マクラーレン720Sラグジュアリー(MR/7AT)
これでいいのだ! 2018.01.23 試乗記 最新のカーボンファイバーシャシーや最高出力720psのターボエンジンが与えられた、マクラーレンの中核モデル「720S」に試乗。歴代のマクラーレンを含む、さまざまなスーパースポーツに接してきた清水草一が、その実力を報告する。ようやくカッコよくなった
マクラーレンには、強い敵愾心(てきがいしん)を抱いていた。それはフェラーリ信奉者としての個人的なものだが、「MP4-12C」の走りも、個人的な好みに合わなかった。
快音とはほど遠いサウンドはもちろんのこと、大きなターボラグ、高回転域での急激な過給&トルク増によるクルマ酔い(マジ)、「フェラーリ458イタリア」(当時の愛車)に比べると3割程度スローなステアリング速度等々。これはレーシングドライバーが喜ぶスーパーカーではあっても、公道を転がして楽しむ一般大衆向けではない、と断定するに至った。なんつって一般大衆がスーパーカーを買うこと自体違うんだけど。
スタイリングについても同様。大きな「ロータス・エスプリ」みたいなソレは、スーパーカーとしてとても個性が弱かった。スタイリングの印象は、「540」や「570」の“スポーツシリーズ”のギョーザ目でさらに悪化。エンジンはターボラグが極小になりレスポンスが向上、サウンドもそれらしくなったが、スーパーカーはカッコが命。カッコ悪いと感じるスーパーカーに人生(生涯収入みたいなもの)を賭けるわけにはいかない。
で、今回乗らせていただいたのが、“スーパーシリーズ”の720S。私が嫌ったMP4-12Cの後継モデルである。
これはカッコいいです。かなり猛烈に。