BMW 530dツーリング(FR/8AT)/520dツーリング(FR/8AT)
ボーン・イン・アウトバーン 2017.05.31 試乗記 1991年の誕生以来、これまでに100万台以上が販売されてきたという「BMW 5シリーズ ツーリング」。その最新モデル「G31」に、BMWのお膝元であるドイツ・バイエルンの地で試乗する機会を得た。厳しさを増す排出ガス規制に対応するために
おさらいするまでもないが、2017年のジュネーブショーで発表された新型5シリーズ ツーリングは、その前年にデビューした現行型「5シリーズ」のワゴンバージョンである。そして現行型5シリーズにまつわるあれやこれやは、幾度にもわたるニュースや試乗記によって『webCG』でもすっかり書き尽くされている。読者諸兄姉の中には、「新しい話題とか、ちゃんとあるの?」といぶかる方もおられることだろう。
記者自身、西へとぶっ飛ぶエールフランスの機内で頭を抱えていた。そもそも、車形の違いによる走りの差が分かるほど高性能な“お尻センサー”は持ち合わせていないし、事前の配布資料によると、昨今の一大関心事であるADAS(先進運転支援システム)もセダンから変わりないご様子。ワタクシ一体、何を軸にリポートをお届けすればよいのかしら?
記者は、クルマに乗る前からすでにテンパっていた。
しかし、ぺーぺー編集のそんな心配はまったくの取り越し苦労で、BMWはちゃんとお土産を用意してくれていた。今回は「520d」「530d」の2グレードに試乗したのだが、後者には日本未導入の新エンジンが搭載されていたのだ。
皆さまご存じの通り、自動車の環境規制は世界的に厳しさを増しており、メーカー側の対策が一刻を争う事態となっている。特に欧州における排出ガス規制については、2017年9月に「ユーロ6c」が適用となる予定で、台上試験による窒素酸化物(NOx)および粒子状物質(PM)の排出量に加え、いよいよ実路走行試験(RDE)の結果も規制の対象となるのだ。
既出のセダンも含め、現行型5シリーズにはそうした法規制を見据えたパワープラントが採用されている。中でも最右翼といえるのが、現行型「7シリーズ」から導入が進められている最新世代の3リッター直6ディーゼルターボなのだ。