フォード・エクスプローラー XLT(4WD/6AT)【試乗記】
古典を許さぬ時代 2011.09.04 試乗記 フォード・エクスプローラー XLT(4WD/6AT)……440万円
パワートレインやボディ構造を変更し、新しくなった「フォード・エクスプローラー」。その走りはどんな風に変わったのか? 先代との印象の違いをリポートする。
色気づいて、あか抜けた
「フォード・エクスプローラー」は、アメリカで長らくベストセラーを誇るSUVだ。姿かたちはまったく異なるが、国民の愛着度でいうと、日本人にとっての「トヨタ・カローラ」や「スズキ・ワゴンR」みたいな存在。だからそのモデルチェンジは毎回注目を集める……アメリカでは。しかも今回はエンジンをV6に一本化し、モノコックシャシーを採用するなど、20年にわたるエクスプローラー史上、最も大幅なモデルチェンジなので話題が沸騰した……アメリカでは。
関西弁で言う「シュッとした」(標準語で「すっきりした」とか「ハンサム」)というのが、新型の第一印象として最もしっくりくる。先代に比べ、シルエットもディテールもより直線的で凹凸が減った。Aピラーを黒くして太いCピラーだけでルーフを支えているように見せるなど、全体的にかなり色気づいた。史上最もあか抜けたエクスプローラーといって差し支えなかろう。
先代同様、「リミテッド」と「XLT」の2グレードが設定される。従来、エンジンはリミテッドがV8、XLTがV6を搭載していたが、新型は両グレードとも新開発の3.5リッターV6エンジンに統一された。
パワーの絶対値はそこそこながらビートを感じさせつつも滑らかな回転フィーリングが心地良かったV8がなくなったのは、燃費が求められる現代にあっては仕方ないと理解はできるが、やっぱり残念だ。ひと足先にモデルチェンジした「ジープ・グランドチェロキー」(の日本仕様)からもV8はなくなった。世の中から次々と庶民的なV8が消え去るのは実に忍びない。