マツダ魁コンセプト:「引き算の美学」が生んだ新しい魂動デザイン
2017.10.27 自動車ニュース 拡大 |
技術的にはもちろん、デザインの上でも次世代のマツダのコンパクトカーを示唆しているというコンセプトモデル「魁(カイ)コンセプト」。これまでのクルマにはない“引き算の美学”が実現したこのデザインの特徴を、技術ジャーナリストの鶴原吉郎が語る。
次世代のマツダの“美意識”が示されている
今回の東京モーターショーに行って、見るべきクルマをたった1台挙げろと言われたら、月並みかもしれないが、この1台を選ぶ。このコンセプトカーには、マツダの次世代エンジン「SKYACTIV-X」と、次世代車体車両構造技術「SKYACTIV-Vehicle Architecture」が採用されているのはもちろん注目点なのだが、それと同時に「深化した魂動デザイン」を採用しているのが大きな特徴だ。
従来の「魂動デザイン」は、「生物が目標に向かって動き出す一瞬の強さや美しさ」を、勢いのあるプレスラインで表現していたのが特徴だった。こうした従来の魂動デザインに比べると、「魁コンセプト」はプレスラインがはるかに少なく、特に車体側面にはほとんど見当たらない。その代わりに、ホイール周りを中心に張りのある大面積の曲面が大胆に使われている。こうしたデザインにした狙いは何か。同社はこれを「引き算の美学」と表現している。
デザイン要素を極力削(そ)ぎ落とし、引くこと、省略することによって生まれる「余白の豊潤」を大事にするのがその狙いだという。個性を表現しようと過剰なまでにデザイン要素を詰め込む傾向が強い最近のカーデザインの風潮の中で、精緻さと温かみをシンプルな造形の中で両立した魁コンセプトのたたずまいは、これからの自動車デザインに求められる方向性の一つを確かに指し示していると思う。
(文=鶴原吉郎/写真=峰 昌宏)

鶴原 吉郎
オートインサイト代表/技術ジャーナリスト・編集者。自動車メーカーへの就職を目指して某私立大学工学部機械学科に入学したものの、尊敬する担当教授の「自動車メーカーなんかやめとけ」の一言であっさり方向を転換し、技術系出版社に入社。30年近く技術専門誌の記者として経験を積んで独立。現在はフリーの技術ジャーナリストとして活動している。クルマのミライに思いをはせつつも、好きなのは「フィアット126」「フィアット・パンダ(初代)」「メッサーシュミットKR200」「BMWイセッタ」「スバル360」「マツダR360クーペ」など、もっぱら古い小さなクルマ。
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