ホンダ・シビックハッチバック プロトタイプ(FF/CVT)/シビックセダン プロトタイプ(FF/CVT)
“ホンダらしさ”の奪還へ 2017.05.29 試乗記 6年ぶりに日本に帰ってきた「ホンダ・シビック」。シャシーを全面刷新し、“操る喜び”を追求したという新型の走りとは? 袖ヶ浦フォレストレースウェイで行われたプロトタイプ試乗会で、その出来栄えをチェックした。合言葉は“操る喜び”
シビックが日本に帰ってくる。来る7月下旬に正式発表される10代目の新型だ。2011年に登場した先代モデルは、英国ホンダから限定おとり寄せされた「タイプR」を除いて、日本には入ってこなかった。久々のシビック、カムバックである。
5月23日に千葉県の袖ケ浦フォレストレースウェイでお披露目イベントが開かれた。そこで明らかにされた情報をかいつまんで記すと、新型シリーズは、4ドアセダンと5ドアハッチバック、そしてハッチバックの超ド級トップガン、タイプRである。
ハッチバックは今度も英国ホンダ製を輸入するが、セダンは埼玉製作所でつくられる。あまりにも少数限定すぎて、株主総会でも突き上げられたという2リッターのタイプRは、レギュラーモデルとしてラインナップされることになった。
タイプR以外のエンジンは、「ステップワゴン」でデビューした1.5リッター4気筒VTECターボ。トランスミッションはCVT(無段変速機)がメインだが、ハッチバックには6段MTも用意される。新型シリーズのグランドコンセプトは、「世界のCセグメントをリードする“操る喜び”」。最後のほうはどこかで聞いたようなうたい文句だが、タイプR以外のフツーのモデルにもMTをそろえたことが、復活日本市場における新型シビックの“らしさ”のひとつといえる。
しかし、残念ながら今回のお披露目でハンドルを握れたのは、セダンとハッチバックのいずれもCVT。ニュルブルクリンク市販FF車最速のベルトを奪い返したタイプRは、展示のみだった。
拡大 |
拡大 |
拡大 |
拡大 |
拡大 |
ボディーは大きく、ワイド&ローに
帰ってきたシビックは、デカかった。新しいプラットフォーム(車台)に載るボディーは、セダンが全長4650mm。2700mmのホイールベースはそのままに、リアのオーバーハングを詰めたハッチバックが全長4520mm。Cセグの盟主たる「ゴルフ」のハッチバックボディーよりも26cm長い。1800mmの全幅はゴルフと同寸だが、全高はセダンで7cm、ハッチバックで5cm、いずれもシビックのほうが低い。ゴルフと同じクラスとは思えないほど大きく、そしてワイド&ローに見える。それが今度のシビックの特徴でもあり、また“売り”でもあるだろう。
1年以上前から販売されているアメリカでいま人気のセダンは、4ドアクーペふうのおとなしいフォルムだが、ハッチバックはよりアグレッシブでスポーティーだ。特にリアスタイルは、目立つ。大きなリアランプの下にある左右一対の黒い加飾プレート。センター2本出しのテールパイプ(タイプRは3本)。タイヤは、17インチの215/50を履くセダンに対して、18インチの235/40が付く。エンジンのチューンも若干異なり、ハッチバックには9ps増しの182psユニットが搭載される。ノーマルでも“天然スポーティー”なのがハッチバックである。
本命はハッチバック
この日の試乗車はすべてナンバーの付いていないプロトタイプだった。セダン、ハッチバックの順で1周2.5kmのサーキットを各4周というプログラムだから、あくまでファーストタッチのチョイ乗りでしかないが、この順番で乗ったのは正解だった。ゴルフクラスよりひと回り大きいフツーのクルマ、という印象のセダンに比べると、ハッチバックは動き出しから歴然とスポーティーである。
182psのパワーは、初出のステップワゴン(150ps)より2割以上向上している。1.5リッターターボとしてはかなりのハイチューンで、173psのセダンと比べても明らかに力強い。
CVTの変速にはステップがきられ、静止からフル加速すると、6000rpm手前まで引っ張って5000rpmあたりに落ち、また昇りつめるという有段変速的シフトアップを繰り返す。ヨーロッパで指弾されているCVT特有のラバーバンドエフェクト(ゴムが伸びるように高回転で回りっぱなしになる)を感じさせない味つけだ。
新設計のサスペンションは、フロントがマクファーソンストラット、リアがマルチリンク。平滑なサーキット路面だから、乗り心地の違いは特に感じなかったが、コーナリング中のスロットルオンオフで軌跡を変えられるその感度はハッチバックのほうが鋭い。操縦の自由度が高いのだ。ホンダが主張する新型シビックの“操る喜び”はハッチバックが代表している。
1.5リッターのMTに期待
運転席の居住まいは、セダンとハッチバックでそれほど大きな差は感じなかった。扇形に3分割された計器盤は、すべてデジタル表示で、アナログメーターはない。ステアリングスポークにあるスイッチで真正面に出す計器を選択できる。
ボディー全長はセダンのほうが13cm長いが、リアオーバーハングの違いだから、キャビンの広さは変わらない。
だが、荷車として使うなら、断然ハッチバックである。テールゲートの開口部がワイドで、しかもヒンジがルーフの奥まった位置にあるため、開口の奥行きもたっぷりしている。例えばスポーツ自転車を寝かせたまま出し入れするときに、余計な体力も気も使わずにすみそうな荷室である。
新型ハッチバックは、いまイギリスでも“カミングスーン”状態にある。ホンダUKのオフィシャルサイトを見たら、10数分のプロモーションビデオがあった。アマチュア自転車チームのサポートカーとしてシビックが働く、その一日を追いながら、新型の特徴や新機軸が紹介されていくというなかなか秀逸な動画だ。
日本でフツーのシビックのハッチバックがデビューするのは、2000年に登場した7代目以来である。「フィット」の大ブレイクで、8代目はタイプRを除き、セダンのみになったのだ。新型の発表発売まであと2カ月。個人的には、1.5リッターのMTが一番楽しみである。
(文=下野康史/写真=田村 弥/編集=大久保史子)
拡大 |
テスト車のデータ
ホンダ・シビックハッチバック プロトタイプ
ボディーサイズ:全長×全幅×全高=4520×1800×1435mm
ホイールベース:2700mm
車重:--kg
駆動方式:FF
エンジン:1.5リッター直4 DOHC 16バルブ ターボ
トランスミッション:CVT
最高出力:182ps(134kW)/6000rpm
最大トルク:220Nm(22.4kgm)/1700-5500rpm
タイヤ:(前)235/40R18 95Y/(後)235/40R18 95Y(グッドイヤー・イーグルF1)
燃費:‐‐km/リッター
価格:‐‐円/テスト車=‐‐円
オプション装備:‐‐
テスト車の年式:--
テスト開始時の走行距離:‐‐km
テスト形態:トラックインプレッション
走行状態:市街地(--)/高速道路(--)/山岳路(--)
テスト距離:--km
使用燃料:‐‐リッター
参考燃費:‐‐km/リッター
拡大 |
ホンダ・シビックセダン プロトタイプ
ボディーサイズ:全長×全幅×全高=4650×1800×1415mm
ホイールベース:2700mm
車重:‐‐kg
駆動方式:FF
エンジン:1.5リッター直4 DOHC 16バルブ ターボ
トランスミッション:CVT
最高出力:173ps(127kW)/5500rpm
最大トルク:220Nm(22.4kgm)/1700-5500rpm
タイヤ:(前)215/50R17 91V /(後)215/50R17 91V (ブリヂストン・トランザER33)
燃費:‐‐km/リッター
価格:‐‐円/テスト車=‐‐円
オプション装備:‐‐
テスト車の年式:--
テスト開始時の走行距離:‐‐km
テスト形態:トラックインプレッション
走行状態:市街地(--)/高速道路(--)/山岳路(--)
テスト距離:--km
使用燃料:‐‐リッター
参考燃費:‐‐km/リッター

下野 康史
自動車ライター。「クルマが自動運転になったらいいなあ」なんて思ったことは一度もないのに、なんでこうなるの!? と思っている自動車ライター。近著に『峠狩り』(八重洲出版)、『ポルシェよりフェラーリよりロードバイクが好き』(講談社文庫)。
-
ホンダCR-V e:HEV RSブラックエディション(4WD)【試乗記】 2026.6.1 「ホンダCR-V」がフルモデルチェンジ。新型は適切なボディーサイズと高品質な内外装を持ち、乗れば最新のホンダ車らしい気持ちよさが味わえる。ただし、その月販目標は400台。ちょっと弱気ではあるものの、周辺事情にも考えを巡らせると極めて妥当な数字にも思えてくる。
-
トヨタRAV4 GRスポーツ(4WD/CVT)【試乗記】 2026.5.30 新型「トヨタRAV4」のプラグインハイブリッド車ではEV走行換算距離が約150kmにまで到達。もちろん電池容量の拡大によるところも大きいが、何よりも最新のハイブリッドシステムによる効率向上が効いている。「GRスポーツ」をドライブした印象をリポートする。
-
キャデラック・リリックV(4WD)【試乗記】 2026.5.29 キャデラック初の電気自動車(BEV)「リリック」に、最高出力646PSのハイパフォーマンスモデル「リリックV」が登場。“ブランド史上最速”をうたう豪速SUVだが、実際に乗ってみると、高い動力性能がもたらすゆとりや心地よさにも魅力を感じる一台となっていた。
-
DS N°8エトワールAWD(4WD)【試乗記】 2026.5.28 前衛を身上とするフランスのラグジュアリーブランド、DSオートモビルから、新たなハイエンドモデル「DS N°8(ナンバーエイト)」が登場。当代屈指の性能を誇る電気自動車であり、かの地では大統領専用車にも選ばれる一台の、独創の魅力に触れた。
-
メルセデスAMG GLC53 4MATIC+(4WD/9AT)【海外試乗記】 2026.5.27 「メルセデス・ベンツGLC」にスポーティーな「メルセデスAMG GLC53 4MATIC+」が仲間入り。「43」と「63」の中間、AMGとしては松竹梅の竹にあたるモデルだが、今後はそのポジションの重要性がさらに増すことになるという。本国ドイツでドライブした印象をリポートする。
-
NEW
どうしてピアノブラックの内装材は多用されるのか?
2026.6.2あの多田哲哉のクルマQ&Aよく目にするピアノブラックの内装材は、「キズや脂汚れが目立つ」などネガティブな評価もしばしば。それでも多用されているのはなぜか? 車両開発者の多田哲哉さんに聞いてみた。 -
NEW
BSAゴールドスター650(5MT)【レビュー】
2026.6.2試乗記かつて一世を風靡(ふうび)した英国の名門、BSAが復活! 新生第1号モデルである「ゴールドスター650」は、クラシックで優雅なお散歩バイク……と思いきや、ツインカムの大排気量シングルで、ライディングも前のめりに楽しめるマシンに仕上がっていた。 -
レストモッドがイメージ 特別なオニツカタイガーの魅力に迫る
2026.6.1オニツカタイガーの新作ドライビングシューズを知る<AD>オニツカタイガーが、“レストモッド”と呼ばれるクルマのレストア&カスタム手法に着想を得たドライビングシューズを発表。4タイプ製作された、「MEXICO 66 DRIVING」のスペシャルバージョンの魅力に迫る。 -
新生アルピナは成功するか? その将来とBMWとの関係について考える
2026.6.1デイリーコラム具体的なデザインスタディーも公開され、いよいよ市場展開が見えてきた新生アルピナ。将来的な成功の“確度”やいかに? BMWによる新たなアルピナ像について、両ブランドに詳しい西川 淳が詳しく解説する。 -
ホンダCR-V e:HEV RSブラックエディション(4WD)【試乗記】
2026.6.1試乗記「ホンダCR-V」がフルモデルチェンジ。新型は適切なボディーサイズと高品質な内外装を持ち、乗れば最新のホンダ車らしい気持ちよさが味わえる。ただし、その月販目標は400台。ちょっと弱気ではあるものの、周辺事情にも考えを巡らせると極めて妥当な数字にも思えてくる。 -
日産リーフB7 G(前編)
2026.5.31思考するドライバー 山野哲也の“目”レーシングドライバー山野哲也が新型「日産リーフ」に試乗。初代のデビューから15年余りを経て生まれた3代目はスタイリングも中身も刷新。苦境にある日産を立て直す重責を担っている。箱根のワインディングロードでの印象を聞いた。



















































