【デトロイトショー2018】日本メーカーの熱心さが目立ったデトロイトショー
2018.01.22 自動車ニュース![]() |
北米国際自動車ショー(デトロイトショー)の一般公開が1月20日に始まった。レクサスやインフィニティが自らの未来を示唆するコンセプトカーを発表するなど、日本車勢の展示には力が入っているように感じられるが、実際に会場で見るとどうなのだろうか。今年のデトロイトショーを振り返る。
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“市場密着型ショー”の印象強し
国際モーターショーは、全世界に向けて新製品やコンセプトカーを発表する情報発信型と地元マーケットが対象の市場密着型に分類できるが、現在のデトロイトは明らかに後者。なにしろ、ショーに出展しているのはアメリカ市場で大きなシェアを握るアメリカ、日本、ドイツ、韓国のメーカーが大半で、それ以外で大々的にブースを構えたのは何度目かのアメリカ進出を企てているアルファ・ロメオと、中国の新興メーカーでアメリカ進出を目指すGAC(広州汽車集団)ぐらい。かつてデトロイトが世界最大の自動車生産都市だったことを考えると、いささか寂しいと状況といえないこともない。
それだけに、北米市場を大きな収益源とする日本メーカーは熱心に取り組んでおり、トヨタ、日産、ホンダ、レクサス、インフィニティ、アキュラなどがワールドプレミアとなる量産車またはコンセプトカーを持ち込んだ。
そうしたなかで、個人的に最も強く印象に残ったのがレクサスの「LF-1リミットレス」。コンセプトカーらしく量産は困難と思われるデザイン処理が散見されたほか、一瞥(いちべつ)したときのインパクトもかなり強めだが、それらがデザインのためのデザインに終わることなく、バランスのよさや美しさも表現しようとする意図が明確に認められて好感が持てる。とりわけ、スピンドルグリルのくびれ部分にY字形のヘッドライト/コンビネーションランプを組み合わせたアイデアは秀逸。なかなかフロントセクションに溶け込むことのなかったスピンドルグリルがこれでようやくひとつのデザインとして完成した感がある。通常のエンジンやハイブリッドにくわえ、プラグインハイブリッド車、電気自動車(EV)、燃料電池車と計5つのパワープラントが搭載できるとアピールした点も、いまのトヨタ自動車の方針に沿っていて納得しやすかった。
同じく大型SUVのコンセプトカー「Xmotion(クロスモーション)」を展示したのは日産。そのデザインは内外装に「伝統的な日本の要素とフューチャリスティックなライフスタイルテクノロジーの要素を共存」させたというが、“和”の要素としてインテリアに用いられた木製パーツは、デザインとしてひとつ上の次元に昇華されたというよりも生の素材としてただそこに横たわっているだけのように見えないこともなく、作品としての完成度はいまひとつ。エクステリアからも明確なメッセージは伝わらなかった。
日産のプレミアムブランドであるインフィニティは4ドアセダンのコンセプトカー「Qインスピレーションコンセプト」をメインステージに送り込んだ。こちらはプロポーションがよく、シンプルななかに美しい面構成が表現されていて好印象。ちょっとシンプルすぎてインパクトが薄いような気もするが、純粋に美を追究した姿勢には共感できる。
トヨタの「アバロン」、ホンダの「インサイト」、アキュラの「RDX」はいずれも量産モデル。最初の2台はハイブリッドを用意したセダン、RDXは作りのよさにこだわったSUVで、いずれも北米でのセールスに直結することが期待される。なお、インサイトのひとクラス上に設定されている「アコード」が北米カー・オブ・ザ・イヤーを受賞したこともニュースのひとつだ。
いっぽう、今回登場した3台のコンセプトカーは、はやりの自動運転だとかEVだとかを懸命に主張することなく、マーケットリサーチの効果や即戦力を狙ったという印象が強い。その意味でも、やはりデトロイトは市場密着型の国際モーターショーなのだろう。
(文=大谷達也<Little Wing>/写真=NAIAS)
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