第4回:「XC60」の出来栄えに見るボルボの“攻勢”
北欧がアツい! 2017.12.11 徹底検証! ボルボXC60 新世代プラットフォームの採用により、一足飛びの進化を遂げた「ボルボXC60」。黄金比すら感じさせるスタイリングや、上質なインテリア、先進の運転支援システムの出来栄えなどに、勢いに乗る北欧の自動車メーカーの“今”を感じた。その革新はほとんど“脱皮”のレベル
いやもうノリノリですなぁボルボ! フロアで踊るどころか、テーブルの上に飛び乗って腰を振り出しちゃいそうなくらい(笑)。その勢いは、今年出た新型ミディアムSUVのXC60にも如実ににじみ出ております。
ご存じボルボは、去年日本に上陸したXC90から全ラインナップ刷新中。っていうか、ほとんど“脱皮”レベルですよ。イチ商品どころか全体のブランドイメージ、チャレンジ精神までひとクラス上に移行中なので。
それはまず王道のスタイルから感じられ、単純に伸びやかで美しい! 小沢は去年上陸したフラッグシップSUV、XC90の時から言っているけど、今のボルボはすっかり北欧プレミアムどころかロイヤルファミリームードを醸し出していて、個人的には北欧ロールス・ロイスというか北欧レンジローバー的。
今までのような小手先に頼ったデザインになってなくて、根本的なプロポーションから王道の美しさを表現している。それはXC90、XC60ともに使っている新世代プラットフォーム「SPA(スケーラブルプロダクトアーキテクチャー)」だからなし得たことで、フロントノーズの長さ、ボディー全体の塊感、前後タイヤの位置がほぼ完璧。まさしくロールス・ロイス同然の黄金比的なバランスすら感じさせ、だからこそディテールで目立たせる必要がないわけだ。
そして黄金比のクルマだから、XC90とXC60って小沢の中ではロングホールベース版とショートホイールベース版ぐらいの違いなのだ。確かに60の方がドアサイド下をえぐったり、多少ポップなイメージが追加されたりしているけど、走り、質感、漂う上質ムードに差はなく、単純に日本ではXC60の方が扱いやすくていいと思っております。3列目シートが要らない人には。
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ライバルに比肩する北欧プレミアムテイスト
インテリアは完全に北欧プレミアムの新基準を確立していて、タッチのいい本革シートやアルミ素材、流木をイメージしたナチュラルテイストなウッドパネルなどが非常に上質で押しつけがましくない。全体デザインも優雅でオーガニック。
この点じゃ、質感は高いけど少々ビジネスライク過ぎるドイツ勢に対して完全に勝ってると思うほど。仕事で使うならともかく、日常的には今のボルボの方が間違いなくくつろげるはず。
走りのほうも、新プラットフォームはもちろん「4気筒までしか作らない」と割り切ったパワートレインの出来がいい。厳密に見れば、乗り心地のしなやかさやエンジンの滑らかさは若干ドイツ車レベルに届いてないけど、それを補ってあまりある剛性感と、しっとりした風合いが味わえます。
さらに驚いたのは、そのセミ自動運転制御のアグレッシブさ! ご存じ今はメルセデス、BMW、アウディなどドイツプレミアムをはじめ、インフィニティ、レクサス、北米テスラなどが先陣争いをしている。中でも制御がアグレッシブなので有名なのは、チャレンジャーたるプレミアムEVブランドのテスラだろう。伸び盛りで捨てるモノがないブランドだけに相当攻めまくっていて、「完全自動運転対応のハードウエアを搭載した!」と言い切る最新版の「モデルS」などは、高速はもちろん街中でもビックリするほど自動でステアリングを切ってくれたりする。それと比べれば、メルセデスやBMWなど、よそのメーカーも頑張ってはいるけど、やはり制御は結構慎重だ。
ところがどっこい、先日XC60に乗って発見したのは、もしや今のボルボはテスラの次くらいに自動運転に積極的かも? という事実だった。
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攻めの戦略はまだまだ続く
例えば、“ボルボ流同一車線セミ自動運転”たる「パイロットアシスト」だけど、XC90よりさらに進化を遂げていて、明らかに上いってます。だって街中の低速コーナーでもグイグイ自動でステアリングが切れ、その積極度はXC90より上だったからして。
首都高でもなかなかのもので、しばらく先にタイトなターンが待っている緩く長めのコーナーでも「もしや20~30m先までカメラで見て予測してる?」と思えるほどの高等制御を行っている。今までだったら、けっこう突っ込んじゃっていたような場所で、その先のRの変化に備えて見事にスピードを抑えています。その賢さは完全にXC90より上だし、ヘタするとドイツ勢より上で、やはりテスラの次ぐらいにアグレッシブなのだ。
小沢はハッキリと確信しました。今のボルボは完璧に“攻め”に転じていると。共有化を大胆に推し進めているプラットフォーム戦略やエンジン戦略のみならず、セミ自動運転やEV戦略や、さらに言うとシェアリング時代を見越したサブスクリプションサービス、つまり個人リースにも似た販売戦略を採るところや、エヌビディアやオートリブ、はたまたUBERとのジョイントベンチャーなどなど。
おそらく、今後ボルボはどこよりも積極的に新ジャンル、新コンセプト、新テクノロジーを導入してくるだろう。新パトロンたる中国ジーリーホールディングスの懐が深く、その手のEV戦略や自動運転戦略、若者囲い込みビジネスに積極的で、なおかつ豊富な資金提供を保証しているからだ。だからこそチャレンジができるし、さらに言うとその戦略は今アタっていて、ボルボはどんどん販売台数を伸ばしている。
まあ、冒頭で言ったように、単純に今のボルボは波に乗ってるし、勢いに乗ってるわけですよ。それがXC60にも感じられるってわけ。ついでに言うと来年上陸するかもしれない「XC40」でも、結構思い切った制御やビジネスプランを導入してくるのかもしれません。
とにかく、いろんな意味で注目なんですよ今のボルボは! それは小沢が保証しますから(笑)。
(文=小沢コージ/写真=郡大二郎/編集=堀田剛資)
→徹底検証! ボルボXC60【特集】
→「ボルボXC60」のオフィシャルサイトはこちら
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小沢 コージ
神奈川県横浜市出身。某私立大学を卒業し、某自動車メーカーに就職。半年後に辞め、自動車専門誌『NAVI』の編集部員を経て、現在フリーの自動車ジャーナリストとして活躍中。ロンドン五輪で好成績をあげた「トビウオジャパン」27人が語る『つながる心 ひとりじゃない、チームだから戦えた』(集英社)に携わる。 YouTubeチャンネル『小沢コージのKozziTV』
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