ポルシェ911カレラGTS(RR/7AT)/911タルガ4 GTS(4WD/7AT)
驚きのパフォーマンス 2017.02.17 試乗記 「ポルシェ911」の高性能モデル「911 GTS」がリニューアル。新世代の3リッターツインターボエンジンを搭載する最新型は、どんな走りを見せるのか? 「911カレラGTS」と「911タルガ4 GTS」に、南アフリカで試乗した。ポルシェにとって重要な車種
いつの時代でも、誰が何と言おうと、自らのDNAとしてまずはそのスポーツ性の高さを売り物とするのが、ポルシェの生きる道!
今や数あるポルシェのバリエーションの中でも、ほかのグレードではオプションにとどまりがちな“走りのアイテム”を数多く標準採用、それによって、ダイナミズムに一段と磨きをかける――そんな手法で、グレードのブランド化を図ってきたのが、GTSという記号を与えられたモデルたちだ。
ここに紹介するのは、ポルシェの礎ともいうべき911シリーズに加えられた、最新のGTSグレード。これまでのモデルに搭載されていた3.8リッターの自然吸気エンジンに替えて、新たにツインターボの3リッターエンジンが採用されたことがまずは見どころの、“991後期型のGTS”である。
GTSというグレードが単なる特別仕様車のノリにとどまらないのは、このグレード自体に豊富な選択肢が用意されていることでも裏付けられている。「クーペ」に「カブリオレ」、そして「タルガ」と、ボディーのタイプだけでも3種類。加えて、駆動方式が4WDに限定されるタルガ以外には、後輪駆動(RWD)と4WDの双方を設定。トランスミッションについても、すでに発表されている日本仕様はPDKのみとなっているものの、本国では全モデルでMTの選択も可能なのだ。
このように、GTSというグレードは、ポルシェにとって明らかに重要度が高いのだ。今や、カレラ系の中にあっても特にメジャーなシリーズといっていいかもしれない。
見た目からして特別
走りの装備にとどまらず、メイクアップも「ちょっと特別な感じ」を気取っている。それもまた、これまでと同様、GTSを名乗るグレードでの定番メニューといえる。
まずRWDモデルでも、4WDモデルと同様の全幅とされたワイドボディーが採用されている。フロントスポイラーはより低くレイアウトされ、リトラクタブル式のリアスポイラーもより高い位置まで展開することで、「カレラ/カレラS」に比べて揚力を低減させている。
エクステリアでは、スモーク処理が施されたリアのコンビネーションランプやシルクグロスブラック色のインテークグリルが特徴。スポーツエキゾーストシステムを標準採用するがゆえにセンターレイアウトとされたツインテールパイプもブラック化されており、ベースグレードとの差別化が図られている。
サイドビューでは、スポーツデザインのドアミラーやシルクグロスブラックのセンターロック式ホイール、そしてドアに貼られたGTSのロゴなどが識別ポイント。タルガボディーの場合、特徴的な“タルガバー”がGTSグレードとしては初めてブラック化された点も、マニアックな注目点である。
インテリアは、新たなステッチパターンが採用されたアルカンターラ製シートが目を引く。このバックスキン調の人工素材は、ステアリングホイールのリムやセンターコンソールボックス、アームレストなどにも多用され、GTSならではの雰囲気を盛り上げている。
ターボ車とは思えないフレキシブルさ
東京・羽田空港から、シンガポールとヨハネスブルグでの2回の乗り継ぎを含めて、丸々26時間以上! 「本当に遠かった……」と、ため息とともに到着したこのモデルの国際試乗会の舞台は、アフリカ大陸南端といえるような場所に位置する南アフリカの都市ケープタウン。その真っ青な空と温暖な気候が、長時間の移動による疲労を吹き飛ばしてくれた。冬のピークの東京からやってくると、かの地に流れる空気は、さながら天国の香りだ。
そんなロケーションの下、まず乗ったのは911タルガ4 GTSのPDK仕様。走行モードの一括変更を可能とするスポーツクロノパッケージや、スポーツエキゾーストなど、ベースグレードでは人気のオプションとされるアイテムを標準装備するこのモデル。テスト車は、さらにアクティブスタビライザー(PDCC)やリアアクスルステアリング、セラミックコンポジットブレーキ(PCCB)などのオプションを上乗せした“フル装備状態”だった。
そんな硬派な911 GTSシリーズの中でとびきりオシャレな、911タルガ4 GTSで走り始めた。まず感じられたのは「走りの軽やかさ」。従来型GTSのものに対して20ps、ベースとなる現行カレラS用に対しては30ps、最高出力が上乗せされたエンジンは、ほかの911と同様にターボチャージャー付きであることを意識させないフレキシブルさが印象的だった。
カレラS用よりも5.1kgm(50Nm)大きな56.1kgm(550Nm)の最大トルクは、発生回転域の下限が450rpm高い2150~5000rpmで生み出される。しかし、前述のようにトランスミッションがPDKということもあって、低回転域でも神経質さはみじんも感じられない。
ターボ付きであることをここまで意識させない過給エンジンは、本当に珍しい。……と、最新の911カレラシリーズを体験したときに続いて、そんな印象を再度抱かされることになったのだ。
「GT3」や「ターボ」もたじたじ!?
フル電動式の凝ったルーフシステムを採用することもあり、GTSシリーズ中で最も重量がかさむ911タルガ4 GTSは、完全なシェル形状を備えるクーペに比べてボディーの剛性面で不利な点も否めない。
しかし、前述の動力性能に加え、20インチのファットなシューズを履くことを意識させない思いのほか軽やかなフットワークの印象もあって、やはり「全体の走りの感覚が、従来型GTS以上に軽い!」というのが、最新の911タルガ4 GTSで心に残ったテイストだった。
一方、サーキットで全開走行を体験したクーペの911カレラGTSは、何といっても「これはもう『911 GT3』にすら迫るのではないか」という絶対的な速さが持ち味である。
こちらも、テストドライブを行った車両は、充実の標準装備に加えてPDCCやPCCB、さらにはリアアクスルステアリングまでオプション装着したPDK仕様。さすがに、インストラクターが駆る先導車の「911ターボS」にはコーナーの立ち上がりで明確に離されたものの、911カレラGTSのほうが100kg以上軽量という身軽さもあって、コーナーへのアプローチをうまく決めさえすれば、コーナリングスピードは911ターボSに比べてまったく遜色ないことが確信できたのだ。
実は、そんなフルスペックの911カレラGTSは、ニュルブルクリンクの北コースを、先代よりも12秒も速い7分26秒で周回してしまうという。さらには、今回のサーキットランでも装着されていた、現行911の全モデルで使える新設計のUHP(超高性能)タイヤを使用すれば、「ニュルのタイムはさらに4秒の短縮が可能」という超速ぶりなのだ。
だから、見ても乗っても、GT3系はちょっと過激過ぎるという911フリークにとって、GTSというのはまさに打ってつけの存在となるグレードであるはず。その走りの実力にも、マーケティングの巧みさにも“脱帽アゲイン”の最新ポルシェである。
(文=河村康彦/写真=ポルシェ/編集=関 顕也)
拡大 |
拡大 |
拡大 |
拡大 |
拡大 |
テスト車のデータ
ポルシェ911カレラGTS
ボディーサイズ:全長×全幅×全高=4528×1852×1284mm
ホイールベース:2450mm
車重:1470kg
駆動方式:RR
エンジン:3リッター水平対向6 DOHC 24バルブ ターボ
トランスミッション:7段AT
最高出力:450ps(331kW)/6500rpm
最大トルク:56.1kgm(550Nm)/2150-5000rpm
タイヤ:(前)245/35ZR20/(後)305/30ZR20(ピレリPゼロ)
燃費:8.3リッター/100km(約12.0km/リッター、NEDC複合サイクル)
価格:1750万円/テスト車=--円
オプション装備:--
※価格は日本市場でのもの。
テスト車の年式:2017年型
テスト開始時の走行距離:--km
テスト形態:ロードインプレッションおよびトラックインプレッション
走行状態:市街地(--)/高速道路(--)/山岳路(--)
テスト距離:--km
使用燃料:--リッター(ハイオクガソリン)
参考燃費:--km/リッター
拡大 |
ポルシェ911タルガ4 GTS
ボディーサイズ:全長×全幅×全高=4528×1852×1291mm
ホイールベース:2450mm
車重:1605kg
駆動方式:4WD
エンジン:3リッター水平対向6 DOHC 24バルブ ターボ
トランスミッション:7段AT
最高出力:450ps(331kW)/6500rpm
最大トルク:56.1kgm(550Nm)/2150-5000rpm
タイヤ:(前)245/35ZR20/(後)305/30ZR20(ピレリPゼロ)
燃費:8.7リッター/100km(約11.5km/リッター、NEDC複合サイクル)
価格:2116万円/テスト車=--円
オプション装備:--
※価格は日本市場でのもの。
テスト車の年式:2017年型
テスト開始時の走行距離:--km
テスト形態:ロードインプレッションおよびトラックインプレッション
走行状態:市街地(--)/高速道路(--)/山岳路(--)
テスト距離:--km
使用燃料:--リッター(ハイオクガソリン)
参考燃費:--km/リッター

河村 康彦
フリーランサー。大学で機械工学を学び、自動車関連出版社に新卒で入社。老舗の自動車専門誌編集部に在籍するも約3年でフリーランスへと転身し、気がつけばそろそろ40年というキャリアを迎える。日々アップデートされる自動車技術に関して深い造詣と興味を持つ。現在の愛車は2013年式「ポルシェ・ケイマンS」と2008年式「スマート・フォーツー」。2001年から16年以上もの間、ドイツでフォルクスワーゲン・ルポGTIを所有し、欧州での取材の足として10万km以上のマイレージを刻んだ。
-
ボルボXC90ウルトラT8 AWDプラグインハイブリッド(4WD/8AT)【試乗記】 2026.4.18 2016年に上陸した2代目となるボルボのフラッグシップSUV「XC90」の最新アップデートモデルに試乗。パワフルなプラグインハイブリッドシステムを採用する3列シートSUVの走りを、先にステアリングを握った「V60」や「XC60」との比較を交えながら報告する。
-
ハーレーダビッドソン・パン アメリカ1250リミテッド(6MT)【レビュー】 2026.4.17 アメリカの大地が鍛えたアドベンチャーモデル「ハーレーダビッドソン・パン アメリカ1250」に、充実装備の上級モデル「リミテッド」が登場! 試乗して感じられた、日欧のライバルに勝るとも劣らない魅力と、どうしても気になるポイントを報告する。
-
レクサスIS300h“Fスポーツ”(FR/CVT)【試乗記】 2026.4.15 「レクサスIS」のビッグマイナーチェンジモデルが登場。もはや何度目か分からないほどの改良だが、長年にわたってコツコツとネガをつぶし続けてきただけあって、スポーツセダンとしてひとつの完成形といえるレベルに達している。“Fスポーツ”の仕上がりをリポートする。
-
モーガン・スーパースポーツ(FR/8AT)【試乗記】 2026.4.14 職人の手になるスポーツカーづくりを今に伝える、英国の老舗モーガン。その最新モデルがこの「スーパースポーツ」だ。モダンながらひと目でモーガンとわかる造形に、最新のシャシーがかなえるハイレベルな走り。粋人の要望に応える英国製ロードスターを試す。
-
ボルボV60ウルトラT6 AWDプラグインハイブリッド(4WD/8AT)【試乗記】 2026.4.13 1990年代のステーションワゴンブームでトップランナーであったボルボ。その伝統を受け継ぐモデルが「V60」だ。現行型の登場は2018年とベテランの域に達しようとしているが、アップデートされた最新プラグインハイブリッドモデルの印象やいかに。
-
NEW
ディフェンダー110 X-DYNAMIC HSE P300e(4WD/8AT)【試乗記】
2026.4.20試乗記本格クロスカントリービークルの「ディフェンダー」にプラグインハイブリッド車の「P300e」が登場。電気の力を借りて2リッターターボとしては格段にパワフルになった一方で、カタログ燃費はなかなか悲観的な数値を示している。果たしてその仕上がりは? -
NEW
ポルシェジャパンのイモー・ブッシュマン社長に聞く 日本での展望とスポーツカーの未来
2026.4.20デイリーコラム2025年8月に着任した、ポルシェジャパンのイモー・ブッシュマン新社長。彼の目に日本はどう映り、またどのような戦略を考えているのか? 難しい局面にあるスポーツカーや電気自動車の在り方に対する考えを含め、日本における新しいリーダーに話を聞いた。 -
スバル・ソルテラET-HS(前編)
2026.4.19ミスター・スバル 辰己英治の目利きスバル&STIでクルマを鍛えてきた辰己英治さんが、“古巣”スバルの手になる電気自動車「ソルテラ」に試乗。パワートレインの電動化以外にも、さまざまな試みが取り入れられた一台を、ミスター・スバルはどう評価するのか? -
第57回:スズキはなぜインドに賭ける? 変わらず牛が闊歩するインドの最新工場を小沢コージが直撃
2026.4.18小沢コージの勢いまかせ!! リターンズ小沢コージがインドへ。日本の自動車ファンにとってインドといえばスズキのイメージだが、実はスズキは現在、インドへの大型投資の真っ最中だ。なぜスズキはインドでこれほどまでに愛されるのか。最新工場を見学して考えた。 -
ボルボXC90ウルトラT8 AWDプラグインハイブリッド(4WD/8AT)【試乗記】
2026.4.18試乗記2016年に上陸した2代目となるボルボのフラッグシップSUV「XC90」の最新アップデートモデルに試乗。パワフルなプラグインハイブリッドシステムを採用する3列シートSUVの走りを、先にステアリングを握った「V60」や「XC60」との比較を交えながら報告する。 -
谷口信輝の新車試乗――ディフェンダー・オクタ編
2026.4.17webCG Moviesブーム真っ盛りのSUVのなかで、頂点に位置するモデルのひとつであろう「ディフェンダー・オクタ」。そのステアリングを握ったレーシングドライバー谷口信輝の評価は……? 動画でリポートします。



















































