アルピーヌA110プルミエールエディション(MR/7AT)
生まれてよかった 2018.08.26 試乗記 2017年に“復活”デビューするや、世界中のクルマ好きを沸かせた「アルピーヌA110」。ようやく日本に上陸した新型は、その期待を裏切らないスポーツカーならではの走りを味わわせてくれた。半世紀の時を経て
まったく新しいスポーツカーに乗れるチャンスなんていうのは、そうそうあるもんじゃない。だから、ゆうべはコーフンしてよく眠れなかった。というくらいのニューカマーがアルピーヌA110である。
リアエンジンルノーのパワートレインを使った “初代”A110は1962年から77年まで作られた。その後、「A310」を経て、1984年に登場した「GTA」(日本名「V6ターボ」)は日本でもけっこうな人気を博し、最後は「A610」にモデルチェンジして1995年まで生産された。
そのアルピーヌのスポーツカーを再興するにあたって、オリジナルのA110にまでさかのぼったのが、このプロジェクトのおもしろいところである。だって、ポルシェが「356」をよみがえらせるようなものではないか。
「そこまで戻るか!?」といっても、半世紀以上を隔てた新旧A110のあいだに機構的な共通点はない。水道管のようなバックボーンフレームにFRPボディーをかぶせた初代に対して、新型はアルミモノコックボディー。4気筒を縦に置くRR(リアエンジン/リアドライブ)ではなく、今度は横置きのミドシップ。エンジンはルノー・日産アライアンスの1.8リッター4気筒ターボで、変速機はゲトラグ製7段DCT。マニュアルはない。
今回試乗したのは、発売記念限定モデルともいうべき左ハンドルの「プルミエールエディション」(790万円)。アルピーヌの設立年にちなんだ1955台のうち、日本にやってくるのはわずか50台で、2018年6月の受注開始から抽選を経て7月中には完売している。20倍を超える1021人の応募があったそうだ。横浜の町を走っていたら、歩道でフリーズしている男性がふたりいた。落選した人だったのかもしれない。