りの読者さまもいらっしゃることだろう。
ためしに中古車サイトでランチア・デルタを検索してみたところ、人気の「インテグラーレ」系が大部分を占め、私の愛する最終デルタは6台のみ、1.6マルチジェットはたった2台! うち1台は走行20kmの登録未使用車(!!)、魅惑の「S」仕様、6MTで328万円!!!! ウヒー、そそられる。
これまたちーとも読者さまの役に立たないことだが、デルタのS仕様というのは、ただのデルタオーナーの自分にとっては憧れの存在、「フェラーリ458」でいえば「458スペチアーレ」のようなものである。私が実行したグリルのガンメタ化とダッシュボードセンターのピアノブラック化は、実はまんまデルタS仕様のマネなのだ!
いや、正確には、全部マネではない。「グリルをガンメタにしたい」というのはS仕様を知る前からの私の直観だった。一方ダッシュボードセンターのピアノブラック化は、旧知のラテン車専門店「CARBOX横浜」の吉田社長の提案で、氏の脳内にはこのS仕様があったとのこと。結果的にまんまS仕様のマネになったという仕儀である。
さらに読者さまの役に立たない情報を書き連ねるが、私は先般その吉田社長に、「ランチア・デルタ1.9ツインターボ マルチジェット(ディーゼル)6MT」の中古車に試乗させていただいたのである!
キュートな節約感がイイ!
デルタもここまで来ると、458でいえば究極の存在「スペチアーレA」みたいなものだ。Aとは「アペルタ」、つまりオープンですね。499台限定で販売され、新車価格は3600万円くらいだったと思いますが、さっき見たら8500万円っつー中古車があって引っ繰り返りました。
デルタの1.9ツインターボ マルチジェットは、オープンじゃないし8500万円もしませんが、排気量がデカくてツインターボで6MTのデルタ。役モノがテンコ盛りなのだ!! 現在はすでに売れてしまったが、12年式走行4万3000kmで価格は259万9000円だった。ウヒー、そそられまくる!
そのドライブフィールは、実にすばらしいものだった。
まずサスが断然しなやか! 私の(09年式)を含む前期型のデルタは、当時世界を覆っていたBMWコンプレックスに沿って足がヤケに硬いが、後期型はぐっとソフトでしなやかになっている。グリルはシルバーだが、ダッシュボードセンターは憧れの純正ピアノブラック! しかもマニアの王道・6MT!
もし、1年前にこのクルマに出会っていたら、3秒で飛びついただろう。
が、すでに“スーパー節約号”を恋人としている私にとって、それは現恋人のすばらしさを再確認する材料となったのだった!
実は私、MT車はもうさんざん乗ったので、かえってシングルクラッチセミATの方が新鮮に感じるんです。パワー/トルクも、ちょい控え目な1.6の方がちょうどいいというか、キュートな節約感があってそそられる。この1.9 6MTに乗ったことで、隣の芝生が青く見えなくなりました! 「足るを知る」精神とでも申しましょうか。
ディーゼルには無限の可能性がある!
結局読者さまの役に立たないことを今回も書き連ねてしまいましたが、今後はいー加減、多少は役に立つことを書きたいと思います。
もっとフツーに買えて、カーマニア的にも楽しめる、300万円未満のオシャレディーゼル乗用車はないのかぁ!!
1年前、私がデルタを買った段階では、それに該当するのはマツダのスカイアクティブD搭載モデルだけ、といってよかった。
しかし現在は状況が変わった。新車でも、プジョー/シトロエンとミニが300万円未満のディーゼルを投入。近い将来300万円を切るであろう中古車も含めると、選択肢はぐっと広がっている。
排ガス規制の強化によって、世界的にはディーゼルは退潮傾向にある。しかし日本では違う! ディーゼル乗用車がいったんほぼ絶滅したことで、むしろ未開拓の荒野がドーンと広がった。それはカーマニアにとっても無限の可能性を秘めた大地。ここで楽しまずしてどこで楽しむのか! さあ往(ゆ)こう、ディーゼルの沃野(よくや)を!
まずは日本の誇り、マツダ・スカイアクティブDから取り上げてみたい。
(文=清水草一/写真=清水草一、池之平昌信/編集=大沢 遼)

清水 草一
お笑いフェラーリ文学である『そのフェラーリください!』(三推社/講談社)、『フェラーリを買ふということ』(ネコ・パブリッシング)などにとどまらず、日本でただ一人の高速道路ジャーナリストとして『首都高はなぜ渋滞するのか!?』(三推社/講談社)、『高速道路の謎』(扶桑社新書)といった著書も持つ。慶大卒後、編集者を経てフリーライター。最大の趣味は自動車の購入で、現在まで通算47台、うち11台がフェラーリ。本人いわく「『タモリ倶楽部』に首都高研究家として呼ばれたのが人生の金字塔」とのこと。
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