BMW 540i Mスポーツ(後編)
2017.03.30 谷口信輝の新車試乗 SUPER GTや86/BRZ Raceなど、数々のモータースポーツシーンで活躍中のレーシングドライバー谷口信輝が、本音でクルマを語り尽くす! 今回も引き続き「BMW 540i」に試乗する。新しい直列6気筒エンジンを搭載する「5シリーズ」の真打ちは、どんなドライバーにお薦めか。谷口視点で分析する。能ある鷹は爪を隠す
BMW 540iのコーナリングを「クルマにうまいこと転がされちゃっている感じ」と表現した谷口信輝。では、コーナリング以外の部分の印象はどうだったのか? まずはエンジンについて語ってもらおう。
「エンジンは、パワーにビックリすることもなければ、期待外れに終わることもなく、まあ、ちょうどいいかなという感じ。こんなに立派なボディーだけど、全然問題なく加速していきますよ」
前編の冒頭にも記したとおり、540iは日本導入時における新型5シリーズのフラッグシップモデル。そう聞くと、さぞかしパフォーマンス重視なモデルだろうと想像したくなるが、谷口のコメントは意外とあっさりしていた。それは、この3リッター直6ターボエンジンのトルク特性があまりにフラットで、しかもレスポンスがナチュラルで扱いやすいために、際だった印象を残さなかったからと捉えることもできる。
「そうですね、刺激もなければ特に不満もないっていう感じですね。上まで回したときにグワッとくることもないけれど、きっと、そういうことを求める人たちのためのクルマじゃないんでしょうね」
うーん、そうなんだろうか。BMW 540iのMスポーツ パッケージといえば、もっとワクワクするような走りを期待するエンスージアストも少なくないような気がするが……。
「いやいや、全然そういうことを目指したクルマじゃないと思います。もっと普通に、むしろ値段が高いクルマであることをあまり他人に知られたくない人が乗るクルマなんじゃないでしょうか。『能ある鷹は爪を隠す』っていうか……」
ほほー、それはこれまでのBMW、これまでの5シリーズとはいささか趣が異なるような気がする。
「いやいや、それでいいんじゃないんですか? いくらBMWといっても、いろいろなクルマがあっていい。なかには走りが刺激的で乗っていて楽しいクルマもあってほしいけれど、それだけじゃなくて、例えば家族で乗ったときに一番輝くファミリーカーとか、別に突出したところはないけれど全方向的に質が高く仕上げられた『いわゆるいいクルマ』とか、いろいろあって選べたほうがいいじゃないですか。それでいえば、540iは最後に言った『いわゆるいいクルマ』にあてはまるんだと思いますよ」
うーむ、なかなか新しい解釈だけれど、私自身も540iに試乗して、ちょっと谷口と近い印象を抱いたのも事実である。
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