トヨタ・クラウンRSアドバンスFour プロトタイプ(4WD/CVT)/クラウンRSアドバンス プロトタイプ(FR/CVT)/クラウンG プロトタイプ(FR/CVT)/クラウンRS プロトタイプ(FR/8AT)/クラウンRSアドバンス プロトタイプ(FR/CVT)/クラウンGエグゼクティブ プロトタイプ(FR/CVT)
世界志向のドメスティック 2018.06.18 試乗記 “ユーザーの若返り”と“日本に合ったクルマづくり”を目指し、スクラップ&ビルドの精神で開発したという15代目「トヨタ・クラウン」。発売を前にクローズドコースで試乗し、その仕上がりを確かめた。5年前の予言が現実に
「これからは『アスリート』がメインのクルマになると思います。近い将来、『ロイヤル』は陳腐化していくんじゃないでしょうか……」
2013年1月、14代目クラウンの試乗会でチーフエンジニアの山本 卓さんはそう語っていた。3.5リッターエンジンを搭載したアスリートを推す山本さんは運転が好きなんだろうなあと思って聞いていたのを思い出す。でも、あれは予言だったのだ。15代目クラウンにはロイヤルもアスリートもなく、「マジェスタ」も消えた。これまでのイメージを一新し、ドライバーズカーとして一本化したのだ。
若返りが課題となっている「カローラ」と同様、クラウンもユーザー年齢を下げることが至上課題となる。クルマとともにドライバーが年をとっていったのでは、早晩行き詰まるのは間違いない。現行モデルは、歴代クラウンで初めてロイヤルとアスリートの割合が逆転した。これまでロイヤルに乗っていた人が移行してきたので、アスリートの年齢層が一気に5歳ぐらい上がってしまったという。開発陣は相当な危機感を持っていたようだ。
社長さんのクルマ、パトカー、タクシーというイメージを払拭(ふっしょく)しなければならない。そうは言っても、トヨタを代表する高級セダンなのだから、あまりとっぴなことをするのはダメだ。大人っぽい落ち着きを保ちながら、未来志向を採り入れていく必要がある。相変わらず強さを見せる欧州のプレミアムブランドから顧客を奪いとることも重要なミッションだ。新型クラウンは、多くの容易ではない使命を背負っているのである。
全幅1800mmは譲れない
試乗会が行われたのは、修善寺の日本サイクルスポーツセンター。きついアップダウンが続く5kmのロードコースを使用する。速度制限のない一方通行の山岳路で、クルマの走行性能を判断するにはおあつらえ向きだ。ニュルブルクリンクで走りを鍛えてきたというから、その仕上がりを試すのにふさわしいということなのだろう。「メルセデス・ベンツEクラス」や「BMW 5シリーズ」と乗り比べながら開発し、両車をしのぐ出来栄えになったとエンジニアは胸を張る。会場には、ニュルを走ったカムフラージュ模様をまとったままのテスト車が誇らしげに置かれていた。
14代目の現行モデルが登場した時は大きなグリルが話題となったが、すっかり見慣れてしまった。新型にも引き継がれており、より洗練された形状になった。こなれた印象である。明らかにスポーティーさがアップしているように感じた。軽快でカジュアルな気分を発散しているように感じるのは、カラフルなボディーカラーのおかげでもあるだろう。鮮やかなブルーの「天空(ソラ)」や輝く夕焼けのような「茜(アカネ)」はとても若々しい。現行クラウンに用意された「ジャパンカラーセレクション」の一部が受け継がれることになったようだ。鉛の鉱石の名を持つ新色の「プレシャスガレナ」も、力強さを感じさせるいいボディーカラーである。
ディメンションはほとんど変わっていない。全幅1800mmを守ったのは、クラウンにとっては暗黙のルールのようなものだ。日本の道で走りやすくなければいけないという信念がある。ライバルより50mmほど幅が狭いというのは結構なハンディだが、その中でうまく抑揚をつけて踏ん張りの利いたスタイルを作り出している。クラウンでは初となる6ライトを採用したことは大きな改革だ。骨格となっているのは、TNGAに基づく「GA-Lプラットフォーム」。全長は15mm伸ばし、フロントのボリューム感を出そうとした。
内装のテーマは「Simple & Emotion」。木目の加飾で装飾的な作りだったかつての豪華さとは対極にある。シンプルな中に上質さが感じられる居心地のいい空間を構築することを目指したという。これなら、レースのシートカバーはさすがに似合わないはずだ。インパネの中央に位置するのは上下2段構えのディスプレイ。遠い視点で見やすくするとともに、手前のタッチパネルで使いやすさを追求した。メーターは、文字盤が浮き上がったように見える意匠を採用している。
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重厚な3.5ハイブリッドと軽快なターボ
パワーユニットは3種類。2.5リッター/3.5リッターのハイブリッドシステムと、2リッターターボエンジンが用意される。駆動方式はもちろんFRで、2.5リッターハイブリッドは4WDも選べる。最初に乗ったのが「RSアドバンスFour」というグレードの4WDモデルだった。「RS」というのはどのパワーユニットにも設定されるスポーツグレードで、可変ダンパーの「AVS」が搭載される。ECO、COMFORT、NORMAL、SPORT S、SPORT S+という5段階のドライブモードを切り替えることができる。
熟成されたハイブリッドシステムはスムーズそのもので、ゆっくりと静かに発進する。静粛性は申し分ない。低速走行時のブレーキフィールも良好で、高級車らしいていねいなしつけがなされていると感じる。徐々にスピードを上げていき、コーナーに進入すると動きが実に自然だ。重心高が10mm下げられているそうで、運転席では大きなロールを感じない。ドライブモードをNORMALからSPORT S+に切り替えると、安定感がアップしたようだ。それでいて、乗り心地が急激に悪化することはない。
3.5リッターハイブリッドに乗り換えると、はっきりと重量感が増した。高級車らしさもそれに伴って強く匂い立つ。力強さが感じられるから、鈍重さはない。レクサスの「LS」や「LC」と同じ「マルチステージハイブリッドシステム」が採用されていて、疑似的な10段変速となる。ステアリングホイールにはシフトパドルが装備されているが、使う必要を感じない。減速していくと見事なダウンシフトを披露してくれて、気分よくコーナリングを楽しむことができた。
2リッターターボは、最も軽快な走りを見せる。吹け上がりのよさでスポーティーな加速を体感させてくれるし、コーナーでの機敏さは一番だと思ったが、実際に鼻先が軽いのは前後荷重配分が50:50の2.5リッターハイブリッドのほうだという。どのパワーユニットを選んでも、山道を楽しめるクルマであることは確かだ。
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剛性感が段違いにアップ
試乗コースには現行モデルも用意されていて、乗り比べることができた。違いは明らかである。剛性感のレベルは段違いで、ステアリングを切り込んだ時の安心感はまったく別物だ。「GA-Cプラットフォーム」を使った「プリウス」や「C-HR」「カローラハッチバック(仮称)」と同様、新しいシャシーは恐ろしく出来がいい。当然ながら、乗り心地にも影響がある。現行モデルのNORMALモードより、新型のSPORT S+のほうがずっと路面からの突き上げが少なかった。後席に乗っていると、よりはっきりと違いがわかる。
乗る以前に、ドアハンドルを握った瞬間から明確な差を感じた。新型のドアハンドルは空力特性を磨いただけでなく、人間が触れた際の感触にも配慮された作りになっている。現行モデルのドアを開けようとしたら、なんてガサツなんだろうと思ってしまった。運転席におさまっていると、車格が違うようにさえ感じられてしまう。昇降式カップホルダーの動きを滑らかにしたり、ドアを閉めた時に重厚な低音が出るような構造を考えたり、新型には細かな工夫が数多く施されている。地道な改善の積み重ねで、いいモノ感が醸し出されているのだ。
セダンにスポーティーな走行性能とデザインを与えるのは、世界的なトレンドである。新型クラウンの方向性も同じであり、とりたてて新しい試みというわけではない。難しいのは、品格を保つことだ。やみくもに若さを強調するのは的はずれだし、目新しさばかりを求めるのでは安っぽくなる。1955年から続く伝統に敬意を払いながら、時代に合わせてアップデートしなければならない。
相変わらずクラウンは日本専売モデルだ。グローバルな価値を求めると言いながらも、ドメスティックなクルマであり続けるという背反を抱える。欧州プレミアムセダンに肩を並べる性能とデザインを得ても、彼らとは異なる歴史とバックボーンが日本固有の世界観をもたらす。それをガラパゴスだと言って冷笑することが生産的だとは思えない。1800mmという車幅を守ろうとすることで必要となる創意とチャレンジが、製品に緊張感を与えている。
チーフエンジニアは学生の頃、「いつかはクラウン」のキャッチコピーで知られた7代目が憧れのクルマで、チーフデザイナーは子供の頃「クジラクラウン」に目を奪われたという。オヤジになった今、新型クラウンにかつての思いを存分に注ぎ込んだのだ。
(文=鈴木真人/写真=田村 弥/編集=関 顕也)
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テスト車のデータ
トヨタ・クラウンRSアドバンスFour プロトタイプ
ボディーサイズ:全長×全幅×全高=4910×1800×1455mm
ホイールベース:2920mm
車重:--kg
駆動方式:4WD
エンジン:2.5リッター直4 DOHC 16バルブ
モーター:交流同期電動機
トランスミッション:CVT
エンジン最高出力:--ps(--kW)/--rpm
エンジン最大トルク:--Nm(--kgm)/--rpm
モーター最高出力:--ps(--kW)
モーター最大トルク:--Nm(--kgm)
タイヤ:(前)225/45R18 91W/(後)225/45R18 91W(ブリヂストン・レグノGR001)
燃費:--km/リッター
価格:--万円/テスト車=--万円
オプション装備:--
テスト車の年式:--
テスト開始時の走行距離:2937km
テスト形態:トラックインプレッション
走行状態:市街地(--)/高速道路(--)/山岳路(--)
テスト距離:--km
使用燃料:--リッター
参考燃費:--km/リッター
トヨタ・クラウンRSアドバンス プロトタイプ
ボディーサイズ:全長×全幅×全高=4910×1800×1455mm
ホイールベース:2920mm
車重:--kg
駆動方式:FR
エンジン:3.5リッターV6 DOHC 24バルブ
モーター:交流同期電動機
トランスミッション:CVT
エンジン最高出力:--ps(--kW)/--rpm
エンジン最大トルク:--Nm(--kgm)/--rpm
モーター最高出力:--ps(--kW)
モーター最大トルク:--Nm(--kgm)
タイヤ:(前)225/45R18 91W/(後)225/45R18 91W(ブリヂストン・レグノGR001)
燃費:--km/リッター
価格:--万円/テスト車=--万円
オプション装備:--
テスト車の年式:--
テスト開始時の走行距離:5020km
テスト形態:トラックインプレッション
走行状態:市街地(--)/高速道路(--)/山岳路(--)
テスト距離:--km
使用燃料:--リッター
参考燃費:--km/リッター
トヨタ・クラウンG プロトタイプ
ボディーサイズ:全長×全幅×全高=4910×1800×1455mm
ホイールベース:2920mm
車重:--kg
駆動方式:FR
エンジン:2.5リッター直4 DOHC 16バルブ
モーター:交流同期電動機
トランスミッション:CVT
エンジン最高出力:--ps(--kW)/--rpm
エンジン最大トルク:--Nm(--kgm)/--rpm
モーター最高出力:--ps(--kW)
モーター最大トルク:--Nm(--kgm)
タイヤ:(前)215/55R17 94V/(後)215/55R17 94V(ヨコハマ・ブルーアースGT)
燃費:--km/リッター
価格:--万円/テスト車=--万円
オプション装備:--
テスト車の年式:--
テスト開始時の走行距離:2957km
テスト形態:トラックインプレッション
走行状態:市街地(--)/高速道路(--)/山岳路(--)
テスト距離:--km
使用燃料:--リッター
参考燃費:--km/リッター
トヨタ・クラウンRS プロトタイプ
ボディーサイズ:全長×全幅×全高=4910×1800×1455mm
ホイールベース:2920mm
車重:--kg
駆動方式:FR
エンジン:2リッター直4 DOHC 16バルブ ターボ
トランスミッション:8段AT
最高出力:--ps(--kW)/--rpm
最大トルク:--Nm(--kgm)/--rpm
タイヤ:(前)225/45R18 91W/(後)225/45R18 91W(ブリヂストン・レグノGR001)
燃費:--km/リッター
価格:--万円/テスト車=--万円
オプション装備:--
テスト車の年式:--
テスト開始時の走行距離:4939km
テスト形態:トラックインプレッション
走行状態:市街地(--)/高速道路(--)/山岳路(--)
テスト距離:--km
使用燃料:--リッター
参考燃費:--km/リッター
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トヨタ・クラウンRSアドバンス プロトタイプ
ボディーサイズ:全長×全幅×全高=4910×1800×1455mm
ホイールベース:2920mm
車重:--kg
駆動方式:FR
エンジン:2.5リッター直4 DOHC 16バルブ
モーター:交流同期電動機
トランスミッション:CVT
エンジン最高出力:--ps(--kW)/--rpm
エンジン最大トルク:--Nm(--kgm)/--rpm
モーター最高出力:--ps(--kW)
モーター最大トルク:--Nm(--kgm)
タイヤ:(前)225/45R18 91W/(後)225/45R18 91W(ブリヂストン・レグノGR001)
燃費:--km/リッター
価格:--万円/テスト車=--万円
オプション装備:--
テスト車の年式:--
テスト開始時の走行距離:3027km
テスト形態:トラックインプレッション
走行状態:市街地(--)/高速道路(--)/山岳路(--)
テスト距離:--km
使用燃料:--リッター
参考燃費:--km/リッター
トヨタ・クラウンGエグゼクティブ プロトタイプ
ボディーサイズ:全長×全幅×全高=4910×1800×1455mm
ホイールベース:2920mm
車重:--kg
駆動方式:FR
エンジン:3.5リッターV6 DOHC 24バルブ
モーター:交流同期電動機
トランスミッション:CVT
エンジン最高出力:--ps(--kW)/--rpm
エンジン最大トルク:--Nm(--kgm)/--rpm
モーター最高出力:--ps(--kW)
モーター最大トルク:--Nm(--kgm)
タイヤ:(前)225/45R18 91W/(後)225/45R18 91W(ブリヂストン・レグノGR001)
燃費:--km/リッター
価格:--万円/テスト車=--万円
オプション装備:--
テスト車の年式:--
テスト開始時の走行距離:4999km
テスト形態:トラックインプレッション
走行状態:市街地(--)/高速道路(--)/山岳路(--)
テスト距離:--km
使用燃料:--リッター
参考燃費:--km/リッター

鈴木 真人
名古屋出身。女性誌編集者、自動車雑誌『NAVI』の編集長を経て、現在はフリーライターとして活躍中。初めて買ったクルマが「アルファ・ロメオ1600ジュニア」で、以後「ホンダS600」、「ダフ44」などを乗り継ぎ、新車購入経験はなし。好きな小説家は、ドストエフスキー、埴谷雄高。好きな映画監督は、タルコフスキー、小津安二郎。
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