第45回:スターの幸福感
2017.06.13 カーマニア人間国宝への道スーパーカーは公道を走ってナンボ
「もはや速さには何のロマンもない!」と見限り、巨乳を捨ててステキなCカップ「フェラーリ328GTS」へと走った私だったが、「俺はまだまだ誰よりも速いクルマが欲しい!」という方もおられよう。サーキットもあるし。
私とて、たまに自分のフェラーリでサーキットを走ってきたが、サーキット専用ってんじゃつまんないんだよね。サーキットは、自分のクルマをより深く知りたいから、確認のために何度か走る感じでした。
マンガ『サーキットの狼』を見ても、一番盛り上がったのは公道グランプリのあたり。最後に風吹裕矢がF1ドライバーになった頃には、スーパーカーブームも終わっちゃった。
私は、スーパーカーは公道を走ってナンボではないかと思うのです。なぜって、スターには観客が必要だから。スターだけの世界にいたら、スターやってて面白いだろうか? キャーキャー言われるからスターになりたいんじゃないか?
非日常的なスターが、大衆の海を超然と走る。だからステキなのではないか!? そのためには、スターはCカップでなくてはならない!
まぁ近年は、誰もフェラーリにキャーキャー言ってくれませんが。
スター度は急上昇
と思ってたんだけど、「458イタリア」から328GTSに乗り換えたら、体感上のスター度は数倍に上がりました!
もう一般人の見る目が全然違う。458は見て見ぬふりみたいな感じだったのが、328だとマジマジと見てくれる! 自転車のニーチャンが振り返ってガン見する! 信号待ちで隣のクルマが「ウインカー出しっぱなしですよ~」と親切に声をかけてくれる! パパがお子さんに「うわ~、スーパーカーだよほら」などと言ってくれる! 見る目が温かいんですよ!
やっぱ458イタリアとかってさ、「ただカネがあるヤツが乗るクルマ」って空気あるじゃない。ヒルズ族的な。
でも328くらい古いと、いろいろ苦労してそうだし、カネじゃなくて好きだから乗ってんだろうなって思ってくれるんだよ!
やっぱ人間、人のカネにはムカつくけど、情熱とか苦労とかは無条件に認めてくれるんだね! 本人としては何も変わってないんだけど。
というよりむしろ値段が高い分、458イタリアの方が全然金銭的に大変だったし、ガレージだって左右の余裕2mmしかなかったし、328にしてあらゆる面でメッチャ楽になったんだけど、世間が抱くイメージは違うのです。
ところで、328を買うにあたって、カーマニアの皆さまは「GTSってボディー剛性大丈夫ですか?」と思われたりするかと想像します。
まったく大丈夫です。
そりゃまぁ「GTB」の方が剛性あるでしょうが、かつて黒のGTS(ヨーコ様)で筑波をアタックし、私レベルの腕ではまったく問題ナシであることを確認済みだ。さすが鋼管パイプフレーム構造!
真っ赤なフェラーリ最高!
「雨漏りしませんか?」と心配されるかもしれませんが、フェラーリは雨の日は乗らないので、雨漏りの心配はありません。
中古車相場としては、GTBの方がGTSより150万円くらい高い。GTBの方がシルエットが美しいし、断然希少なので。
でも私は、どーせならオープンにできるGTSの方がむしろ欲しかったです。早朝の首都高をGTSの屋根を外してオープンで走ったところ、この世の極楽浄土を見ました……。思い出すだけで涙が出るほど。
ボディーカラーは、エノテンに「赤でもなんでもいいです」とお願いしました。328は大部分が赤なので、自動的に赤になりました。
私儀、最初の「348tb」と2台目の「512TR」以来、ロッソコルサ(フェラーリレッド)のフェラーリを買ったのは18年ぶりだったのですが、赤いフェラーリっていいですね!!
3台目以降、赤いフェラーリじゃフツーすぎると思ってずーっと避けてきたけれど、真っ赤なフェラーリ最高! フツーって最高だ!
一般の方が我が328を愛ある目で見てくれるのは、自分の知ってるフェラーリのイメージとぴったり重なるからじゃないか? 赤い328って、日本人の脳内に漠然と存在する「カッコいいフェラーリ像」にほぼドンピシャなんじゃないか? その上には「さらにメチャメチャカッコいいフェラーリ像」として赤い「F40」がある。そんな感じではなかろうか。
私は、もちろん自己満足でフェラーリに乗っているのですが、でもでも、できれば周囲の皆さまにも喜んでいただきたいのです! スターを見た幸福感みたいのを味わっていただきたいのです! 328GTSがそれを思い出させてくれました!
(文=清水草一/写真=清水草一、池之平昌信/編集=大沢 遼)

清水 草一
お笑いフェラーリ文学である『そのフェラーリください!』(三推社/講談社)、『フェラーリを買ふということ』(ネコ・パブリッシング)などにとどまらず、日本でただ一人の高速道路ジャーナリストとして『首都高はなぜ渋滞するのか!?』(三推社/講談社)、『高速道路の謎』(扶桑社新書)といった著書も持つ。慶大卒後、編集者を経てフリーライター。最大の趣味は自動車の購入で、現在まで通算47台、うち11台がフェラーリ。本人いわく「『タモリ倶楽部』に首都高研究家として呼ばれたのが人生の金字塔」とのこと。
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