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第400回:510psのAMG GTで富士の本コースを激走!
メルセデスAMGでサーキットの走り方を学ぶ

2017.04.02 エディターから一言
走行用のクルマを飾る「50 YEARS AMG」の文字。AMGの誕生は1967年のことで、今年で50周年を迎える。
走行用のクルマを飾る「50 YEARS AMG」の文字。AMGの誕生は1967年のことで、今年で50周年を迎える。拡大

豪快な高性能マシンを取りそろえたメルセデスのサブブランド「メルセデスAMG」。F1でも活躍を見せる同ブランドのドライビングセミナーが、富士スピードウェイで催された。イベントの内容を、実際に参加したwebCG編集部員がリポートする。

パドックエリアではAMGの現行ラインナップが参加者をお出迎え。
パドックエリアではAMGの現行ラインナップが参加者をお出迎え。拡大
「AMGドライビングアカデミー」の会場となったのは、国際格式のレースも多数行われる富士スピードウェイである。
「AMGドライビングアカデミー」の会場となったのは、国際格式のレースも多数行われる富士スピードウェイである。拡大
ピット内にビバンダム君を発見! なぜ彼が会場にいるのかというと、ミシュランが「AMGドライビングアカデミー」を全面サポートしているからだ。
ピット内にビバンダム君を発見! なぜ彼が会場にいるのかというと、ミシュランが「AMGドライビングアカデミー」を全面サポートしているからだ。拡大
待合スペースではコーヒーやお菓子も供されており、いささか早めに到着した記者も、くつろいで受付開始を待つことができた。
待合スペースではコーヒーやお菓子も供されており、いささか早めに到着した記者も、くつろいで受付開始を待つことができた。拡大

今一番霊験あらたかなイベントかも……

突然だけど、日本人にとって、なんだかんだいって「メルセデス・ベンツ」って特別なブランドだと思いません? 「いきなり何言いだすんだコイツは」と思った方は、ぜひ身近な人に「高級輸入車の代名詞といえば?」と聞いてみてほしい。よほどの天邪鬼でなければ、たいていの人は「べ……ベンツ?」と答えるに違いない。ちなみに、編集部の関とわが家の両親は、そう答えました。

“グローサー”が御料車として使われていた戦前・戦後は別にしても、やっぱりメルセデスは輸入車としての歴史が長く、その時間が「高級車の代名詞」というイメージを日本に根付かせたのだろう。いやはや。ブランドを育てるというのは気が遠くなるようなお仕事なのである。

しかし、昨今プレミアムブランドが重視しているスポーツイメージについて問われると、こちらはどうにも印象がぼんやりな気がする。AMGという強烈なサブブランドはあるものの、メルセデス本体が国際格式のモータースポーツから距離を置いていた時期が長く、また本国のDTMを除くと、AMG名義でレースに参戦していた例も少なかったからだろう。

でも、そうしたちょっと古いメルセデスのイメージと、ここ数年の実情とがかけ離れているのも事実だ。「SLS AMG」「AMG GT」と、2代にわたりAMGのスポーツカーにGT3モデルを設定し、世のカスタマーレースを盛り上げてきたし、何よりF1でのあの活躍っぷりである。曲がりなりにもギョーカイで碌(ろく)を食(は)む人間が、3年連続でドライバーとコンストラクターのタイトルを独占しているメーカーに向かって「アナタ、モータースポーツのイメージがないよネ」などと言ったら、同業者に張り倒されるだろう。

以上。
壮大な前フリとなってしまったが、今回はそんな「実はサーキットも得意」なメルセデスAMGの、ドライビングアカデミーをリポートさせていただく。F1屈指の強豪が主催するサーキットセミナーである。2017年3月3日現在、もっとも霊験あらたかなイベントと言っても過言ではないだろう。

メルセデス・ベンツ の中古車

おもてなしに見るメルセデスの底力

そんな霊験あらたかなAMGのセミナーは、日本の霊峰、富士山の麓にある富士スピードウェイで催された。クラスは日帰りで基礎的なドライビングスキルを学ぶ「ベーシックトレーニング」と、1泊2日でみっちりサーキットを走りこむ「アドバンスドトレーニング」の2種類。記者はもちろん後者……ではなく、自身の腕を勘案してベーシックトレーニングを受講させていただいた。内容はフル加速&フル制動に、スキッドパッドでのスリップ体験、オートクロス(ジムカーナのようなもの)と多岐にわたり、プロドライバーの先導による本コースの走行も体験できる。個人的にはベーシックでも十分におなかいっぱいである。

ピットビルでの開会式&ドライバーズブリーフィングが済んだら、早速各コースでの講習がスタート。ちなみに、今回のイベントでは富士の本コースに加え、広大なP2駐車場、ドリフトコース、ショートサーキットなども会場として使われる。いやはや、スケールがでかい。

もうひとつ、記者が「へえ」と思ったのが、メルセデス側がプログラム用のクルマを用意していること。オーナーは自分のクルマで走る必要がないので、フル加速にフル制動、ウエット路面でのスリップ体験と、遠慮ナシにクルマを酷使できるというわけだ。

また、マイカーで走る必要がないのなら、わざわざ自走でサーキットまで来る必要もないわけで、会場には公共交通でやってくる参加者向けに御殿場駅と富士スピードウェイを結ぶバスも用意されていた。参加者の負担を少しでも減らそうという配慮なのだろう。さすがプレミアムブランドのイベント。OMOTENASHIができている。

「AMGドライビングアカデミー」とは、世界12カ国以上で実施されているドライビングトレーニングである。海外では雪上走行などのイベントも催されているようだが、日本ではサーキット走行を主体とした「ベーシックトレーニング」と「アドバンスドトレーニング」が行われている。
「AMGドライビングアカデミー」とは、世界12カ国以上で実施されているドライビングトレーニングである。海外では雪上走行などのイベントも催されているようだが、日本ではサーキット走行を主体とした「ベーシックトレーニング」と「アドバンスドトレーニング」が行われている。拡大
そうそうたるインストラクターの皆さま。右から、中谷明彦氏、瀬在仁志氏、平中克幸氏、ノーマン・サイモン氏、黒澤治樹氏、高木虎之介氏。モータースポーツに詳しい人なら、皆名前を聞いたことがあるはずだ。
そうそうたるインストラクターの皆さま。右から、中谷明彦氏、瀬在仁志氏、平中克幸氏、ノーマン・サイモン氏、黒澤治樹氏、高木虎之介氏。モータースポーツに詳しい人なら、皆名前を聞いたことがあるはずだ。拡大
各プログラムで使用される車両は、いずれもメルセデス側が準備したもの。いったい、このイベントのために何台のAMGが用意されているのでしょう?
各プログラムで使用される車両は、いずれもメルセデス側が準備したもの。いったい、このイベントのために何台のAMGが用意されているのでしょう?拡大

いろいろな意味でクルマが気になる

記者がまず受講したのは、ウエット路面でのスリップ体験だった。ここでのお相手は「メルセデスAMG C63 Sクーペ」。その横滑り防止装置(ESP)には「ESP ON」「ESP SPORT Handling」「ESP OFF」の3つのモードが備わっており、わざとクルマを滑らせて、それぞれの利き方を体感するという内容だ。

まずはESP ONでコーナーに侵入し、インストラクターの合図でアクセルを踏み込む。通常はここでズリっと後輪が外へ滑り出すのだが、ESP ONだと即座に制御が介入。電子制御の恩恵で、クルマは無事にウエット路面を脱出できるというわけだ。これがESP SPORT Handlingだと、ズバっとリアが出てドライバーはカウンターステアを切らなければならない。そしてOFFだともうお手上げ。私ごときがどうあがこうと、クルマはその場でくるりんターンである。

いやはや。ESPのありがたみを思い知る貴重な体験であった……のだが、しがない恵比寿のリーマンとしては、ESPの利き以上にとにかくクルマが気になった。さらりと紹介したけれど、アナタ、車両本体価格1348万円(税込み)、最高出力510psのAMG C63 Sクーペでスリップ体験である。えらいこっちゃ。しかも、参加者のためにそれが5台も6台も供されていたのだから、豪気というかなんというか……。

次に体験したブレーキング関連のプログラムでも、貴重な体験に加えてやっぱりクルマが気になった。というのも、このプログラムはフル加速からのフル制動を何度も繰り返したり、制動中にハンドルを切って路上の危険物を回避したりという、クルマ的に非常にハードな内容だったからだ。しかし用意された「AMG C43 4MATIC」のセダンとクーペ、それに「AMG E43 4MTAIC」は、少なくとも記者の取材中は1台もトラブルを起こすことなく、また操作フィールに変化をきたすこともなく、プログラムを乗り切っていた。さすがは天下のメルセデス。安心と信頼の足まわりである。

ちなみに、ここで使用されたE43にはミシュランの「パイロットスポーツ4 S」が装着されていた。記者は存じ上げておらなんだが、実はこれ、ミシュランの最新フラッグシップタイヤなのだとか。このタイヤも、上述のタフネスぶりに貢献しているのかもしれない。

次は、いよいよ本コースでの走行である。

まずはウエット路でクルマがスリップする挙動を体験。用意されたクルマは、まさかの「メルセデスAMG C63 Sクーペ」。お値段1348万円の高級車である。
まずはウエット路でクルマがスリップする挙動を体験。用意されたクルマは、まさかの「メルセデスAMG C63 Sクーペ」。お値段1348万円の高級車である。拡大
つるりとすべって真後ろを向いてしまった「AMG C63 Sクーペ」。ESP OFFでは、ウエットで姿勢が乱れたら本当にどうしようもない。
つるりとすべって真後ろを向いてしまった「AMG C63 Sクーペ」。ESP OFFでは、ウエットで姿勢が乱れたら本当にどうしようもない。拡大
ショートサーキットで行われたブレーキングのプログラムの様子。制動の最中にハンドルを切り、障害物をよける練習も行われた。
ショートサーキットで行われたブレーキングのプログラムの様子。制動の最中にハンドルを切り、障害物をよける練習も行われた。拡大
「AMG E43 4MATIC」に装着された「ミシュラン・パイロットスポーツ4 S」。ミシュランの最新フラッグシップタイヤで、モータースポーツで得た技術を取り入れることで、日常使用からサーキット走行までこなせる性能を実現しているとのこと。話題の新製品ということで、編集部に戻ったら皆から「どうだった?」と聞かれた。そりゃもう、安定感バツグンでしたよ。
「AMG E43 4MATIC」に装着された「ミシュラン・パイロットスポーツ4 S」。ミシュランの最新フラッグシップタイヤで、モータースポーツで得た技術を取り入れることで、日常使用からサーキット走行までこなせる性能を実現しているとのこと。話題の新製品ということで、編集部に戻ったら皆から「どうだった?」と聞かれた。そりゃもう、安定感バツグンでしたよ。拡大

インストラクターに学ぶ“富士の走り方”

午後最初のプログラムである「リード&フォロー」では、インストラクターの先導のもと、富士の本コースでサーキットの走り方、そしてラインの取り方を学ぶ。

記者はこうした機会を得るたびに思うのだが、インストラクターって本当に運転がうまいですね(当たり前だ)。僭越(せんえつ)ながら、走行ラインが非常にきれいで、「100Rはムリにインベタしなくてもいいのね」「さすが。ムダにブレーキは踏まないのだな」と、とにかく勉強になった。

まあ、だからといってそれをすぐに実践できるわけではないのだが。何せワタクシ、数百m先を走るインストラクター氏の「ここから減速を始めてください」という無線に反応し、ブレーキングポイントのはるか手前でブレーキを踏んでしまうようなソコツ者である。後ろのクルマはいたく困惑したであろう。その節は、ご迷惑をおかけしました。

ちなみに、カルガモ走行とはいえ舞台は富士の本コース。クルマは最高出力367psの「AMG C43 4MATICクーペ/セダン」である。スピードの出ること出ること。1.5kmにおよぶストレートではアクセル全開で常に歯を食いしばっていた……のだが、記者は後に、この体験すらヌルいものだったと思い知ることになる。

C43による本コース走行の後は、P2駐車場での楽しいオートクロスである。供されたのは「AMG A45 4MATIC」「AMG CLA45 4MATIC」というコンパクトモデルで、小さなクルマをぶん回す気持ちよさと、タイムアップに没入する高揚感にどっぷり浸った。いやはや楽しい。超楽しい。余談だが、記者はAMGモデルのなかでは一番A45が好きである。クルマの魅力は馬力でも値札の額でもないことを教えてくれる、まこと下克上なAMGである。まあそれでも、720万円の高級車なんですけどね。

ピットレーンで参加者を待つ「AMG C43 4MATICクーペ」。国際格式のレースが行われる富士の本コースを、AMGで走ると思うと、もうテンション上げ上げである。
ピットレーンで参加者を待つ「AMG C43 4MATICクーペ」。国際格式のレースが行われる富士の本コースを、AMGで走ると思うと、もうテンション上げ上げである。拡大
コースの脇には要所要所にパイロンが立てられており、ブレーキングポイントやクリッピングポイントの目安として重宝した。
コースの脇には要所要所にパイロンが立てられており、ブレーキングポイントやクリッピングポイントの目安として重宝した。拡大
何周かしたら、ピットレーンでクルマを乗り換えて再スタート。クルマによって装着タイヤが違ったので、コーナリングでのクルマの挙動が変わって面白かった。それにしても、鈍感な記者がタイヤの違いを感じ取る日が来るとは……。
何周かしたら、ピットレーンでクルマを乗り換えて再スタート。クルマによって装着タイヤが違ったので、コーナリングでのクルマの挙動が変わって面白かった。それにしても、鈍感な記者がタイヤの違いを感じ取る日が来るとは……。拡大
オートクロスにて、スタート直後のパイロンスラロームに進入する「AMG A45 4MATIC」。ここでトップのタイムを記録した参加者は、閉会式で表彰されていた。うらやましい……。
オートクロスにて、スタート直後のパイロンスラロームに進入する「AMG A45 4MATIC」。ここでトップのタイムを記録した参加者は、閉会式で表彰されていた。うらやましい……。拡大

わが人生の最高到達速度を更新

朝から続いたAMGドライビングアカデミーも、いよいよこれが最後のプログラム。インストラクター氏に先導されての本コース走行である。……とだけ書くと、「また?」とか「オイオイ、それはさっきやっただろう?」とか言われそうだが、今回は相方が違う。ピットレーンに居並ぶは、最高出力510psの本気のスポーツカー「AMG GT S」である。C43も素晴らしかったけど、もう、なんというかクルマの緊張感が違う。みなぎっておられる。

「1周目はスピードに慣れてもらう意味もこめて、少しゆっくり目で行きますね」と言いつつコースへ出ていくインストラクター氏だが、待って待って。十分速いですよ先生。それでもどうにか追っかけていけるのは、先生の優しさと、ツッコミ気味でコーナーに進入しても、ベッタリ路面に張り付いたままRを突き進んでいけるAMG GTであればこそ。横Gに対する強さというんでしょうか、その辺りがC43とは全然違う。そしてスポーツシートに押し付けられるわき腹が痛い。イテテテテ……。

もちろんだが、ストレートでのスピードの乗り方も別物。メーター……だったかヘッドアップディスプレイだったかはおぼえていないが……に表示される車速がぐんぐんと伸びていく。Panasonicの青いゲートをくぐったときの速度は、わが人生最高到達点の274km/h! そこからフルブレーキング。さしものAMG GTといえど、お尻がムズり、ドライバーは血の気がうせた。
やべえ、怖え、そしてたまらん(鼻息)。

驚かされるのは、クルマそのものの性能はもちろん、この車速でのサーキット走行を容認するメルセデスの懐の深さだろう。なにせ「ベーシックトレーニング」のプログラムで274km/hである。よほど自分のプロダクトに自信がなければできないですよ、これは。

かように、AMG GTで「これ以上はない!」という非日常を満喫した記者が顔を火照らせてピットレーンへと戻ると、サーキット走行に供されていた車両がずらりと並んでいた。思い起こせば、今日のプログラムのために何十台のAMG車が用意されていたのだろう? 全部足したら何馬力だよ?

いずれにせよ、さすがはメルセデスのセミナーである。陸の王者のサーキットイベントは、やはりこうでなければ。

(文=webCG ほった/写真=メルセデス・ベンツ日本、webCG ほった)
 

最後の走行に用意されていたのは、AMGの高性能スポーツカー「AMG GT S」。ドライビングモードはずっと「S+」で走行した。
最後の走行に用意されていたのは、AMGの高性能スポーツカー「AMG GT S」。ドライビングモードはずっと「S+」で走行した。拡大
コースを行く「AMG GT S」。こんなクルマで富士の本コースをぶっ飛ばせるとは。ホントに僥倖(ぎょうこう)である。
コースを行く「AMG GT S」。こんなクルマで富士の本コースをぶっ飛ばせるとは。ホントに僥倖(ぎょうこう)である。拡大
1.5kmのホームストレートで、個人的“最高速度記録”である274km/hを体験! ちなみにこれ以前の記録は、同じく富士スピードウェイで出した「ポルシェ911カレラ4 GTS」の250km/hだった。
1.5kmのホームストレートで、個人的“最高速度記録”である274km/hを体験! ちなみにこれ以前の記録は、同じく富士スピードウェイで出した「ポルシェ911カレラ4 GTS」の250km/hだった。拡大
本コースの走行プログラムでは待ち時間を利用して、インストラクターのノーマン・サイモン氏のドライビングを体験できる、サーキットタクシーも実施。朝から夕方まで、本当に中身の詰まったセミナーだった。
本コースの走行プログラムでは待ち時間を利用して、インストラクターのノーマン・サイモン氏のドライビングを体験できる、サーキットタクシーも実施。朝から夕方まで、本当に中身の詰まったセミナーだった。拡大
「AMGドライビングアカデミー」の修了証書。webCG編集部に飾らせていただきました。
「AMGドライビングアカデミー」の修了証書。webCG編集部に飾らせていただきました。拡大
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