第405回:スーザン史子がおばあちゃんに!?
マツダ安全取材会に参加して
2017.04.22
エディターから一言
衝突被害軽減ブレーキやAT誤発進抑制制御など、昨今話題に上ることの多い先進安全装備だが、試してみる機会は少ない。機器を信用してはいても、実際に衝突(のふり)をさせたり、誤発進(のふり)を試みるのは勇気のいることだ。そこでマツダが「ウチの自慢の装備でぜひ」と持ち上がったのが、今回の「マツダ安全取材会」。その一部始終をリポートする。
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クルマ全体を根本から見直した商品開発
マツダは2017年3月13日、日本国内で販売するほぼすべての新世代商品を対象に、先進安全技術「i-ACTIVSENSE(アイアクティブセンス)」の標準装備化を2017年度中に行うことを発表した。
今回、標準化する装備は、日常で起こりうる事故の未然防止と被害軽減を目的とした「衝突被害軽減ブレーキ」、オートマチック車のペダル踏み間違いによる事故を低減する「AT誤発進抑制制御」、車線変更時に斜め後方に存在する車両を知らせる「BSM(ブラインド・スポット・モニタリング)」、駐車場などでの後退時に横から近づく車両を検知し、接触の危険を知らせる「RCTA(リア・クロス・トラフィック・アラート)」の4つ。
また、マツダでは2012年以降に発売した新世代商品、「デミオ」「アクセラ」「アテンザ」「CX-3」「CX-5」の5車種において、「マツダ・プロアクティブ・セーフティ」という安全思想のもと、クルマ全体を根本から見直した商品開発を行ってきた。その結果、ドライビングポジションや前方視界、操縦安定性などがさらに良くなっているという。
そこで、この発表を機に、自動車媒体やジャーナリストを集めてのマツダ安全取材会が初めて開催された。
人の振る舞いを科学する
マツダは、ドライバー自らが正しい「認知」「判断」「操作」をできることがユーザーの安全・安心を支えるための基本要件と考えている。
ドライバーが安心して運転できる環境を提供するため、特に力を入れているのがドライビングポジションだ。
会場には、デミオやアクセラの新旧モデルが用意されていたが、今回はペダル操作のしやすさをより理解するため、参加者は全員、高齢者疑似体験セットを身に着けての体験となった。初めてのおばあさん体験だ。
筋肉の衰えを体感するため、3kgのおもりを入れたベスト、右膝には重いサポーターを装着。そのうえ、片足が約1kgある厚底靴を履き、小さく穴のあいた眼鏡をかけ、つえを持てば、なんちゃっておばあさんの出来上がりだ。上半身が重いので、自然と腰も曲がる。視界は左右100度までしかきかない。なんとも、不自由だ。
その状態でまず、旧型アクセラに乗り込んでみる。すると、乗り込むのはもちろん、後ろを振り返り、後方視界を確認するといった動作に時間がかかり、身動きがとりづらい。
アクセルペダルとブレーキペダルの踏み替えも、厚底靴がペダルにひっかかり、思うようにいかない。何度かペダル操作を繰り返すと、ふくらはぎのあたりが、少し痛くなってしまった。おばあちゃんって大変!
次に新型アクセラに乗り込む。するとアクセルペダルとブレーキペダルの踏み替えがかかとを支点として左右にずらすだけで、スムーズにできるようになっていた。
アクセラの改良ポイントは、アクセルペダルがオルガン式になっていること。そして、2つのペダルの段差を少なくするほか、シートに座って足を伸ばしたときに、より自然に踏める場所へとペダルを配置することで、無理のない操作ができるようになっていたのだ。あっぱれ!
マツダらしさを生かすモノづくり
さらに、会場では、2017年度中にほぼすべての新世代商品に標準装備化されるという、4つの先進運転支援システムを実際に体験することができた。
なかでも、興味深かったのが、AT誤発進抑制制御。この技術は、最終的にブレーキをかけるか、かけないか、メーカーによって考え方が分かれる。マツダは後者だ。緊急時、主に踏切内で作動してしまった場合などの脱出を優先に考えている。輪止めなどがない場所で、そのままアクセルペダルを踏み続けると、にじり寄るように障害物に当たってしまうが、低速なので衝撃は軽くて済む。これがマツダの選択だ。
ひと通りの体験を終えたあと、開発者と話す機会が持てた。彼は、マツダの強みは、「常に小回りのきく開発をしているところ」だと言うと、こう続けた。
「私たちの会社では、衝突安全部隊とアクティブセーフティー部隊、ボディー設計部隊とが、ものすごく近いところにいて、毎月、毎週のように話をしながら仕事をしています。これは、新世代商品群の仕込みをしていた2010年くらいから始めたことで、安全というくくりのなかで、お互いのことをしっかり理解して仕事をするのに欠かせないことです。大きな自動車メーカーだと、なかなかこうはいかないのかなと思いますね」。
筆者は、このような安全取材会をもっと早くやってほしいと思っていた。とはいえ、大きなメーカーと肩を並べるように、安全装備に力を入れていくのは、なかなか難しいことのようだ。だからこそ、マツダがこれらの技術を標準装備化したことには大きな意味がある。
マツダ、頑張れ!
(文=スーザン史子/写真=webCG/編集=藤沢 勝)

大久保 史子
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