マツダ・ビジョン クーペ:まるで秀でた芸術品
2017.10.26 自動車ニュース![]() |
さまざまなコンセプトモデルが会場を彩る、東京モーターショー。会場に足を運んだモータージャーナリストの藤島知子さんは、マツダが展示した一台に強く引き付けられた。
生命を宿しているかのよう
海外メーカーの出展が少ないと嘆かれている、今年の東京モーターショー。クルマの数は絞られているものの、展示されているコンセプトカーも市販間近なモデルも、その一台一台が各メーカーの今後の展開を読み解く鍵を握っていて、内容をじっくり知りたくなる展示物が多かった。
そもそも、モーターショーは各メーカーが思い描く近未来像がコンセプトカーに投影されるもの。今後、いっそう厳しさが増す環境への対応、事故ゼロの社会の実現、自動運転化に向けた取り組みが加速する一方で、人の心を動かすデザインや走りの楽しさを提案するメーカーもあるなど、注目点は多岐に及ぶ。
中でも私が心を奪われてしまったのは、マツダブースにあった「ビジョン クーペ」。魂動デザインを4ドアクーペに進化させて、新しいエレガンスを表現したディテールは、一切のムダを削(そ)ぎ落とし、ボディーの曲面が光と影のうつろいを繊細に映し出す。まるで、生命を宿しているような圧倒的なオーラは、秀でた芸術品と1対1で対峙(たいじ)しているようで、身震いしてしまいそうになる。デジタルでは得られない何かが、ここに存在しているのだ。
(文=藤島知子/写真=峰 昌宏)