第2回:飛ばせばいいってもんじゃない
「ジャガーFタイプ」の街乗り性能を試す
2017.02.23
「ジャガーFタイプ」の魅力を知る
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ジャガーのピュアスポーツカー「Fタイプ」。その動力性能が最大限に発揮される舞台は、ワインディングロードであり、サーキットだろう。では、ごく普通の道でのふるまいはどうか? 普段使いにおける走りの印象を報告する。
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いつでもすごみが伝わってくる
最高出力550ps、最大トルク69.3kgm。0-100km/hの加速タイムは4.1秒――「ジャガーFタイプ R AWD」のスペックは、まさにスーパースポーツのそれだ。しかしその力は、いつでもどこでも解き放てるわけじゃない。もし自分がオーナーになったとしても、大半の時間は、市街地や高速道路の移動に費やされるに違いない。
では、Fタイプと過ごす日々はフラストレーションの連続なのかと言われれば、答えは否である。近所の買い物に連れ出すときも、いつもの交差点で信号待ちしているときも、Fタイプは、高性能スポーツカーに乗っているという自覚と満足感をドライバーに与えてくれる。
なにせ、目の前のメーターは360km/hまで目盛りが刻まれている。それは、普段使いでは縁のない数字だけれど、Fタイプの加速のすさまじさは、法定速度の範囲内でも十分体感できる。Gとともにキャビンに広がる迫力満点の雄たけびも、ドライバーの気分を盛り上げる。
天井まで総革張りのぜいたくなインテリアもまた、街乗りレベルのドライビングを特別なものにしてくれる。とはいえ、ハードコアなサーキット仕様車の非日常性とは違う。ブラックのナッパレザーにオレンジステッチが映えるスポーツシートは、サイドサポートを含む14ウェイの調節機構付き。シートヒーターも備わっている。ストイックなスポーツカーファンは、こうした装備を重量増につながるものとして嫌うかもしれないけれど、快適な環境で運転に集中できるメリットを知ってしまうと、過剰な装備とは思えない。“走りのクルマ”にとっては、歓迎すべきものだろう。
フレンドリーなスーパースポーツ
数あるスポーツカーの中には、スピードを出さなければ楽しめないクルマもある。性能を追求するあまり、運転するのに肉体的な苦痛を伴うものも多い。Fタイプは、そんなマゾヒスティックな感覚とは無縁だ。自然体で運転が楽しめて、いつでも気軽に乗りたくなるというのは、このクルマの大きな魅力のひとつだ。
望めば、静かに走らせることもできる。100km/hで巡航しているときのエンジン回転数(8速)は、1300rpmほど。室内に入ってくるエンジン音や排気音は微々たるもので、メリディアンのサウンドシステムから流れる音楽がさえぎられることはない。
乗り心地そのものは、やや硬め。フロント:255/35ZR20、リア:295/30ZR20という太いタイヤのせいもあるだろうが、走行モードに関わらず、時折コツコツとした突き上げが体に伝わってくる。ただ、何人かに同乗願ったところでは、それが気になるという感想は聞かれなかった。
高性能スポーツカーで気になることの多い斜め後方の視界は、ガラスの面積が広いため意外なほどいい。路肩の幅寄せに苦手意識のある筆者としては、リバースギアを選ぶと自動的に縁石の辺りを示してくれるサイドミラーや、夜間でもよく見えるバックモニターもうれしい装備だ。車幅1925mmのグラマーなFタイプだけれど、予想に反して、駐車場や商店街で取り回しに困ることはなかった。
今回は4WDのメリットを実感できるシーンでは走らせていない。けれど、持ち前のパフォーマンスや日本における雨や雪のことを考えると、FR以外の選択肢があるのはありがたいと思う。スポーツカーは、走ってナンボ。道を選ばず常に安心して楽しめるなら、なお言うことなしだ。
(文と写真=webCG 関 顕也)

関 顕也
webCG編集。1973年生まれ。2005年の東京モーターショー開催のときにwebCG編集部入り。車歴は「ホンダ・ビート」「ランチア・デルタHFインテグラーレ」「トライアンフ・ボンネビル」などで、子どもができてからは理想のファミリーカーを求めて迷走中。
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